アヒル的に危険な公爵令嬢の厄介事
ルージュ視点になります。
珍しく、ファンデから相談があるんだと言われて話をすることになりました。それも私にだけ相談したいと言うので人払いをして、私自ら紅茶を淹れて話を聞くことにいたしましたわ。
席についてファンデを観察すると、思い詰めたような真剣な様子でした。
「ファンデ、お話とはなんでしょうか」
「ああ。ルージュ、聞きたいことがあるんだ」
「はい」
「寝るのもうひとつの意味を教えてくれ。聞く前に考えてみたが、さっぱりわからなかった」
「…………………はい?」
ええと、寝る?質問が衝撃的すぎて、はい?と聞き返すのがやっとでした。とりあえず、確認しなくては行けませんわ。
「ええと……睡眠的な意味の?」
「そっちは解る。もうひとつの意味を教えてくれ」
ですわよね!そっちは解りますわよね!頭を抱えたくなりましたが、昔の王妃教育の賜物か…紅茶にうつる私の表情は冷静でした。内面は激しく動揺してましたけどね!つまり、男女の営み的なアレってことですわよね!?
「ふ、ファンデ…閨教育は……」
「ねや?」
受けてないんですね。ナニソレおいしいの?って表情ですわね。
おじさまあああああ!!なんでちゃんと教育してないんですのおおお!??
「本来ならば、年頃になった令嬢が一度は受けるものですわ」
「……年頃って何歳ぐらい?」
「私は13か14…初潮が来た頃でしたわ」
「……………その頃は討伐で走り回ってて……キョーイクとか……逃げてた……」
おじさまああああああ!!
そしてその逃げ回ってたツケが、今ですわあああああ!!
「………その中に、確実にその質問の答えがありましたわよ…」
お互い肩を落としました。しかし、どうしましょうか。閨教育だなんて、どこまで教えるべきですの?
私は考えました。
「…ファンデ」
「おう」
「寝るのもうひとつの意味とは、子作りですわ」
「………え?」
流石のファンデも固まりましたわね。
「えええええええ!??」
そりゃ、驚きますわよね…真っ赤になってますわ。
「だ、だからクレストさんは…もっと仲良くなったらって?ルージュ、私はクレストさんにプロポーズされたのか!?」
なんでそうなりますの!?というか、この質問はクレスト様絡みでしたの!?恨みましてよ、クレスト様!!
「ファンデ、何があったのか詳しく教えてくださいまし。寝るのもうひとつの意味を何故今頃聞こうと思ったのかを含めて」
「実は…………」
「マカラアアアアアア!!」
なんって事をやらかしますのおおおお!!クレストさん、すいませんでした!貴方は悪くないどころか被害者でしたわ!!諸悪の根元は私の親友でしたわあああああ!!
ああああもおぉ…後で謝罪ですわ!土下座ですわ!監督不行き届きですわああああ!!
クレスト様が紳士で…悪い大人じゃなくて、よかったああああ!一歩間違ってたら、私はおじさまにも土下座しに行かなきゃいけないところでしたわ!
クレスト様、ありがとうございます!!
「る、ルージュ?」
「ファンデ…全力で反省なさい!そこに正座!!」
そして、ファンデが行った行為がどんな意味があり、クレスト様がいかに紳士で誠実な対応をしたかを語りました。
「流石はクレストさん!私が見こんだ男だな!」
「そこは間違ってませんが、反省なさい!!」
そして、マカラにも全力説教をしようと思ったのですが……
「なあ、バングナルト様。何故今俺はルージュ様に土下座されてんの?」
「…さあ…」
「うちの親友達が、大変申し訳ございませんでしたああああああ!!」
「ああ…」
クレストさんが遠い目になりました。いや、本当に申し訳ありませんわ。監督不行き届きもいいとこですわ。便宜上とはいえ、彼女達は私の部下(正確には侍女)だったわけですし。
「まあ、そこはいいわ。俺、ルージュ様に厄介事ふったし。それよりマカラちゃんなんだけどさ、実は俺らにちょっかい出してたの…寂しかったかららしいんだわ」
「寂しい?」
「うん。流石に今回は悪戯にしてもやり過ぎだから、直接注意したんだわ。そしたらルージュちゃんはバングナルト様、ファンデちゃんは俺にかまってて…マカラちゃんにかまってくんないって。だからたちの悪い悪戯してもいいだろってキレちまってさ…」
「マカラがすいません!本当に、本っっ当に申し訳ありませんでしたわあああああ!!」
「いや、なんかさ?マカラちゃんはルージュちゃんとファンデちゃんが大好きなんだなぁと思ったら、怒る気が失せちまってさ。怒んなくていいから、マカラちゃんにかまってやってくんない?」
私はその場に崩れ落ちました。
いい人…!
クレスト様、めっちゃいい人ですわ!
「ルージュ様、大丈夫?」
「大丈夫ですわ…クレスト様、ファンデの事を末永くお願い致します」
クレスト様にでしたら、安心してファンデを任せられますわ!きっとおじさまも予想外にまともな婿様を見つけてきたと狂喜乱舞間違いなしですわ!
「何故ファンデちゃん!?ちょ、バングナルト様!ルージュ様マジで大丈夫!??」
「問題ない。持病の妄想癖だ」
「そんな癖はありませんわ!」
抗議しましたが、バングナルト様は呆れたご様子でした。
「たまに脳内完結して、突拍子もない発言や行動はするだろう」
「……そんなことはありま…せんわ!」
一瞬考えましたが、ありませんわ!多分!!
「…そーか、そーか」
バングナルト様、心底どうでもよさそう!ひどいですわ!
「とにかく、マカラについては任されましたわ!」
「ありがとう…………何故俺は今、ルージュ様に拝まれているんだ?」
「そりゃ、お前がお人よしだからじゃないか?」
「…………だからって拝まないだろ」
「いえ、バングナルト様が正解ですわ」
「そうなの!??」
とりあえず、私は全力でクレスト様とファンデの仲を応援することにいたしましたわ。こんな優良物件、きっと今後出てきませんわ。頑張ってください、ファンデ!
・ルージュが勝手に仲間になった。
・ルージュのクレストへの信頼度が大幅にあがった。




