お気遣い従者の苦難?
クレスト視点になります。
あれから、ファンデちゃんは毎日弁当を作ってくれている。そして、俺も毎日おやつを作っている。バングナルト様に甘い匂いをくさいと言われてへこんだが、ファンデちゃんがいい匂いだと言うので浮上した。
いつも通りのランチタイムが終わるのを名残惜しく思っていたら、空が見えた。
ん??
肩にファンデちゃんの両手。背中に地面(ただし敷物はしいてある)
押し倒されて…る??
え??
「クレストさんは押せば落ちると聞いたのだが…落ちたら痛いよな」
「…そうだね。痛いからやめてね」
「押すのはいいのか?」
「…痛くはなかったけど、ビックリした」
とりあえず、よっこらしょと起き上がる。ファンデちゃんをよしよししてあげたら、嬉しそうにふにゃりと笑った。すげぇ可愛い。
「で、なんで押し倒したわけ?」
「よくわからないが、マカラに聞いたから押してみた!」
ファンデちゃんは知識が異常に偏ってるよなぁ。なんでなんだろ。その押すは物理的押すじゃないんだよ。
「で、満足した?」
「ああ!クレストさんによくわからんが撫でてもらえたので満足だ!」
可愛いわ。
この子、マジでアホ可愛いわ。
「………よかったね」
もう情報修正する気が失せて、ファンデちゃんを撫でて過ごした。
思わせぶりはどうしたって?そもそもそんな器用な真似ができれば、売れ残ってねーわ!
そして、敵様はファンデちゃんに細かく指示を出さねば駄目だと学習してしまったらしい。
夜中に気配を感じて目を覚ましたら、下着姿のファンデちゃんがいた。
一瞬妄想を具現化したかと思ったが、幸いすぐ正気に戻った。
「あの、何してるの?」
「下着姿でクレストさんの寝室に忍びこめと言われたんだが…恥ずかしいな」
もじもじするファンデちゃんは、正に月の妖精だ。破壊力がやべえええ!直視できねえええ!!
「うん、その恥じらいは大事だよ」
ファンデちゃんにタオルケットをかけて隠してあげた。
我が愚息よ、今はまだ戦うときではない。ビークール!ビークール!うっかりやらかして嫌われたら立ち直れないのは誰だ?俺だ!!
※クレストはこんらんしている。
「えっと…ファンデちゃん…服を着よう。とりあえず、迅速に服を着ようか!」
「やだ」
ちょ!プイってしないでよ!可愛いから!!
「な、なんで?」
「マカラがクレストさんともっと仲よくなるには、クレストさんが服を着ろって言っても着ちゃダメだって言われた」
女王様この野郎。
いや、野郎じゃないけどなんて奴だ!親友で遊ぶんじゃない!!考えろ。お前はやればできる。バングナルト様が行方不明になってもどうにか切り抜けてきたじゃないか。
「…ファンデちゃんは、俺と仲良くしたいんだよね?」
「ああ」
「なら、服を着てくれたらおでこにキスしてあげる」
「着る!!」
ちょ!目の前で生着替えをを見せないでくれ!と思ったが、着替え早い!!
そして、期待に満ちた目で俺を見上げるファンデちゃん。
すげー可愛い。
色白で可憐な妖精さんが、瞳をキラキラさせている。エロは隠されたが、俺の理性がピンチだ。だって、綺麗で可愛い妖精さんたら…寝間着なんだもの……
男は度胸!と額にキスをしたら、ファンデちゃんはふにゃりと無防備に笑った。
破壊力…!!
もはや俺の理性がズタボロです。もう早急にお帰りいただくしかない。
「…ファンデちゃんと俺は仲良くなった…というわけでまた明日ね?」
予備のマントをファンデちゃんにかけて部屋まで送ろうとしたら、ファンデちゃんが首を振った。
「いや、今日はここで寝る」
な ん だ と ?
「え…」
動揺し過ぎて何も言えない俺。いや、ファンデちゃんは俺の危険性を全く理解していない。確認…そう、確認しなければ!
「あの…マカラちゃんが言ったのかな?」
「ああ!クレストさんがダメだって言っても言うこと聞くなって言われた!」
ああ、うん。
やっぱりか!
女王様この野郎!
馬鹿野郎!!
「…ファンデちゃん」
「うん?」
俺は動揺し過ぎて逆に冷静になっていた。サトリをひらくってこんな感じなんだろうか。
「一緒に寝ることで、俺とファンデちゃんによくない噂が流れる可能性が高い。それと、ファンデちゃんは一緒に寝るっていうのにもう一つ意味があるのを知らない…そうだろう?」
諭すように、できるだけ穏やかに話しかけた。
「…うん」
素直なファンデちゃんは知ったかぶりをせず頷いた。
「一緒に寝るのは俺達がもっと仲良くなって、ファンデちゃんが一緒に寝ることのもう一つの意味を理解してからだ。マカラちゃんじゃなくルージュ様に聞きなさい。正しい知識を教えてくれるから」
「…わかった。あまりわがままを言ってクレストさんに嫌われたらイヤだから、今日は部屋に戻る」
ファンデちゃんはそう言って、ねだるように俺を見た。もはや反射的に額にキスをしていた。
ごるああああ!なにしとんじゃい!!しかし、でかした俺!!
ファンデちゃんは嫌がらず、ふにゃりと嬉しそうに笑っている。手を繋いでファンデちゃんを部屋に送り届け、俺は諸悪の根源たる女王様と戦う決意をした。
そしてルージュ様、厄介な仕事を押しつけてごめんよ。後は任せた!!
翌日、俺は諸悪の根源を呼び出した。
「私を呼び出すなんていい度胸ね。ヘタレのくせに」
俺がヘタレなのは間違いないが、言わねばならないことがある。
「俺に対して何かするのは…程度によるけどとりあえずいい。だけど、ファンデちゃんは親友だろ?今回の件はやりすぎだ。下手をすればファンデちゃんが傷つく結果になりかねない。大事な友達を傷つけたら駄目だ」
「………だって」
「……え?」
女王様の様子がおかしい。いつもの女王のような態度はなく、落ちこんでいるように見える。
「ルージュはバングナルト様、ファンデはクレストさん…親友達がかまってくれないんだもん!ちょっとたちの悪いイタズラするぐらい、いいじゃない!!この、ヘタレ!優良物件!人畜無害!性格イケメン!!うわああああああん!!」
そして、マカラちゃんは泣きながら走り去った。
「…………え?」
予想外過ぎた反応に、俺はマカラちゃんを見送るしかできなかった。とりあえずルージュ様に報告して、マカラちゃんにかまってあげてとお願いした。
その日のランチタイムで、ファンデちゃんから爆弾が投下された。
「クレストさん、マカラを泣かせたって本当か?私はクレストさんがそんなことをするとは思えないんだが…」
転んでもタダでは起きない女王様であった。
「…俺が泣かしたっつーか…ルージュ様とファンデちゃんが最近かまってくんないから泣いたんだよ」
「そうだったのか!やっぱりクレストさんのせいじゃなかったんだな!」
ファンデちゃんはホッとした様子で笑い、マカラも素直にかまってと言えばいいのにと話していた。
ファンデちゃん、マカラちゃんはひねくれまくってるから無理だよと思ったが言わなかった。
その後、親友達にかまわれてご機嫌な女王様を見かけた。これで一件落着かと思いきや、女王様はすでに最終兵器彼女を起動しており…俺の苦難はまだまだ続くのであった……。




