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私、みみっちい仕返しをいたします  作者: 明。
番外・ファンデ編
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お気遣い従者の苦悩

 クレスト視点になります。

 ファンデちゃんは可愛い。なんつーか、可愛い。見た目は儚げな絶世の美少女だから、どちらかと言えば綺麗な方だ。可愛いのは中身。俺を見つけるとニッコリ笑うし、駆け寄ってくるのがたまらなく可愛い。


 最近、俺がやたらと彼女にかまわれている気がするのは、気のせいなんだろうか。好きだ発言でまんまと意識してしまったせいなのか…

 どうひいき目に見てもファンデちゃんの好きはライク的な好きでラブではない。おまけに自分は身分こそ悪くはないが、容姿は十人並みだし彼女よりも弱いし、10歳差はでかいよな…貴族の結婚に10歳差は普通だからバングナルト様達は全く気にしてないけど、彼女からしたら俺はおっさんだろう。


「クレストさん!今日はクレストさんにお弁当を作ってきたんだ!ルージュに教わったから、味は大丈夫だ!マカラが男は胃袋をつかめばいいって言ってたが…胃袋をつかんだら痛いよな?」


「死ぬからやめようね」


「だよな!」


 ファンデちゃんの頭を撫でながら白目をむきそうになっていた。

 女王(マカラ)様は何がしたいんだ…ファンデちゃんは天然だが思いやりのある子で良かった。物理的に胃をつかんだらスプラッタな未来しか浮かばない……いや、ちゃんと修正しとかなきゃな。


「えっと、ファンデちゃん」


「なんだ?」


「胃袋をつかむってのは、美味しいご飯で相手をメロメロにしちゃうことなんだ。物理的にやったら死ぬから、しちゃダメだよ」


「わかった!しかし、なんと恐ろしい作戦なんだ…」


 ファンデちゃんにはとてつもなく有効な気がした。よし、ファンデちゃんも思わせぶりな態度をされるとどんな気持ちになるか体験すればいい。


「とりあえず、せっかくファンデちゃんが作ったんだし、食べようか」


「ああ!」


 ファンデちゃんはせっせとお茶を用意した。


「これは朝摘んだミントで作ったんだ。スッキリするぞ」


「ファンデちゃんのお茶は美味しいから楽しみだな」


「!?…そ、そうか?ならよかった」


 何?なんなの、この生き物。すげー可愛い。ほっぺを赤らめて…誤解しそうになるなぁ……

 ファンデちゃんが作ってきたのは大量のサンドイッチだった。




 いや、訂正する。超大量のサンドイッチだった。




 頑張ったが、当然俺は普通の人間だから限界がある。もはや思わせぶりとかやってる場合ではない。このサンドイッチをどうにかしなければ…!

 ちらりと見れば、腹を空かせていそうなファンデちゃん。腹ペコなのに俺にサンドイッチを?俺、彼女にかなり好かれているんじゃないかと自惚れそうになった。


 しかし、今大切なのはそこではない。いかにしてサンドイッチを処理するかが重要なのである。


「ファンデちゃん、俺お腹いっぱいになってきた。ファンデちゃんも食べない?」


「いや、これはクレストさんに…」


 と言いつつよだれが出ているファンデちゃん。あと一押しだな。


「一緒に食べた方がおいしいし、俺ファンデちゃんがうまそうに飯食うの見るのが好きなんだ」


「!!そ、そうなのか!?」


「うん」


 お?食いついた。よしよし。俺はファンデちゃんにサンドイッチを渡す。するとファンデちゃんは、あっという間にサンドイッチをたいらげた。


「はっ!」


 そして、青ざめた。なんでだ?


「すまなかった…クレストさんの分まで……」


 ああ、そういうことね~。涙目のファンデちゃんをよしよしする。


「いや、俺腹一杯だったから大丈夫。腹減ってたのに俺に食わせようとしてくれたんだな。ファンデちゃんは優しいな」


 つい、言葉が…口調が甘くなったのがバレたのだろうか。ファンデちゃんは真っ赤になって固まった。


「…ファンデちゃん?」


「はっ!や、その…く、クレストさんは少食だったな!すまない、忘れていた!そ、それから用事を思い出したので失礼する!!」


 ファンデちゃんはすごい早さで片づけて、あっという間に見えなくなった。

 あれは照れたのかと思ったが、俺が彼女ほどは食わないと思い出したからなのかな……



 前途多難な片想いに、ため息を吐くしかない俺だった。






 しかし、胃袋をつかむってのはいい作戦なんじゃないだろうか。俺はファンデちゃんのために菓子を作った。我が家の嫁げない姉に脅され…いや、頼まれて作っていたからそれなりに得意だ。ルージュ様からファンデちゃんの好みも聞いたし、完璧な出来だと思う。


「ファンデちゃん」


「クレストさん!どうしたんだ?」


 俺に声をかけられ、駆け寄ってくるファンデちゃん。今は休憩時間だから問題ないだろう。


「はい、これ」


 ファンデちゃんに大きめの包みを渡した。


「わ、可愛いな」


 ラッピングも頑張ってみた。こういうの、見た目も大事だしな。


「食べてみて。クッキーだよ」


「なら遠慮なく……………うまい!え?なにこれ…うま、うまい!!」


「はは、ならよかった。これ、俺が作ったんだ」


「…………え?」


 ファンデちゃんが複雑そうな顔をして……しまった!菓子を作る軟弱な男と思われたか!?


「あ、えっと、お礼!ファンデちゃんがサンドイッチ作ってくれたから俺もと思ってさ!ファンデちゃんの胃袋をつかめたらって下心もあるから遠慮なく食って!」


「…………え?」





 今、間違いなく余計な本音がポロリしたああああああ!!






 クレスト、お前はやればできる男だ!全力でごまかすのだあああああ!!


「あの「うまい?」


「え?ああ。すごくうまい」


「なら、たくさん作ったからたくさん食べてくれ。ファンデちゃんがうまそうに食べてるのを見るのが好きなんだ」


「!!ああ!ありがとう、クレストさん。本当においしいぞ!」


 素直に満面の笑みを見せるファンデちゃんに、俺は満足した。作戦とか一気にどうでもよくなった。この笑顔が見れただけで報われた。




 数日後。


「あの、またあのクッキーが食べたいんだ……だ、ダメだろうか……」


 律儀にまたサンドイッチを作ってクッキーをねだるファンデちゃん。胃袋をつかむことには成功したみたいだけど、代償は俺のハートでした。

 なんでそんなにくっっそ可愛いんだよ、ファンデちゃんよおお!!

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