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姉妹の絆

 ピアス視点になります。

 夜中に、何かが破壊されるような音と悲鳴で目が覚めた。ルージュがもしかしたら私の口を封じるために刺客が来るかもと言っていたからそれかしら。


 念のため、外に出ても問題ないワンピースで寝ていた。様子を伺うか考えていたら、ドアが破壊された。


「きゃああああああ!?」


 緑色のうねるもの…茨の化け物!?ルージュから渡されたアミュレットが結界を展開してくれたおかげで私は無事だった。


「イーリ!イーリ!」


「お兄ちゃん、逃げて!私は大丈夫だから!」


 ドアが破壊されたからか、声が聞こえてきた。どうにか茨を潜り抜けて隣室にたどり着く。


「君は大丈夫そうだな!」


 えーと、この男性は…変態王太子…だっけ?


「はい」


「早く逃げるんだ!」


 変態王太子は茨に捕まった使用人を助けていたが、攻撃時に結界を解除してしまったらしく茨に捕まり他の使用人と違いどこかへ連れ去られてしまった。やられるのが早すぎやしないだろうか。


 あっという間だったので、何もできなかった。そもそも私は呪い以外の魔法は不得手だからできることなど少ないだろうが。


「イーリ!今、助けるから!」


「お兄ちゃん、血が!」


 こっちはこっちで修羅場みたいだ。


「…イーリ」


 腹違いの妹は、茨に捕まっているのではない。魔力を感じればわかる。彼女は今、この茨魔法の一部になっている。


「お姉さま!お兄ちゃんを連れていって!このままじゃ…た、頼める義理なんかないのは解ってる!どんな償いでもするから、お願い!」


「………嫌よ」


 ああ、あんたでもそんな必死な表情するのね。あの作り笑いより、よほどいいわ。


「邪魔、どいて。あんた、ルージュを呼んできなさいよ。その方が大事なこの子を助ける確率は格段に跳ね上がるわよ」


「!!わ、わかった!君は!?」


「呪術なら、私の得意分野よ。ルージュが来るまで保たせるわ。急いで。そんなに時間は稼げない」


 シャクだけど、あのマカラから呪術のノウハウを教わった。使うかはさておき、教わって損はないと考えていた。まさかこんなに早く使う機会があるなんてね。


 呪術に介入する。解除は無理。こんな緻密なやつ、変にいじったらどうなるかわからない。だから私にできるのは阻害だ。

 この呪術は明らかにイーリの魔力と命を吸い上げて使っている。呪術の大元は別にある。だから、私は魔力と命を吸い上げられないよう、イーリを結界でくるむのだ。更に、吸い上げられないよう方向性を大元に向けさせる。後は、ルージュが来るまで保たせなくてはならない。


「お姉さま、なんで…」


「これが終わったら、一発殴らせて」


「は?」


「それでチャラよ」


「お姉さま?」


 あら、鳩が豆鉄砲を食らったような表情って言うのかしら。これも初めて見たわ。


「私だってあんたを虐めていたもの。やり返されても仕方ないわ」


「え……」


「だから、一発殴ってチャラにしてやるって言ってるの。殴るためにはあんたがピンピンしてないと困るのよ」


「……え……」


「ルージュを待つ間、暇だわ。あんた、なんか面白い話しなさいよ。そうね、うちに来る前がいいわ。庶民の暮らしってどんな感じなの?」


 とりあえず、すべきことはしたから後は魔力を調整するだけだ。雑談ぐらいはできるだろう。


「ちょっ、この状況で面白い話しろとかどんな俺様ですか!?」


「オレサマ?私はあんたのお姉さまよ」


「ぶはっ!やっべ!お姉さま面白い!!」


「そう。よかったわね」


 あんたも見てて面白いわよ。コロコロ表情が変わるもの。


「そうですねぇ…ならうちの孤児院の家族の話をしても?」


「いいわよ」


 イーリの話は面白かった。自慢の兄姉、可愛い弟妹…私の家にはない優しさと温もり。知ろうとしなかったイーリの過去は、とても優しいものだった。


「それでね、うちの…あー、すいません。しゃべりすぎました?」


「いいえ。面白いわよ。おっちょこちょいのお兄さんが好きなのね」


「ぶふっ!?ななななな!?」


「聞いてりゃ解るわよ。で、おっちょこちょいのお兄さんがあんたの『お兄ちゃん』なわけね」


「うああああ…なんでバレたぁぁ……」


「あんた、ものすごーくわかりやすいわよ」


 イーリが項垂れた。耳まで赤い。恋愛かぁ。私もしてみたいな。


「妹にも言われました…」


「でしょうね」


 もっと早くちゃんと話してみればよかった。ルージュにだって…そうしたら、もっと違った関係になっていたかもしれないのに。


「あの、お姉さまはどうしてルージュたんと仲良くなったんです?」


「そうね…あんたにやり返されて虐められて、精神的にもベッコベコだった時に優しくされたからかしら?」

「大変申し訳ありませんっしたあああ!!」


 本当は、他にも理由があるのよ。あの子も私と同じく苦しんだから。彼女いわくみみっちい仕返し。本当は、きっともっとやり返したかったんでしょ?それをしなかった彼女の強さを羨んだ。そして、自分の醜さを理解して、変わりたいと願った。彼女…『ルージュ』のようにありたいと。自分で婚約者との関係にけりをつけて、自分で愛するものを見つける強さが欲しい。


 ねぇ、ルージュ…


 わたしは、かわれた?


 あなたはいったわ。


 わたしが、どろだらけであっても、きぜんとしてほこりたかいって。



 わたし、そうなりたい。



「お姉さま!?」




 ルージュみたいになりたいの。すこしは、ちかづけたかな。イーリをゆるして、なかよくなったり…したいな。ルージュもいっしょに、おしゃべりしたい。




「遅くなりましたわ。よく頑張りましたわね、ピアス」


「…うん」


 倒れる私を支えたのは、アヒルに乗った親友でした。

・ピアスとイーリの親密度が上がった!

・ルージュ達が合流した!

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