ドキがムネムネする感じ
ファンデ視点になります。
私の婚約者はかっこいい。しかし、彼がエロかっこいいと知ってしまってから彼の顔をまともに見れなくなってしまった。
最初の症状はそんなにひどくなかったが、日に日に心拍数の増大と顔面紅潮が酷くなり、彼の前では落ち着かない。しまいには顔を見るだけで体が反射的に逃亡してしまうようになってしまった。
しかし、私はクレストさんが大好きだ。だから物陰からクレストさんをコッソリ見つめるのである。
このままではいけない。修行せねばと精神鍛練をするのだが、クレストさんを見ただけでやはり逃げてしまうのだった。滝行、座禅、精神統一…色々試したが効果はなかった。
「ファンデ、ちょっといいかしら?」
マカラとルージュに誘われて、お茶をすることになった。彼女達なら何かいい案をくれるかもしれない。私はもちろん、と答えた。
近況報告や最近あった面白いことなんかを話し、楽しい時間を過ごした。しかし楽しいのはいいが、いつ切りだそう。なかなか言い出せないままに時間だけが過ぎていく。
「そういえば、クレストさんとはどうなの?最近逃げ回っているらしいじゃない」
いきなりマカラからストレートな質問が来た。
「ま、マカラ!ストレート過ぎですわ!デリケートな問題なのですよ!もっと慎重にいかなくてはいけませんわ!!」
どうやら二人はクレストさんの事を心配して私をお茶に誘ってくれたらしい。慌ててルージュがマカラを止めている。何故止めるんだ??
「大丈夫よ。ファンデだもの。デリカシーという単語がそもそも無いわ」
「酷いですわ、マカラ!いくらファンデでもデリカシーぐらい知ってますわよ!」
「すまん、でれかしーってなんだ?菓子か??」
「「………………」」
マカラとルージュが固まった。それで、でれかしーとは結局何なのだろうか。現状を打開するために必要な何かなのか?
「……言葉の意味を知らないって事ではなかったけど…私の方が正しかったようね」
「…そうですわね」
でれかしーではなくデリカシーについて教わった。
「私にそんな気遣いは無用だぞ!ルージュとマカラは親友だからな!絶対嫌いになったりしないぞ!」
そして先ほどの会話の意味を理解して、二人に言った。
「…ね?私が正しいでしょ?」
「そのようですわね」
二人が柔らかく笑ってくれたので、私も笑顔になった。
「さて、それで対策よね。話を聞かせてくれるかしら」
「じつは……」
私はこれまでの事を話した。事の発端である『お色気むんむん事件』から始まり、最近の動悸と顔面紅潮に逃亡癖、その対策として精神鍛練をしているが、まったく効果がないこと。本当はクレストさんの側に居たいことを話した。
「そうなのね…」
「なんというか、ようやくファンデも恋する女の子になったのね……」
「どういう意味だ?」
不本意ながら、生まれつき女なのだが?こいする女の子?こいする……鯉、故意、濃い、請い…………恋!
「そうか、この異常な動悸と顔面紅潮、逃亡癖は病気ではなく恋のせいだったのか!」
流石は天才薬師マカラ!医者からもさじを投げられてしまったこの難病をすぐに解明してしまった!!
「…ファンデ……」
ん?なんでルージュは頭を抱えているんだ?
「なんだ?」
「いや、いいですわ。解決策として、文通を提案します」
「ぶんつー?」
「お手紙なら、逃げずにお話しできるでしょう?」
「流石はルージュ、天才だな!」
ルージュは本当に頭がよくて頼りになる。私に姉がいたらこんな感じだったのだろうか。
「やめたほうがいいと思うわよ」
マカラがにんまりと笑った。どういう意味だろうか。余計に会いにくくなるとか?
マカラはそれだけ言うと黙ってしまい、教えてくれなかった。
そして私はすぐに手紙を書いて同僚に渡した。同僚が帰ってこない…と思ったら、彼はクレストさんに返事を書く間待たされていたのだという。
返事はとてもシンプルだった。
『ファンデに嫌われてなくてよかった』
『会いたい』
クレストさんは手紙だけで私を恋による症状に陥らせてしまう事がわかった。
そして、症状が明らかに悪化した。手紙を見るだけで、クレストさんを見るだけで胸が苦しくなるのだ。
手紙、恐るべし!!
見ただけで私に動悸息切れ胸苦しさを与える手紙は部屋に飾ってある。
「ほら、悪化した」
「…あううう…よかれと思いましたのにぃぃ……」
何故かマカラが勝ち誇り、ルージュが頭を抱えていた。




