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私、みみっちい仕返しをいたします  作者: 明。
番外・ピアス編
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親友攻略計画・作戦完了!!

「これもいいな」


「オーナー、こちらなどはいかがです?」


「うん、可愛いな。それも取り置き。それから、この間仕上がったばかりの一点物があっただろう?持ってきてくれ」


「新作…靴ですね?かしこまりました!」


「かしこまらなくてよくてよ!どういうことよ!私は着せ替え人形ではなくてよ!」


 可愛らしく仕上げられたピアスは、リップルによって着せ替え人形のように扱われておりました。あの子の悪い癖ですわ…私も何度か餌食になりましたもの。


「あ、すいません。じゃあ、これまでの全部包んでくれ」


「全部!??」


「はい。足りませんか?」


「なっ、ば、馬鹿!恋人でもない女に貢ぎすぎよ!」


「だって、ピアスにどれも似合うんだもん!それに、先行投資だよ、先行投資。ピアスがうちの店の服を着てくれて、ソルレイクで流行れば儲かるし。向こうじゃこういう服は珍しいでしょ?」


「まあ…そうね…………うちの店?」


「うん?うん。ここはうちが経営してるんだ。僕の趣味なんだけど、それなりに儲けてるよ。はぁ、それにしても…ピアスは理想のモデルだなぁ…」


 リップルが連れてきたお店は、正確にはリップルと私が経営していた店。私はソルレイクに行く前に全権をリップルに渡したので、今はリップルの店なのです。

 うっとりするリップル。ピアスはアワアワしていますが、何か思いついたようですわ。


「不公平だわ。この店、メンズもありますわよね。私がコーディネートして差し上げますわよ」


「え!?やった!何を着る!!」


「ちょっと!乙女の前で脱がないでよ!!」


「えー?」


 平然と上半身を晒すリップル。メイドさん達からもきゃああと黄色い声が上がりました。少年と青年の狭間…まだ未成熟な美しい上半身。リップルは自分の魅力を自覚してますからねぇ。我が弟ながらあざと可愛いですわ。

 店員さん達はプロだからか見慣れているのか、苦笑しています。


「ね…ドキドキする?僕のこと…意識しちゃった?」


「ず、ずっと意識してるわよ!ばかああああ!!いいから服を着ろ!!」


 真っ赤になってポイポイと服を投げ渡すピアス。リップルは苦笑しながら渡された服を着るために試着室に入りました。


「………………意識なんか…ほんとはあの舞踏会からずっとしてたわよ…………ばか」


 リップルが脱いだ服を抱きしめて呟くピアス。






 か わ い す ぎ る !





 よろしくてよ!んもう、いっそ私が拐いたくてよ!ああああん、リップルったら!この決定的な一言をなんで聞いてませんのよおおお!!


「お嬢様…尊い……」

「はあ…可愛い……」


 メイドさん達が鼻血を垂らしてますわ。無理もありません。なに?なんなのあの可愛い生き物!!





「お待たせしました…」


 そして出てきたテンション低めなリップル。


「よく似合ってるわよ」


「アリガトウゴザイマス…」


 誉められても嬉しくなさそうなリップル。リップルの格好は…なんというか、可愛らしい。どこかの貴族のおぼっちゃん風でしたわ。要所にフリルがついたドレスシャツに、シンプルな大きめネクタイ。シルクハットは飾りのついた遊び心溢れる品。マッドハッターがかぶってるような帽子でしたわ。


「リップル、それは結び方が違うわ」


 ピアスがリップルのネクタイを蝶結びにしてしまいました。あら、可愛らしい。


「…嬉しいけど複雑……」


「似合ってるわよ。人に不本意な格好をさせたんだから、仕返しされても仕方ないでしょう」


「………ソウデスネー」


 リップルが本格的に拗ねましたわ。そんなリップルを見て、ピアスが不安げに言いました。


「…あんたさ、私で本当にいいわけ?」


「…はい?」


 ピアスの言葉の意味をはかりかねて、リップルが首をかしげました。


「さっきの令嬢じゃないけど、つり合わないでしょう?私は罪人よ。奉仕労働してるような前科持ち。あんたなら、もっと可愛くて素直で条件がいい…優良物件な令嬢をいくらでも探せるわよね?」


「ピアスは条件がいい相手と結婚したいんですか?」


「……はい?」


 今度はピアスが首をかしげていますわ。


「なら、その条件を提示してください。流石に年上にはなれませんが、今後の成長に期待ってことで。同年代の中では落ち着いてる方だと思います。ピアスに苦労はさせませんよ。金銭面はピアスは浪費家ではないようですし問題ないでしょう。僕は宰相職に就くつもりがないですから領地経営も僕がやりますし、家の采配ぐらいですかね。それも嫌なら僕がやります。義姉が親友なのもポイント高くないですか?」

