鈍感な親友とお気遣い紳士
新章突入です。楽しんでいただけたら嬉しいです。
それは、ある日のティータイムに起きました。私、マカラ、ファンデの3人で仲良くお茶をしていたのです。ファンデが聞いてほしいことがあると言ったのです。
「なぁ、最近クレストさんが気になるんだ」
「…そうですの?」
いや、知ってましたわ。ファンデはいつもクレスト様を目で追ってますし、話す時はいつも嬉しそうで…正しく恋する乙女ですもの。クレスト様もまんざらではないらしく、ファンデにかまっています。
なんかこう…ペット的可愛がり方な気がしなくもないですが。
「なんかこう、見てると心拍数が上がって…かまわれると嬉しいんだ」
「…そうなんですの?」
いえ、知ってましたわ。恋する乙女の症状ですもの。さて、どう自覚させるべきかしら?
「…ファンデ」
黙ってファンデの話を聞いていたマカラが、爆弾発言をいたしました。
「貴方はクレスト様に発情しているのよ」
「そうだったのか!」
「ぶひゅ!?」
いや、そうだったのか!じゃありませんわ、ファンデ!あながち完全に間違いではありませんが、なんでよりによってそんなとんでもない言葉をチョイスするんですのマカラ!!
「げふっ!えふっ!」
言いたいことは多々あるのですが、むせてしまい言葉になりません。
人をからかうのが大好きな親友は、さらにとんでもないことをファンデに吹き込みました。
「ファンデ、クレスト様はいい雄よ。アピールしなくては、別の雌に盗られてしまうわ」
「…そう、だな。クレスト様…たくさんの女性から好かれている……」
「だからこそ、ファンデのモノにするためにアピールよ!手始めに、自分の気持ちを伝えてきなさい!!」
「わかった!行ってくる!!」
「ファンデ、まっ…げほっげほっ!」
あああああああ、行ってしまいましたわ。
「ま、マカラ!げほっ」
「…面白くなってきたわね」
マカラは愉しげに口元をゆるめました。ダメですわ。これは何を言っても通じないパターンですわ。
「行ってきた!」
「どうだった?」
「クレストさんに大好きだって言ったら、ありがとうって頭を撫でられた!」
ファンデは満足そうでしたわ。通じてない感が凄まじいけど、これはこれでいいのかもしれませんわね。
「ちっ、つまらない」
「マカラ!」
親友の恋愛で遊んではいけませんわ!マカラはよ~く叱っておきました。
たまに思うのですが、マカラは叱られると嬉しそうにしている気がします。何故かしら……
バングナルト様の執務室に書類を持っていきましたら、バングナルト様が迷惑そうにしていました。
「ルージュか…クレストがうざいんだがなんとかならんか」
「ちょっ!聞いてくれるぐらいいいじゃないですか!バングナルト様が行方不明の時の貸しを返してください!」
「…何か問題がありまして?」
バングナルト様はため息をつきました。
「なんでも、ファンデ嬢に『クレストさん、大好きだ!クレストさんを見てると心拍数が上がるんだが、マカラから発情しているのよって言われた!そうなのか?』と言われたらしい」
「ファンデがすいませんでした!!」
即座に謝罪いたしました。
「いや、いいんだけどさ…いや、よくないか。ファンデちゃんは本気なのかなぁ…」
不覚にも照れたような様子のクレスト様は年上なのに可愛いと思いました。
「クレスト、うざい。気になるなら本人に確認してこい」
「それができたら今悩んでないですよ!自分だって実はアヒルじゃないってルージュ様に明かせなかったでしょうが!気になってる子に実はなんとも思ってないとか言われたら、立ち直れない!!」
「やかましい!俺の場合とはまた違うし、見るからに脈ありだろうが!うだうだ言う暇があるならこの書類運びでもしていろ!!」
クレスト様はバングナルト様の魔法で執務室から追い出されました。
「…クレスト様ってファンデのこと……」
「…見ての通りだ。恋愛的な意味で好意がある。だが、相手は野生生物みたいな令嬢だからな…10歳の年齢差も気にしているようだ」
「野生生物…」
否定できないのが悲しいですわ。ファンデは昔からああでしたし……
あまりこじれてもまずいですし、念のために一応話しておくことにしました。
「…ファンデに気持ちを伝えてきなさいと焚きつけ、発情というワードを仕込んだのはマカラです」
何やら、頭を堅いものに打ちつけたような轟音がいたしました。
「バングナルト様?」
「………………………とりあえず、しばらくクレストから相談が続くのは理解した。一応可能性として聞くが、マカラ嬢を止められるか?」
「…面白い認定しちゃうと、飽きるまで無理ですわ……」
「………そうか………」
バングナルト様の執務室で、二人のため息が重なりました。止めたいのはやまやまですが…無理でしょう。むしろ止められると燃えるタイプで確実に悪化いたします。
クレスト様…ご健闘をお祈りいたします!!




