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私、みみっちい仕返しをいたします  作者: 明。
番外・ファンデ編
71/131

天然猛獣令嬢の家族

クレスト視点になります。

 婚約するからには、ファンデの家族にも承諾してもらわなくてはならない。きちんとファンデのお父さんの予定を確認しご挨拶にうかがうことにした。

 向こうが指定した日に二人で休みを取り、手土産を用意して転移陣で移動した。転移陣はルージュ様の領地に設置されている。流石に王都に設置するのは安全上まずいからだ。

 ファンデの実家は、ルージュ様の領地からさらに移動しなければならない。しかしルージュ様が作った秘密の転移陣により、すぐに到着できた。ちなみにマカラちゃんの実家にも行けるらしい。魔法すげぇ。いや、ルージュ様がすげぇのか。




「ファンデええ!」

「ファンデえええ!」

「ファンデええええ!」


 そして到着と同時に聞こえてきた雄叫びと轟音。そして、それは馬に乗ったハッスルなマッスルだとわかった。


「「「貴様、さてはうちの可愛いファンデを狙っているな!?ファンデが欲しくば、我らを倒すがよい!!」」」

「じゃ、遠慮なく」


 一瞬で男達を蹴散らした。あんなハッスルなマッスルと遊んでやる義理はない。一撃必殺だ。瞬発力には自信がある。

 跳躍すると全員の頭を蹴り飛ばし、馬から落とした。頭を揺らしてやったから、しばらくは動けないはずだ。


「やるな…」

「不意打ちとはやや卑怯だが…」

「合格だ」


 ハッスルなマッスル達は力尽きた。つーか、ノリでぶちのめしたけど誰コレ。ソルレイクだと俺に襲いかかる馬鹿がわりといるけど、こっちに知り合いはいないはずだ。


「バカな兄たちですまない…」


「お兄さん達だったの!??」


 やらかしてしまった!せめて最初に誰かぐらいは確認すべきだった!早く言ってよ、ファンデ!!


「大丈夫、兄達は頑丈だから」


「いや、だからって蹴り飛ばしていい理由にはならねーわ!」


「大丈夫だ」

「問題ない」

「少々血が止まらんだけだ」


「大丈夫じゃねええ!!圧迫!圧迫止血!マカラちゃんの薬!!」


 この間貰ったので使ったマカラちゃんの回復薬はスゴい効き目だった。みるみるうちに傷が塞がっていくが、超絶しみるらしい。奇声をあげて悶絶するファンデのお兄さん達を眺めて、本当にヤバいとき以外は使わないと決めた。


「我らはお使い中であった!」

「美味い奴を捕ってくるぞ!」

「楽しみにしていろ!」


「「「今夜はご馳走だ!!」」」


 ハッスルなマッスル達は馬で駆けていった。彼らを見送っていて思う。

 俺、歓迎されてるのかされてないのかどっちだろう。ファンデのお兄さん達は問題があるからファンデのお父さんに遠ざけられたのか、家族全員で会う必要はないないと判断されたのか…どっちだ!?


「ファンデ、お兄さん達っていつもああなの?ファンデといる男にケンカをしかけてるの?」


「ああ、いつもああだぞ。やめるように言っても聞かないから、いつも実力行使してるな」


「………そう」


 多分歓迎されてる…と前向きに考えることにした。






 そして到着したお屋敷は……要塞じゃね?とツッコミたくなる建物だった。なんでも辺境伯で国境沿いだから有事の際は要塞も兼ねてるんだそうだ。


 緊張しつつ、執事らしき人に来訪を告げて応接室に通された。





 そして、現れた巨人。

 さらに、顔が裏組織のボスかってぐらい凶悪。




 ハッスルなマッスルもでかかったが、二メートル越えてるんじゃねーか?しかも、顔マジで怖い!絶対何人か殺してるって顔だ!ガキが一目で泣くレベル!!せめて一言いっておいてほしかったよ、ファンデ!事前に心の準備がしたかった!!


「初めまして。クレスト=ソイと申します」


 表情筋を総動員して動揺を隠し、挨拶した。顔がひきつってないことを祈る。腐っても王族の侍従。礼儀全般とポーカーフェイスにはそれなりに自信がある!


「合格!!」


 睨まれているというか、めっちゃ凝視してからファンデちゃんのお父さんは親指を立てた。


「あ、ありがとうございます?」


 合格ってことは認めてもらえたのか?ファンデのお父さんはどことなく喜んでいるように見える。





 ファンデのお父さんから庭のテラスでお茶をしようと誘われた。嫁の実家に少しでも好印象をと快諾する俺。

 かなりいい紅茶をだしてもらってるから、やっぱり歓迎されてるのかな?それにしても、ファンデちゃんの前にメガ盛りにされた茶菓子がすげぇ。俺とファンデちゃんのお父さんの前には5個なのに、彼女だけ盛られ…いや積まれている。

 

