身内のコイバナは面倒臭い
クレスト視点になります。
色々あったが、顔合わせは概ね上手くいった。途中お義父さんが娘をお願いいたしますと号泣したりしていたが、特に問題はなかった。
問題は姉達だ。
「うふふふふふ」
「えへへへへへ」
「………(ニヤニヤ)」
めっちゃニヤニヤしている。性格や素行の悪さでソルレイクじゃ誰も相手にしないもんな…。お義兄さん達も似たようなもんだから、いいけどさ。
「義弟よ。君のお姉さん達は優しいな」
「…はい?」
よーくお話を聞いてみたら、彼らの基準はマキュアさんとマカラちゃんだった。
マキュアさんの彼らへの扱いは一般的ではないと思われる。マカラちゃんは特殊に突き抜けている。
「…その二人が特殊なんですよ。どっちかというと、ルージュ様辺りは比較的普通なのではないかと…」
アヒルさえ絡まなければルージュ様は完璧な淑女だろう。
「違う」
「ルージュちゃんは天使」
「人間じゃないから」
この人達の中でルージュ様がどうなっているのかすごく気になった。
「いや、人間ですよ。アヒルをこよなく愛するちょっとだいぶかなりかわったお嬢さんです」
「ま、まさか…」
「貴様…」
「さては…」
「「「ルージュちゃんに惚れているな!?」」」
「違うわぁぁ!!」
「「「一期一会!!」」」
とりあえず、全員ブッ飛ばしておいた。濡れ衣もいいとこだっつーの。誰が主の婚約者に横恋慕するかっての。
「いいか、耳の穴かっぽじってよぉぉく聞けや。俺が好きなのは見た目も中身も可愛いファンデだけだ!確かにルージュ様は美人だが、そもそも好みじゃねーんだよ!!第一俺は浮気男を最低だと思ってる!俺はファンデ一筋だっつーの!!」
「「「すいませんでした!!」」」
お義兄さん達は素直に謝罪した。謝罪し慣れてる気がするのは気のせいだと思いたい。
「クレスト、暗黒歴史時代のノリになってるよ」
「そうそう。一応まだ婚約なんだし、念のためもう少し猫かぶってなさい」
兄と父から言われて、姿勢を正した。暗黒歴史ってなんだよ兄ちゃん。確かに黒歴史はあるけどさ。
あと、猫かぶってろって言ったらダメなんじゃないかな、父さん。母はプルプルしてるから、多分笑ってる。
脱線したが、要はお義兄さん達の身近な女性がマカラちゃん基準なので相手への要求が異常に低いのだろう。姉達も後がないから多少は我慢するだろうし、意外に上手くいくかもしれない。
うちの姉達は比較的単純なので、後で取説でも作ってやろうかなと思った。
「今日は泊まっていってください」
わりと話が弾んだので、気がつけば夕方になっていた。ファンデの家は泊まりになると思って準備していたそうで、泊まることになった。
「うちの愚妹どもは筋肉に夢中だし、嫁を連れてくればよかった…」
昔兄嫁がうちの姉達に虐められたのをいまだに怒っている兄ちゃん。嫁好きな兄ちゃんはションボリしていた。
ルージュ様に貰った通信魔具で連絡していたが、兄嫁はあっさり『そう?わかった~』と返事をして連絡を切ってしまい、兄ちゃんがふてくされてしまった。夜がしつこいから、貴重な睡眠時間が確保できると思ったんだろうな…何故兄ちゃんの夜事情を知っているかというと、以前兄嫁から相談されたからだ。仕方なく兄ちゃんを軽~く脅しておいた。
この世には眠らせない拷問が存在する。今の時点でも兄嫁から睡眠不足で相談を受けた。育児で疲弊している兄嫁から嫌われる前に対策を考えないと捨てられるよと話した。兄ちゃんは兄嫁と話し、兄嫁はある程度の睡眠時間を確保できるようになったそうな。
俺も兄ちゃんみたくなりそうだから気をつけよう。人のふり見て我がふり直せってやつだな。
チラッとファンデを見たら、ふにゃっと笑ってくれた。いや、もしかしたらファンデの方が体力あるから…と変なことを考えそうなので頭を振った。
姉達はそれぞれファンデのお兄さん達に夢中…そういや、あの三つ子の見分けがつくんだろうか…俺には見分けがつかん。難易度が高い間違い探しレベルだ。
後でシャッフルしてみたが、完璧に見分けていた。無駄にすげぇ。
けっこう本気みたいだし、愛の力ってやつ?うまくいくといいなと思った。




