親友攻略作戦・敵と遭遇編
ピアスはリップルへの反撃を存分に楽しみました。そろそろ移動するようです。
当然会計はリップルですわ。可愛らしくラッピングされた 包みをピアスに渡しました。
「これは?」
「細工茶とガラスポットだよ。今回のもの以外のフレーバーも詰めてもらった。ガラスポットは…細工茶は見て楽しむためのものだからね。気に入ってくれたみたいだし、それを見てデートを思い出してくれたら嬉しいなって下心もあるから受け取って」
「本気で手慣れてない!?あんた、どんだけ女を騙してるのよ!」
「ぼ、僕なりに頑張ってるだけ!騙してないよ!細工茶を見てるピアスが嬉しそうだったからプレゼントしたら喜んでくれるかなと思ったからプレゼントしたの!」
リップルは必死ですわ。そりゃ本人にしてみたら、
本命からの遊び人レッテルは嫌ですわよね。
「…悪かったわ。ありがとう…すごく、嬉しい」
ピアスがデレましたわ。すごく可愛い。
「ならよかった。ガラスポットも可愛いやつを選んだんだよ」
リップルはお店に飾られた薔薇の透かしが入ったガラスポットを指さしました。
「普通の紅茶にも使えるからね」
「………うん。大事に使う」
ふんわりと笑うピアス…可愛いぃぃ!!リップルも見惚れていますわ!!
庭園を出て町を案内することにしたようですわ。あら、このお店は……
「わ…可愛い……」
リボンとフリルの可愛らしい空間。今、貴族・庶民を問わず人気のお店なのですわ。
「気に入りました?」
ソルレイクと我が国では、微妙に流行している服が違います。現在の我が国の流行はプリンセスライン。ソルレイクはマーメイドライン等の体のラインが出るドレスが流行っています。
「まぁ、リップル様」
「…お久しぶりです、オニキス侯爵令嬢」
リップルは即座によそいきの表情をつくりました。目が笑ってませんわ。明らかに『チッ、邪魔しやがって』と目が語っております。
「嫌ですわ、そんな他人行儀な呼び方をなさって」
「いえ、貴女に失礼な呼び方をするわけにはまいりませんから」
※いいえ、他人ですから。
「まあ…うふふ。仕方ないわ。リップル様ったら、律儀なんですから」
「ありがとうございます」
※律儀なんじゃなくて親しげに呼びたくないんですよ。誤解してくれてありがとうございます。
何故かしら。リップルの内面がわかるわ……私もオニキス侯爵令嬢は苦手なんです。なんというか、こう……差がすごいのですわ。気に入った男性や格上に対する態度と下への態度が違いすぎるのです。
「よければご一緒しませんこと?」
「申し訳ありません。最愛の女性をエスコートしておりますので」
「さっ!??」
「…まぁ」
ベタベタとリップルになれなれしいオニキス侯爵令嬢にイラっとしていたピアスは、いきなりの『最愛』爆弾にアワアワしていますわ。逆にオニキス侯爵令嬢は面白くなさそうですわね。
「ごきげんよう、ずいぶん流行遅れな装いですのね」
「…………………」
ピアスは微笑むだけで、返事をしませんでした。リップルも苦笑しています。
「何か言ったらいかが?」
ピアスを大人しいご令嬢だと勘違いしたオニキス侯爵令嬢が強気で声をかけました。
「貴女のような失礼な女性と話したくありませんわ。ルージュによく言っておきます」
「………は?」
私?あ、なるほど。
「今日の装いは、ルージュ=ガーネット公爵令嬢にコーディネートをお願いしましたの。よく話しておきますわ。私、これでもソルレイクの公爵令嬢ですのに、名乗りもせずに親友が頑張って考えてくれたコーディネートを流行遅れな装いですのねって言われたわって」
「!??」
真っ青になるオニキス侯爵令嬢。相手が悪すぎましたわね。
「ああ、ピアス!」
やや芝居がかった様子でリップルが便乗しました。
「僕のために、義姉様にコーディネートをお願いしたんだね!?こんなにいじらしく可憐な貴女をエスコートできて、僕はなんと幸運なんだろう!」
「ちょっ、近い!」
「義姉様は僕の好みをよくわかってらっしゃるから、流行より僕の好みを優先してくれたのだろうね。不快な思いをさせて申し訳ありません。腑甲斐無い僕を許してくださいますか?」
ひざまずいて上目遣いに許しを乞うリップル。あざといですわ。
「うっ!?ししし仕方ないわね!リップルが悪いわけではないわ。貴方は許してあげてもよくってよ」
でも、オニキス侯爵令嬢は許さないと。大丈夫、後ほどリップルと念入りにシメておきますわ。
「ああ、ピアス!」
「きゃあ!?」
リップルがピアスを抱きしめました。
「嬉しいよ!義姉様に頼んでコーディネートをお願いしただなんて!僕とのデートを楽しみにしてくれていたってことでしょう?」
「ふぬあっ!?そのっ、それは………そう、ですけど……」
「ああ、なんていじらしくて可愛いんだ!もうこのまま拐ってもいいですか!?一生幸せにしますから!」
「なっ、ばっ、いいわけないでしょう!」
「えー?でも、ピアスは僕が嫌いじゃないですよね?僕を弄んだんですか?キスまでしてくれたのに…」
「き、きらいじゃ…ない、けど…」
「年下はきらい?」
「きらいじゃ、ない」
そっとピアスの唇にリップルが触れました。
「僕は、ピアスが…」
きゃあああああああ!
顎クイ!リアル顎クイからの……
「ふ、不潔ですわ!リップル様、見損ないましてよ!」
「!?」
「!!」
ピアスが凄い速さでリップルから離れました。リップルが舌打ちしましたわ。
惜しい!惜しかったですわ、リップル!!あと一息でしたわよ!!
「…僕もいかにオニキス侯爵令嬢が無知で傲慢で失礼な方か、今回の件でよくわかりました。後ほど正式に抗議させていただきます。お覚悟を。お客様がお帰りだ!盛大にお見送りして差し上げろ!」
リップルが手を叩くと、従業員の屈強な男性達が護衛と一緒にオニキス侯爵令嬢を店外にポイいたしました。
「……………え?」
展開についていけないピアス。再びリップルが手を叩くと、今度は女性の店員さん達がわらわらとやって来ました。
「やあ、予定通り頼むよ」
『かしこまりました!!』
女性店員さん達はきれいにお辞儀をすると素早く散開し、ピアスを連れていきました。
「ささ、お嬢様。こちらへ」
「腕がなるわぁ」
「流石はオーナー、素晴らしい逸材ですわ」
店員さん達は見事な連係プレーでピアスを試着室に連行しました。
「え!?ちょ、きゃあああああああ!!」
そして、ピアスは可愛らしくゆるふわ巻きにされ…可愛らしいお嬢様ルックで連れてこられました。
やりますわね、リップル。私のコーディネートは確かにピアスの魅力を引き出しておりましたわ。
しかし『こんな可愛らしい格好、私には似合わない』と恥じらうピアス…アリですわ!しかも可愛らしい格好も似合っているではありませんの。シンプルで愛らしい服なので、素材の良さが引き立っておりますわ。
「…拐ってもいいですか?」
「いいわけあるか」
リップル、わかりますわ。拐いたいぐらい可愛いと言いたいのですわね!
よろしくてよ!そのままむしろ拐って、ピアスを我が義妹にしてしまうのですわ!!
とりあえず、敵は私が殲滅しておきますからね!ちゃんとお父様とじいによく言っておきますわ!
オニキス侯爵令嬢、終了のお知らせ。