「クレストさん、この焼き菓子はとっても美味しいんだ!」


 あ、ファンデちゃんが好きな菓子なのか。だからこそのメガ盛りならぬメガ積み。納得しつつファンデちゃんから菓子を貰った。


「あ、本当だ。うまいね。はい、お返し。たくさん食べな」


 ふわふわした生地にほどよい甘味。確かに美味いな。ファンデちゃんにもお返しをする。幸せそうにお菓子をほおばる俺の嫁は今日も可愛い。


「クレストさん…大好きだ!」


「俺も大好きだよ。ファンデは可愛いなぁ」


 すっかり箍が外れた俺は、ファンデにデレッデレである。もりもりとたくさん食べている姿も可愛い。俺の嫁は最高です。


「クレスト殿…娘とこんや「あ、ファンデ様!久しぶり!!」

「ファンデ様?」

「やべ、女子に見えますよ!」


 ファンデのお父さんが何か言いかけたようだが、それを遮っていかにも兵士っぽい格好をした男達が話しかけてきた。ファンデと仲がよかったのか、好き放題言っている。


「なんだと!?元から私は女だ!」


 怒ったファンデが瞬く間に兵士達を物理的に沈黙させてしまった。


「まったく…」


 ふてくされるファンデも可愛い。こんな風に、この屋敷で過ごしてきたんだろうな。後でたくさん話を聞こう。もっと早く会いたかったなぁ。


「ファンデちゃんはおてんばだなぁ」


 そう言って、彼女に笑いかけた。そして、ファンデのお父さんが信じられないものを見たという表情をしていた。




 しまった!お父さんの存在をすっかり忘れてたアアアア!!



 落ち着け、俺!俺は多分やれば出来る男!バングナルト様がいなくなった時もどうにか切り抜けただろう!

 俺はお父さんにアピールした。ソルレイクの第二王子に仕えているから、ファンデに苦労はさせない。城での地位や今の身分、仕事なんかを話した。姉の事さえなけりゃ、それなりに条件はいいはずだ。


 しかし、ファンデのお父さんは流石だった。なら、なぜ売れ残ったのかをそれとなく聞いてきた。嘘をつくのはよくない。姉達の話と、それをファンデがどうにかしたことを話した。

 ファンデのお父さんはどこか嬉しそうに頷いた。睨まれては、多分ない。


「婿殿、我が娘と是非婚約をしてほしい」


 なんというミラクル!俺は姉達というハンデがあってもファンデの婿として認めていただけたらしい!

 俺は喜んで頷き、お父さんの気が変わらないうちにと婚約の書類にサインしてもらった。


「「「ただいま~」」」


 ファンデのお兄さん達が帰ってきた。先程とは違い、認めてくれたのか大変フレンドリーだ。


「大物捕ってきましたよ」

「是非晩メシ食っていってください」

「向こうは何が美味いんですか?」


 何が美味いだろう。美味いと言えば……


「ブリザード……いや、鍋料理とかが美味いな。寒い土地ですから、温かい煮込み料理が色々ありますよ」


「「「美味そうだな」」」


「来るときは言ってください。オススメの店に連れていきますから。酒はイケる口ですか?」


 すっかり打ち解けてお兄さん達と談笑していたら、真顔のお父さんに肩をつかまれた。え?俺何か怒らせた?地の顔が怖いから余計に怖いんだけど!!


「婿殿」


「はい」


「(娘と)結婚してください!」


「………はい?」


 誰と??主語がないよ、お父さん。お父さんなわけはないから、ファンデと?あれ?婚約したけどすっ飛ばすと??


「クレストさんは私のだ!父さんといえど、渡さない!!」


 すかさずファンデが俺の前に出た。俺のためにやめてとかボケるべき?


「馬鹿!私が結婚できるか!お前と結婚してくださいとお願いしとるんだ!!邪魔するんじゃない!!」

「ならばよし!」


 お父さんの意図を理解すると、あっさりファンデはどいた。つうか、この親子面白すぎる!笑い出さないようにするの辛い!!


「婿殿、こんなクレイジーコングのような残念を通り過ぎた娘ではありますが…何卒、よろしくお願いいたします…!こんなんですが、本当にこんな残念な仕上がりですが!亡き妻が遺してくれた可愛い娘なんです!!」


「…あの、私は…」


 それはきっと、お父さんの本心だと感じた。言いかけて、自分の言葉で語ろうと思った。


「変に取り繕わないで本音で話しますね?俺、本当にファンデが好きです。残念な仕上がりなんかじゃないっす。そのまんまのファンデが大好きです。俺の生涯をかけて幸せにするんで、娘さんを俺にください」


 俺は頭を下げた。大事な娘さんを嫁にもらう。だから、きちんと誠意を見せるべきだ。


「婿殿おぉぉ!!こちらこそよろしくお願いいたします!!でかした、ファンデ!!婿殿を絶対逃がすなよ!?お前婿殿逃がしたら絶っっ対結婚とか無理だからな!!婿殿以上の条件とか有り得ないからな!!」


 お父さんは泣いていた。漢泣きって奴だ。


「ああ、幸せになるぞ!クレストさんは逃がさない!」


 え?俺捕獲されるの??あれ?娘さんをくれるではなく、婿を逃がすな的ニュアンスになってるような??


「よっしゃああああ!肉じゃあああ!!肉を焼けえええ!!」


 こうして、俺は無事ファンデの家からも結婚の許しをいただいたのだった。なんでもこの家ではお祝いで肉を食うらしい。そして、自分で狩ったお肉を渡すのは求愛の証なんだとか。あれ?だとしたら、ブリザードワイバーンの肉はカウント内??

 気になったので確認した。


「もしかしたら、無意識にあの頃からクレストさんが好きだったのかもしれないな」


 はにかむ俺の嫁の破壊力よ!かっっっわいいんだ、これが!!無言で悶える俺を見て、お義父さんは泣いていたらしい。嬉し泣きだそうだ。

 あのクレイジーコングが…と呟いていたが、お義父さんの中でファンデがどうなってるのかすごく気になった。

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