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バルちゃんの正体

 バルちゃんにつつかれまくった黒い青年はぐったりしています。その頭で勝利の雄叫びをあげるバルちゃんの、なんと素敵なことでしょう!


「さて、貴方がバルちゃんの片割れさんかしら?」


「片割れ…そうだな。私はこいつの半分だ」


「…バルちゃん、何か思い出しまして?」


「ん?大体は多分思い出した。半分、俺は人を滅ぼさない」


 アヒル姿のままで首をかしげると、バルちゃんは黒い青年に話しかけました。


「どうしてだ、半分!人間は、私達の大事な人間を殺した!お前が記憶を失わねばならぬほど辛かったのだろう!?だから一度は滅ぼそうとしたではないか」


「そりゃ間違いだ、半分。あいつらはそんなこと望んじゃいないし、俺達の私情で裁定を下してはいけない」


 バルちゃんと黒い青年は、元魔王だったようですわねぇ。


「どういうこと?」


「うちのバルちゃんは元魔王だったようですわね」


『…………………』


 あら?皆さん固まりましたわ。話の流れからいって、間違いないですよね?


「違うな。俺が寝てる間に半分が魔王になったらしい」


「あら、そうでしたの。ところで、バルちゃんの半分さん」


「……なんだ」


「貴方は何故人を滅ぼすのか。何故人を滅ぼす判断をしたのか。何人に関わったのかを教えていただけますか?」


「は?」


 あら、聞こえませんでしたの?


「貴方は何故人を滅ぼすのか「聞こえてはいた!何故答えねばならんのだ!」


「だって、滅ぼされる側としては何人に関わり、どのように判断をしたのかぐらいうかがいたいです。今の人口がいかほどかご存知ですの?こちらだって不服を申し立てたいですわ。もちろん、こんな年端もいかない小娘ぐらい簡単に論破できますわよね?神に遣われし裁定者様なのですから」


「……い、いいだろう」







 5分後。


「なめてますの?」


「……………」


「そんなの人間のごくごく一部じゃありませんの!私情で仕事をするとかどうなんですの!?」


 半分さんとバルちゃんが大切にしていた村を焼いた人間に悲しみ、深い眠りについたバルちゃんとキレて魔王になっちゃった半分さん。確かに悲劇的ですわ。でも、一言言わせていただけるかしら?






 仕事をなめてますの!?









「よろしくて!?最低でも世界数ヵ所をランダムにとか、やりようはいくらでもありますわ!個人的感情で決定するなど愚の骨頂!!やる気はありますの!?怠慢もいいところですわ!」


「「す、すいません」」


 何故かバルちゃんまで正座してますわ。まぁ、バルちゃんも同罪ですわね。仕事放棄して寝ていたのですから…あら?バルちゃんの方が酷い気がしますわ。


「貴殿方がそんなだから、私が勇者になってとか言われちゃったのですわ!反省してくださいませ!!」


「「は?」」


 白き生き物は、神の使い。バルちゃんも半分さんも神の使いだと、私は聞いていました。





「カモン、ポッポちゃん!」





「ポッポ…じゃなかった、くわぁ!」





 そして、顔は大きなアヒルさんで首から下は全身タイツにふんどし姿のポッポちゃんが現れました。

 バルちゃんと半分さんがやっつけ仕事過ぎるのでフォローする羽目になった上司的神の使いなのですが…変な人にしか見えませんわね。本来業務は神が選定した勇者のサポートらしいですわ。


「「ポッポ様!?」」


「まったく、嘆かわしいです。神の裁定者が仕事は放棄するわ、先走って滅ぼそうとするわ…」

「チェンジ」


「………………」

「チェンジ」


「あの」

「チェンジ」


「ちょ」

「チェンジ」


「………どのような姿ならよろしいでしょうか」


「私に滅されたくなければバルちゃんを見習ってきちんとしたアヒル姿になってたくださいませ。私はその姿を許容できませんわ。それはアヒルのようなナニかです!」


「…今回の勇者様は尻を好まれるとうかがったので究極に美しい尻を目指したのですが、お気に召しませんでしたか」


「はい」


 残念ながらバングナルト様以外の男性の尻に興味はありませんわ。確かに美尻ですけども。気になんか…ちょっとしか気になりませんわ!


「………くるっぽ~」


 ポッポちゃんはしょんぼりしながらも完璧なアヒル姿になりました。


「あ、それからポッポちゃん」


「はい」


「勇者には私より彼女が適任ですわ」


「………………は?」


 私はレッタを前に出しました。


「レッタ、半分さんとお話ししてくださいませ」


「へ?は、はい。あの、勇者「レッタ、やりなさい」


「かしこまりました!」


 レッタのスイッチが入りましたわね。パワハラな気がしなくもありません。


「なんの話をしたらよろしいのですか?」


「貴女の思うままでいいですわ」


 戸惑いながらもレッタは半分さんに話しかけました。


「えっと…レッタと申します」


「……ああ」


「滅ぼすのはやめてほしいです」


「何故だ」


「やりたいこと、たくさんありますし…半分さんは魔王になって、滅ぼして…後悔しませんか?」


「後悔?」


「だって、話を聞いてましたが半分さんは仲良しの人を殺されたから人間は滅ぼすべきと判断したんですよね」


「ああ」


 半分さんは頷きました。


「じゃあ、半分さんに大事な人を殺された人はどうなりますか?半分さんは人間を滅ぼすんですよね?何も悪いことなんてしてない子供も、赤子も殺すんですか?全部殺したら終わりなんですか?」


 レッタは責めているわけではないようです。ただ真っ直ぐに半分さんを見つめています。


「ならば、お前は…お前が私の立場ならどうする?」


「とりあえず、対話してみます。本当に性根から悪人なんてそうそういないかと。根性が悪い人間はいますが、生育環境なんかが原因だったりしますし」


「……………そうか」


「私はアヒル様に恩がありますから、お手伝いしましょうか。いろんな人と話してみてください。そして、それでも滅ぼさなきゃって思うなら…」


「……なら?」


「滅ぼさなきゃいけない原因を一緒に解決しましょう。アヒル様とルージュ様がいれば、大概の事はなんとかなります」


 レッタの言葉にバルちゃんと私が頷きました。


「国を支える者として、他人ごとではないからな。俺も力になろう」


 流石はバングナルト様!素敵ですわ。


「私もよ。何ができるかわかんないけど、手伝うわ………ととと友だち……だし………」


「やっべ、うちのお姉さまがデレた。テラかわゆす」

「ツンデレ萌え尊い…」

「ピアスったら可愛いですわ!」

「ありがとうございます、ピアス様」


「可愛くないわよ!真面目に言ったのよ!!」


 いや、可愛いですわ。強きな美少女のデレ、ごちそうさまでした。


「……なるほど、では二人で勇者ということでよろしいですか?」


「待って」

「お待ちなさい」


 なんでそうなりますの!?私はなにもしてませんわよ!?私もレッタも真顔でしたわ。


「う、うるさい!とにかく私は人間を滅ぼすんだ!」


 黒い魔力が半分さんを包み、繭のようになりました。


 そして、そこから現れたのは………………

・ポッポちゃんが現れた!

・魔王?は変身した!



 ポッポちゃんはロッザリンドォォ!のお仲間な鳩みたいなアレと同じ存在です。

 詳しくは、悪役令嬢になんかなりません。を読んでみてください(宣伝)

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