恐ろしき女子会再び
リヒャルト=コンラッド視点になります。
マシューさんをマカラちゃんの屋敷に連れていき、マカラちゃんに後を頼んだ。マシューさんは楽しげに最新式車椅子を試している。マカラちゃんもマシューさんが嫌いじゃないらしく、穏やかに微笑んでいた。そんな二人をほほえましく思いつつ、僕は協力者達の元へと向かった。今なら多分、ルージュ様の執務室にメンバーが集まっていることだろう。
運よくルージュ様の執務室にマカラちゃん以外のメンバーが集まっていた。マカラちゃんの報告と重複すると思いますが、と隠し持っていた記録魔具を取りだして上映会をした。これはなかなか優れものでパッと見は虫にしか見えないが、かなりの記録ができるのだ。悪用されては困るので、リストバルト殿下へ個人的にプレゼントしたもの以外は僕のしかない。
「ふむ、効果としてはまずまずね。やはりマカラ様が弱点のようだわ」
アイラさんが冷静に分析する。笑顔がなんというか、黒い。
「ですわね。コンラッド様もよく頑張りましたわね。この短期間で身に付けたとは思えぬほどに優美な立ち居振舞いでしたわ。マカラのお父様も文句のつけようがありませんわね」
ルージュ様が穏やかに微笑む。今日も美しいですね。美しすぎてつい最近まで醜い豚男だった僕は、なんとなく苦手です。いや、綺麗だけどね…優しいし、いい人なんだけど…できたら近寄りたくない。
「クレストさんが誉めてたぞ!とってもコンラッドは努力してたって。要領はよくないけど努力する才能があるから、キチンとモノにした。自慢の弟子だって言ってたぞ!マカラの親父さん、ヤキモチやいてるみたいだな。マカラは娘なのに」
同じく綺麗だけど、なんかこう…ファンデ様は僕に近しいというか、残念な感じがするから苦手じゃない。クレストさん、本当にいい人だよなぁ。今度何かお礼しなきゃ。
「そうね、不自然なぐらい睨みつけてるわ。これ、まずいんじゃないの?」
わりと常識人なピアス様が心配そうにしている。確かに、あの男のマカラちゃんへの執着は常軌を逸していると僕も思っている。あいつは、確かに僕へ多少魔力実験をしていた。だが、あいつの真の目的は僕を監禁してマカラちゃんに会わせないようにすることと痛めつけることだったのだと思う。
「…そ、そうですね。コンラッドさんを殺しそうなぐらいに睨んでますよね……でも、マカラ様を泣かしたおっさんをこのぐらいで許したくない!あああああ、どうしたら……」
頭をかきむしるレッタさん。いつもいつもお気遣いありがとうございます。素朴な雰囲気で優しい貴女は本当に癒しです。
「僕なら大丈夫ですよ。以前に監禁されて何度も死にかけましたけど生きてますし、今はそう簡単に捕まったりしませんし、刺されそうになっても、魔法を使われてもどうにかしますから」
これでも魔具師としてはやり手だから、あの男に負ける要素は微塵もない。
「は!?なんですか!?それ、初耳ですよ!??」
「……言ってませんでしたっけ??」
話したつもりになっていたが、自分からは話してなかったかもしれない。マカラちゃんから僕がひどい目にあわされたことは聞いていたが、具体的な話は初耳だと言われた。
なので詳しく話したら、美女達が…………怖い。
「許せない…!」
「予想以上ですわ」
「計画変更するか?今の計画じゃ生ぬるい」
特に怒りをあらわにしているのはレッタさん、ルージュ様、ファンデ様。
「………呪う?」
ピアス様もでした。怖い!呪いはけっこうです!
「いいえ。あくまでも『ざまぁ』優先よ。呪うのはいつでもできるわ」
逆にアイラ様は楽しげ…いや、愉しげだ。瞳に暗い炎が見えた。
「でもさぁ、そろそろこう…パンチをきかせた一撃が欲しいよねぇ。じわじわ苦しめるんじゃなく、バーンとさ!」
無邪気にイーリ様が笑う。なんとなく、獲物をなぶる猫のように感じた。
「パンチになるかはわかりませんが、新しい情報があります」
「話してちょうだい」
この中で一番身分が低いはずなのに、アイラ様は女王様のようだった。
僕は、今回の情報と計画の提案をした。
「ファンタスティック!素晴らしいわ!」
「ええ、これは最高の『ざまぁ』になるわ!」
「よく調べましょう!」
「楽しくなってきたわ!」
頼もしすぎる美女達は、あっという間に計画を修正した。
真の『ざまぁ』まで、あと少し。




