洗いざらいしゃべ…らせない方がよかった気がします
私がしたお願い。それは大変快く、ノリノリで叶えられました。
「隷従せし者よ。ルージュ=ガーネットの問いかけに、何一つ偽ることなく答えよ!」
「なっ!?」
「ありがとうございます、イーリ嬢」
「いやん、イーリって呼んで!できたらルージュたんと仲良くしたいな!」
「…ふふ、ありがとう。イーリ」
さて、アイラ嬢には聞きたいことがたくさんありますわ。
「貴女の目的は?」
「…ルージュ=ガーネットを…ぐぅぅ…陥れる…こと」
抵抗しましたが、呪いに負けたようですわね。
「…何故?貴女が私から婚約者を奪ったのに…」
「あんたのせいよ!あんたが!あんたがいたから!!」
「!??」
「ルージュ=ガーネットを傷つけるな!」
「ぐあっ!」
私に飛びかかろうとしたアイラ嬢にイーリが呪詛を使いました。避けられましたが、加減が怪しいのでありがたいですわ。呪詛により、アイラ嬢は倒れました。
「ありがとう、イーリ。アイラ嬢…何故、私のせいだと?」
「…ジーク様に微弱な思考誘導を繰り返し、少しずつ彼を理想の姿に誘導していたのよ…途中までは上手くいったわ。微弱な思考誘導はアミュレットでも防げない。でも…あんたが…」
「私?」
「あんたが台無しにしたのよ!ジーク様に『くっころ』をしてほしかったのに!あの美しい顔を歪めさせて『恥ずかしいけど気持ちいい』をさせたかったのに!あんなどM、興醒めよおおおお!!うああああああん!!だから、だからあんたを貶めてやろうと思ったのよ!私の長期計画を台無しにしたからああ!うああああああん!!」
アイラ嬢が泣きました。大号泣でした。えっと…?
『……………………』
予想外の性癖暴露に、どうしたらいいかわかりません。頭が真っ白になるとはまさにこの事ですわね。
「……あの、イーリ…」
「しょ~もないわよね~」
どうやらイーリは知っていたらしいです。さらに補足すると、イーリとアイラ嬢は同じ前世を持つ友人同士でした。イーリもシナリオ通りになるようピアスを唆したり前世知識を活かしたりと色々していたようですが、シナリオとは違い拠点は孤児院だったそうですわ。
あと、シナリオだとバングナルト様がイーリをソルレイクに連れていくのですがイーリがフラグ回収をしなかったんだそうです。彼女は孤児院を出る気はなく、援助をもらってギリギリまで孤児院にいるつもりだったとのこと。
アイラ嬢が豹変したのは、やはり王太子殿下のどM化がきっかけだったそうです。隷属の首輪を使われ、アイラ嬢の命令でソルレイクを混乱させた。呪いなんかもアイラ嬢の命令だったそうですわ。
「えっと…」
「要はルージュに魅力で負けた腹いせにルージュを辱しめようとしたのね、この負け犬!」
マカラも夢魔さんに乗って壇上に来ました。
「誰が負け犬よ!」
「貴女よ、アイラ=レイン嬢。それに、貴女には愛がない!調教には愛が不可欠よ!自分が調教に失敗したからって他人のせいにするなんて愚の骨頂だわ!」
「くっ…!」
どうしよう…私…話についていけませんわ…イーリは爆笑してます。ちょっと羨ましいです。
「で、調教に失敗した王太子はどーすんだ?」
いつの間にか檀上に来ていたファンデが首をかしげました。
「調教って…」
「見た目は好みだけど、思い通りにならない王子様なんて、消去してやるわ!私はヒロインなのよ!?愛されるべき存在なのに、皆ルージュばっかりチヤホヤして…おかしいでしょ!?」
「いや…妙にこっちの事情を知っててなれなれしい女とか、普通に警戒するだろ」
「…うん…それになんか、アイラ嬢って目がギラギラしてて怖かったし…気の迷いとはいえ、見る目ないよね。うちのバカ兄貴」
「だよねぇ…」
私が知らないうちに攻略対象であるヴェース殿下とリップルにもアプローチしていたようです。
「僕はそもそも、決めてるからねぇ。残念だったね」
チャラい保健医はチャラくウインクしてイーリのお尻を撫でようと…しましたがイーリにつねられてニヤニヤしています。あら、そういうことでしたのね。少しほほえましく思いながら、決着をつけることにしました。
「アイラ=レイン」
私は姿勢を正してアイラ嬢に向き合いました。
「何よ」
「…この世界は確かに、ゲームに似ていますが、似ているだけ。皆生きていて、自分の意思があるのです。人を意のままに操り、変えるなど人間にはできませんわ」
「…そうだな。だから、私も君も罰を受けなければならない。言い訳はしないよ。私はルージュを罪人に貶めてでも手中に取り戻したかった。本当に、すまなかった」
いつのまにか目覚めていた王太子殿下…ジーク様は深々と頭を下げました。私はようやく、彼からちゃんとした謝罪を受けることができました。あら?バングナルト様に目隠しをされてしまいましたわ。やきもちかしら。うふふ。
ジーク様は苦笑して、アイラ嬢に向き直ったようです。
「そして、ルージュがアイラを断罪してアイラに恨まれる必要もない。我々は、法の裁きを受けるのだ。ヴェース…後を頼んだ」
「任されたけど、せめて下着ぐらいはいたら?」
「…は、早く言ってくれぇぇ!!」
王太子殿下は、まだ下半身を露出した状態でした。いや、真面目な話をしていたので言いにくかったのです。
あ、バングナルト様はそれを見ないよう配慮してくださったのですわね。やきもちじゃなくて残念ですわ。
ちゃんと身なりを整えた王太子殿下は、泣き叫んで暴れるアイラ嬢と共に騎士に連行されました。
とりあえず、めでたしめでたし…ですかね?しかし、セバスチャンが何やら書類を渡してましたので聞きましたが、どうやらアイラ嬢の思考誘導はかなりの人間が被害にあっていたようです。我が国やソルレイクの重鎮にまで及んでいたからこそ、父とセバスチャン、ヴェース殿下にリップルまで調査と揺さぶりのためソルレイクに来たのだそうですわ。
死刑は免れませんわね。ちょっと後味が悪いですわ。
・王太子の思考誘導が解除された!
・王太子とアイラが捕縛された!




