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このままでは終われない

 王太子殿下は私を取り戻すためにアイラ嬢に加担した。思考誘導があったとはいえ、彼は自らの意思で罪を犯した事を認めました。


 多人数の転移は私の転移陣でも莫大な魔力を要します。魔力チャージの関係と夜襲なんかが起きては困るので夜間はロックがかかる仕様なので明日王太子殿下とアイラ嬢は本国に送られて裁かれることになりました。王太子殿下はまだ王太子なので貴人用の牢に。アイラ嬢は通常の牢屋に入れられました。

 イーリとピアスも重要参考人として身柄を拘束され、貴人用の牢に入ることに。チャラい保健医がごねましたが、これはさすがに覆せないでしょう。最終的にイーリに説得されていました。

 ピアスは諦めたような様子でしたが、私がどうにかするつもりです。私のアイコンタクトに気がついて苦笑していました。


「…ルージュ、本当にいいのか?」


 バングナルト様に優しく問いかけられました。彼は私がジーク様を愛していたことを知っているから。


「はい。私は貴方を選びました。そこに後悔はありわせんわ。辛いとき、支えてくれたのは貴方でした。貴方が居なくなって…ジーク様に別れを告げた時よりずっと悲しかった…アヒルになってでも添い遂げたいと願うぐらいに大好きですわ」


「ルージュ…アヒルにはならなくていいからな」


 バングナルト様に苦笑しつつ抱きしめられ、皆から冷やかされたりした後。




 皆が寝静まった深夜に、それは起きました。

 私は悲鳴で目を覚ましました。


「!??」


 咄嗟に素早く衣服を身につけます。緊急時、魔法で瞬時に身につける乗馬服ですわ。


 そして、窓を開けて確認すると、異様な光景が広がっておりました。


「これは…?」


 例えるならば、茨姫。スリーピングビューティに出てくるような太い茨が暴れまわり、城を破壊しています。下から出ているようで、比較的上層にあるこちらには来ていません。しかし下働き等が犠牲になっており、見過ごすわけにはまいりません。


「カモン、アヒルさん達!!」


「くわ!」

「くわ!」

「くわわ!!」


 小さなアヒルさん達は、瞬く間に茨を食べていきます。やはり、何らかの魔法だったようですわ。私が召喚したアヒルさんは、魔法を食べて大きくなる魔法生物です。


「ぐわわわ!!」


 さらに、その吸収した魔力で回復・攻撃もこなしますわ!城の人々を救護するよう命令しましたから、恐らく問題ないでしょう。大元をなんとかしなくてはなりません。


「ルージュ!」


「バングナルト様!いい所に!」


「は?」


「凍らせてくださいまし!」


 魔法であっても植物をベースとした以上、凍結させれば動けない。凍結できずとも、動きは鈍る。バングナルト様は氷に適性がある高魔力保持者ですわ。ならば、城全体に効果を及ぼせるはず!


「任せろ!」


 バングナルト様の冷気で、茨は私の予測通り動きを鈍らせました。それを見て好機ととったのか一気に食いつくアヒルさん達。


「あ、ありがとう、アヒル!」

「私、もうアヒルを食べないわ!ありがとう!」

「アヒル様、ありがとう!!」


「……くわ?」


 あの…お城の方々、アヒルさん達が戸惑ってますんでさっさと逃げてほしいですわ。しかたないですわね。


「早くお逃げなさい!そのアヒルさん達は私の魔法で作られた魔法生物です!今は抑えられていますが、敵が違う手段を選べばどうなるかわかりませんわ!」


 アヒルさん達を拝んでいた人々は慌てて逃げ出しました。


「しかし、どうする?俺の魔力も無限ではない。このままでは…」


「そうですわね。バングナルト様の魔力が枯渇する前になんとかしなくてはなりませんわ」


 私は魔力を探りました。強くてよく知る魔力…どうやらファンデ、マカラ、ピアス、ヴェース王子とリップルは茨に応戦しているようですわ。クレスト様はファンデといるのですね。バルちゃんはレッタを守っていますわ。

 茨の中心に強い魔力反応…いえ、外側にも?中心には行けそうもないので、外側にある魔力反応に向かってバングナルト様と走り出しました。


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