「ま、待ちなさい!なんか話がおかしい!!」


「………はい??」


「なんで私が選ぶ側なのよ!」


「……そりゃ、僕がピアスにべた惚れだから」


「だ、だーかーらー!私じゃあんたにはつりあわないって言ってるのに、なんであんたが選ばれる側なのよ!」


 リップルが首をかしげる。


「…そもそも、僕はピアス『で』いいと妥協してるわけじゃない。ピアス『が』いいんだよ。ピアスだけがいいんだ。だから、僕はピアスに愛を乞うている。ピアスに選ばれたいんだ」


 いやあああああああ!!

 よく言いましたわ、リップル!よろしくてよ!流石は我が義弟!やる時はやる子ですわ!!


「!!?なっ、そん…」

「僕、そもそも長期戦を覚悟してます。なんなら奉仕労働期間が終わってからでもいい。真っ直ぐで可愛い君が大好きなんだ。だから、ゆっくり僕を受け入れて…いつか僕を好きになってほしいんだ」


「…………ばか!」


 ピアスがリップルを叩きました。


「痛い!?」


「もうメロメロよ!大好きよ!脈があるぐらい見てればわかるでしょ!というか、あんた途中から完全にわかっててやってたでしょ!!」


「………ああ、うん。そりゃ僕だって負け戦はしたくないし」


 うん。絶対わかっててやってましたわよね。リップルも隠す気がないらしくあっさり同意しましたわ。


「ああもう、違う!言いたかったのはそこじゃないのよ!」


「?」


 違いますの?え?私もリップルもキョトンとしていますわ。


「一回しか言わないから、心して聞きなさい!リップル=ガーネット!!」


「え?…はい」


「わ、私はあんたを異性として好きよ。せ、責任とって婚約しなさい!!」


「喜んで!あああ、もう!僕カッコ悪いけど超嬉しい!!もちろんだよ、ピアス!婚約しよう!!成人したらすぐ結婚しようね!」


「きゃあ!?」


 ピアスを抱っこしてクルクル回るリップル。細いわりに力もちなんですよね、うちの義弟。


 よろしくてよ!とてつもなくよろしくてよ!!でかしましたわ、リップル!!これでピアスは我が義妹ですわぁぁぁ!!


「あーあ、ピアスに婚約申し込まれちゃうなんてカッコ悪い。でも、こんな僕でもいいの?」


「…そんなあんたがいいの!」


「じゃ、これ受け取って」


 リップルは懐から装飾品…ピアスと指輪を出しました。姿勢を正し、ピアスにひざまずくとピアスと指輪を差し出しました。

 ソルレイクでは婚約者の瞳の色をしたピアスを身に付ける風習があります。我が国の指輪と同じ意味ですわ。バングナルト様も私の瞳と同じ色のピアスをしていますわ。私は以前もらったピアスをずっとしています。


「…ピアス=ビネー嬢。愛しています。どうか、僕の色をその左耳につけてください。ソルレイクにはない習慣ですが、我が国には婚約した際左の薬指にはめる指輪を贈るのです。僕がつけていい?」


「………うん」


 真っ赤になって笑うピアス…本物の天使じゃありませんこと!?


「やっぱりこのまま拐いたい…拐ったらだめ?」

「いいわけないでしょ!どんだけ私を拐いたいのよ!」


「……だって、側にいたいんだもん…だめ?」


 リップルが目を潤ませてピアスに懇願しました。我が義弟ながら…あざといですわ。結局付き合いたての可愛い婚約者に完全敗北したピアスは泊まる約束をさせられておりました。


「ミッションコンプリート!お祝いしますわよ!」


「はい!」

「お嬢様、お幸せに…」

「可愛かった……」


「………ルージュたん、他人んちでナニしてんの?」


「あ」


 帰宅したイーリから、白い目で見られました。


「…イーリ」


「何?」


「イーリも義妹になるのかしら?」


「やだもう、ルージュたんの天然!意味わかんねぇ!!ちゃんと説明してよ!ツーとカーで凡人は解りあえないんだよ!」


 ちゃんと説明しましたわ。結局イーリも私の義妹になるのかはよくわかりませんでした。

 その後、メイドさん達と祝杯をあげました。



 ピアス、おめでとう!!



 おーほほほ!可愛い義妹をゲットしましたわ!

 これからの毎日も、とっても楽しくなりそうです。

 大変楽しいテンションで書きました。次はファンデにするか、もう一話ガールズトークを入れるか考え中です。

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