そして悪役令嬢は微笑む
魔力を探知して、上手くピアス達と合流できました。チャラさを置いてきた保健医に会い、ピアス達に会って驚きましたわ。ピアスはイーリを許したのですね。
ピアスは回復したので、今はハルルちゃんにイーリを回復してもらっています。生命力まで削るなんて、たちの悪い術式ですわ。
「では行きましょうか。先生は城を出て、救護をお願いします」
「いや、僕も行く」
「足手まといだわ。あんたは関係ないし」
ピアスがズバッとチャラい保健医を一刀両断しました。
「お兄ちゃん、回復はスペシャリストだけどねぇ…」
イーリも苦笑しています。
「先生、城外には怪我人がおります。今、先生の力を必要とする患者がたくさんいます。イーリは私が必ず守りますわ。彼女はきっとこの事態の切札になります」
「…わかった。イーリを頼む」
チャラさを置いてきた保健医は外に向かって駆け出しました。彼を連れていかない理由はもうひとつある。
「バルちゃん、いらっしゃい」
陣を展開してバルちゃんを召喚しました。チャラい保健医の裏家業が厄介だから、話を聞かれたくなかったのです。彼は祖国の諜報員…私たちの監視者だから。
「ルージュ…」
私に召喚されたバルちゃんは何やら元気がないみたいですわ…あら?レッタも連れてきてしまいましたのね。アワアワしてますわ。
「バルちゃん、約束を果たす日が来たようですわ。探し物、見つけてしまいましたわね」
「…そのようだな」
バルちゃんが苦笑して茨に介入すると、次々に茨が道をあけていきます。
「あ、アヒル様…アヒル様はいったい『何』なのですか?」
レッタがおずおずと聞いてきました。
「俺か?わからん」
「存じませんわ」
「…は?」
「だから、それを探していた。多分答えはこの奥にある」
「バルちゃんは私と出会った頃に記憶がありませんでしたし、封印されてましたの。私は世界中を飛び回る予定でしたから、覚えてないなら探しに行こうと約束して今に至ります。話は移動しながらでもよいでしょう。早く行きましょう」
移動用のアヒルさんに私とバングナルト様、ピアスとイーリ、バルちゃんとレッタで乗り、道を開けた茨の中を走ります。
レッタを城外へ転移させることも話しましたが、レッタは狙われる可能性が高くバルちゃんが守るので連れていきたいと言われたため同行することになりました。
「なんで今回の件がアヒル様に関係あると思ったのですか?」
「ああ、イーリの術式を書換した時に、アイラ以外の魔力を感じましたの。それはバルちゃんに酷似していましたから。恐らく記憶が戻らないまでも、ヒントにはなるでしょう」
「…それに、呼ばれている。さっきまでは聞こえなかったが…何かに呼ばれているんだ。すまない、レッタ。お前が狙われたのは恐らく高魔力保持者だからじゃない。俺がお前を愛しているからだ」
「………あい?」
「そうだ。懸命に生きるお前が何より愛おしい。俺を呼ぶのは恐らく…」
バルちゃんが茨の奥、地下を見つめました。
「俺と同じか似たモノなのだろう」
「アヒル様…」
「俺は、レッタにとって良くないモノかもしれない。だから、答えなくていい。俺がお前を愛しているだけだ」
「アヒル様…」
「いつか、名を思い出したならお前に呼ばれたい」
そっとレッタを抱きしめるバルちゃん。きゃああ!胸キュンですわね!
「…楽しそうだな?」
「ええ、目指すはハッピーエンドですわ!人生は一度きり!後悔無きよう楽しまなくてはなりません!」
私はあの婚約破棄の時に決めましたのよ。私は自分の力で望む道を歩いていこうって。
「もちろん、貴方と一緒にね」
「…ああ」
手を伸ばせば握ってくれるこの手があるなら、怖いものなどなにもありませんわ!!
私は微笑み、地下に向かって走るアヒルさんのスピードを上げるのでした。
・バルちゃんのレッタへの親愛度が最高値になった!
・レッタのバルちゃんへの親愛度が上がった!
・ルージュのやる気が上がった!




