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とある侍女は腹をくくる

 あの悪夢としか言いようがないダンスパーティで疲弊した私は、疲れきってさっさとベッドに入りました。私は住みこみで働いているので、城に自室があります。小さいながらも清潔で、自分で作った小物で飾り落ち着いた空間になっています。


 抱っこしていたアヒル様がイケメンになることについては、もういい。考えたら負けだ。何かに負ける。明日でいい。疲れた。寝る。


 いつもは添い寝するアヒル様ですが、今日は今まで使用されなかったアヒル様用ベッドに入ってます。可愛い果物かごにフカフカなクッションを詰めたベッドに入るアヒル様は可愛い。


 可愛いアヒル様を眺めながら眠った。ちょっと寒い気がしましたが、気のせいです。寂しい気もしたような気がしないでもなかったような気がしますが気のせいです。





 そして、深夜に事件が起きました。


「キャアアアアアアア!」


「!?」


「くわっ!?」


 飛び起きて慌てて窓に駆け寄ると…

 何かうねうねしたものが人を襲っていました。私の腰より太い…あれ何!?蛇!?いや、トゲトゲして…茨!?


「きゃあっ!?」

「くわっ!」


 部屋のドアを破壊して、太い茨が部屋に入り込んできました。アヒル様によりすぐに茨は阻まれましたが、このままではアヒル様の魔力が切れて捕まってしまうに違いない。


「…アヒル様」


「くわ?」


 私は意を決してアヒル様に話しかけました。


「…アヒル様だけならば、逃げられるでしょう?私を見捨てて…いえ、私を助けるためにルージュ様達を呼んできてください」


 ルージュ様達なら、こんな茨なんて簡単にどうにかしてくれる。私達を見捨てたりしない。

 しかし、アヒル様は首を横に振った。


「くわぁ…」


 私を心配してくれているのでしょう。


「アヒル様、知っての通り私は足手まといです。今までずっと、アヒル様にたくさん助けていただきました。ですから、アヒル様…お願いします。私を置いていってください」


「…馬鹿娘が!まったく、頑固だな!」


「ひあ!?」


 視点がいきなり高くなる。どうやらイケメンバージョンなアヒル様に担がれ…た??


「俺を見くびるな!お前一人ぐらい守りながら逃げるなど、造作もない!」


「きゃあああああ!?」


 宣言通りにイケメン元アヒル様は私を担いで飛び降りた。ちょっと、ここ2階!?しかしイケメン元アヒル様は魔法でスムーズに着地しました。


「くそ、高魔力保持者を狙ってやがるのか!」


 執拗に追ってくる茨に舌打ちするイケメン元アヒル様。

 よく見たら茨に血まみれの騎士様が絡まって…いえ、あれは同僚の…一気に体温が下がりました。


「危ない!ファンデストロングスラァァッシュ!!」


「ぎゃあああああ!?」


 茨と共に、騎士様が吹き飛びました。同僚の侍女はクレスト様がキャッチしてくれました。





 え?





 騎士様ごと、茨が吹っ飛びまくっています。何故かファンデ様が剣を振るうたびに爆発するのです。クレスト様が『ファンデちゃん、手加減!手加減して!!』と叫んでおります。クレスト様は侍女回収に忙しい模様です。



「おーほほほ!私の奴隷になるなら助けてあげてもよくってよ!」


「ははははは、マカラ様の奴隷になれば幸せだぞ」


「ぐっ…奴隷は嫌だ…」

「死にたくない…従うしか…」

「吹き飛ぶよりまし…か?」


 マカラ様は何をやらかして…いや、真面目に茨を攻撃しているようですが、助けた相手に見返りを求めているようです。


 ヴェース殿下とリップル様はそれをどうにかする余裕がないらしく、チラ見してはいますが放置しております。



  とりあえず…今、私がすべき事がわかりました。戦力外な私でも、できることがあったのです。私は思いきり息を吸いこみ、叫びました。


「ファンデ様!騎士様ごと吹っ飛ばすのはやめなさい!ファンデ様なら茨だけ壊せるでしょうがああああ!!」


「えー?できるけどめんどい」


「やってください!!聞いてくれないなら、明日からしばらく野菜だけですよ!さあ、どうなさいます!?今すぐ決断しないと、明日はニンジンづくし、明後日はピーマンだけにしますよ!!」


「ぐうっ!?わ、わかった。肉なし野菜だけなんて耐えられない…」


 ファンデ様が了解しました。彼女は素直だから一度約束すれば必ず守ってくれる。


「約束しましたからね!…ファンデ様は強い騎士様なんだから…皆を守ってくれますよね?」


「ああ!任せておけ!!」


 晴れやかな笑顔で茨を破壊するファンデ様。こっちは大丈夫ですね!問題は…




「…マカラ様」


「何かしら?」


「…皆を助けてください」


「………は?」


「悔しいですが、私じゃ誰も助けられない!マカラ様達みたいに強くないんです!」


 私は自分で働く選択をして今に至る。自分のしてきたことに後悔なんかなかったけど、動かなくなる同僚を見て何もできない自分を悔やんだ。救う力がある人達が羨ましい。だが、今の自分にもできることがある。


「意地悪をしないで、私の同僚達を助けてあげてください」


「…対価は?貴女が私の奴隷になるの?」


「いいえ、マカラ様はそんなことを望んでいません。対等にものを言う私が気に入っていますから」


「…では、対価は?」


 鬼畜魔女(マカラ)様が愉しげに笑った。




「マカラ様のお友だちになります」




「…………………」


 私の覚悟を見よ!!私は鬼畜魔女(マカラ)様を見つめました。


「ですから、お友だちの頼みを聞いてください」


「ふふ…ふふふ…おーほほほほ!!し、仕方ないわね!と・も・だ・ち!の頼みだものね!!」


「ええ、お願いです。私の同僚達を助けてください」


「ええ、と・も・だ・ち!の私に任せておきなさい!」


 鬼畜…マカラ様は先程とはまるで違う動きで茨を無力化していきます。配下の変態は同僚の回収と避難誘導をしています。同僚よ、確かに美形だがうっとりしてはいけない。それは超弩級の変態だ。



 ルージュ様は無事だろうか…。こちらが落ち着いたら、探しに行こう。きっと、アヒル的になんとかしているだろうけど。

 そして私はファンデ様とマカラ様が無茶しないよう見張るのでした。

・マカラとレッタが友人になった!

・レッタは遠い目をしている!

・ファンデが羨ましそうにレッタを見ている!

・ヴェースとリップルがレッタにすげぇと驚愕した!

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