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大混乱!大混乱ですわ!

 アイシャちゃんを助けた男性…見覚えがあるような…壮年の美形に首をかしげました。


地獄(ヘル)執事(バトラー)、セバスチャン!?」




 どちらさまですの?




 なんとなくうちのセバスチャンを彷彿とさせるのですが…あれですか、同姓同名的な……


「いや、冷酷無慈悲、悪辣非道執事のセバスチャンだ!」


 うちのセバスチャンは、普通にイケてるおじいさま執事のセバスチャンですわよ。そんな物騒なあだ名はありませんわ。人違いですわね…多分。ちょっとだけ心当たりはありますが、違いますわよね…多分。


「逃げろ、殺される!」


「ほっほっほ…このじいが…獲物を逃がすとお思いか!?」


 セバスチャンさんが無駄のない動きで騎士達を昏倒させていく。アイシャちゃんはセバスチャンさんにウットリしてますわ。枯れ専?なのかしら。


「キャアアアアア!!セバスチャン様、ステキィィ!!」


 そういえば、アイシャちゃん…うちのじいが大好きでしたわ。よぉぉく見たらあの顔…若返ってますけど、やっぱりうちのじいじゃありませんの!


「じい!?なんで若返ってますの!?」


「ほっほ…執事のたしなみですじゃ」


「セバスチャン様、愛してますぅぅ!!」


 いやいや、意味がわかりませんわ!魅了されて目がハートになったアイシャちゃんを片手に抱いたまま、セバスチャンは次々騎士さん達を昏倒させていきます。


「ぎゃあああああ!?一旦引くぞ!え!?扉があかない!?」


 いつの間にか退路が断たれて…よく見たらレッタの友人が手際よく通路を封鎖してますわ!いや、ピースはよいのです。気配がしませんでしたわよ!?

 リストバルト様とバングナルト様は、自国の兵を率いて鎮圧にあたっていますわね。


「ふはははは、人質さえいなきゃこっちのもんだ!逃がさないぞ!天誅ぅぅ!!」


「ぎゃあああああ!?」


 ファンデも大暴れですわ。騎士達が吹っ飛んでます。比喩でもなんでもなく、物理的に。


「あ、あわわわわわ…」


 ブラッディフェスティバル開催ですわ!ファンデにいたっては完全にキレていて、ストロングファンデまで使ってますわ!あのバカ殿下がよりによってファンデが溺愛している妹を人質になんかするから!死ぬから!騎士さん人間だから死にますから!直撃したら、即死間違いなしだから!


「ファンデ、やめなさい!」


 ストロングファンデは普通にやっても絶対に止められないので、ファンデの手と武器の隙間に結界をねじ込んで無理矢理武器を落としてもらいました。


「何故止める!?」


「ノースプラッタ!死亡者ゼロ!戦闘不能にするなら、気絶か捕縛ですわ!」


「わかった!運が悪かった時は仕方ないよな!?」


 ファンデ、それは不幸な事故デスね(笑)で済みませんわ!事故を起こす気マンマンじゃありませんの!


「だからダメですってば!!」


「あっちはいいのか?」


「え?」


 ファンデの指差す方を見れば、マカラが捕縛した騎士達にナニかを嗅がせていた。


「くさいくさいくさい!」

「目が、目がぁぁぁ!!」

「いっそ殺してくれ!」


「マカラぁぁ!?」


「ルージュちゃん、ファンデちゃんは俺がなんとかするよ…できるだけ…」


 クレスト様は顔をひきつらせつつ、そう言ってくれました。クレスト様ならなんとかしてくれると信じてますわ!


「感謝します!ファンデは任せました!」


 ファンデはクレスト様に任せて、マカラに駆け寄りました。


「マカラ、やめなさい!」


「大丈夫よ、ルージュ。これは世界一臭い『イチネンハイタハッコウクツシタ』という草を煮詰めて作ったの。目にしみるレベルで臭いわ!他にも鼻が慣れないように様々な刺激臭を用意してあるのよ!身体は痛めつけず、二度と刃向かう気が起きないようにしっかりと調教しておくから!」


「どの辺りが大丈夫なんですの!?」


 そんな爽やかな笑顔で親指を立てないで!そもそも調教しないでくださいまし!


「ぶひひ…」

「イヤアアアア!?」

「いやだああああ!?」


 そして、夢魔さんは騎士さん達を舐めまわしてますわ!?なんか騎士さん達が生娘みたいに肌をさらして悶えてますわ…!


「や、やめなさい!」


「ぶひ…私は危害は加えてません!婦女子に危害を加えた馬鹿に性的嫌がらせをして辱しめているだけです!血も出ませんし、命の危険もありません!」


「え…えっと…」


 こ、これは反論しにくいですわ…確かにノースプラッタですし…


「ルージュ様、負けないで!そもそも捕縛した騎士達を辱しめる必要はないですよ!放置でいいじゃないですか!」


「はっ!そうでしたわ!」


 混乱する私を正気に戻してくれた声をかけてくれたレッタ。ありがとう、常識人(レッタ)


「きゃああああ!?」


「レッタ…!??」


 大変ですわ!レッタの悲鳴に視線を向けたら、蝶ネクタイのみでほぼ全裸の殿方が…!


「バルちゃん、ぱんつ!何故その姿に!?」


「くわ?おお…すまんすまん。人は面倒だな」


 バルちゃん(人間バージョン)はあっさり蝶ネクタイ付きの礼服姿になると片手にレッタを抱き、騎士さん達を蹴散らしました。


「うむ、やはり手を使えると守りやすいな」


「あ、アヒル様?」


「うむ?」


「アヒル様が何故イケメンに!?アヒル様はアヒル様じゃなかったんですか!?私、普通にアヒル様の前で着替えてましたよ!?」


「くわ……に、人間でもないぞ」


「ならなんですか!?どっちにしろイケメンと同衾するわ裸を見られるわ…お嫁に行けない!」


「くわぁ…」


 泣き叫ぶレッタ。バルちゃんもまたなんでこのタイミングで人化しちゃいますかねぇ…困っているバルちゃんですが、確実に自業自得ですわ。でも、あの蝶ネクタイを残す辺り…もしかしたらレッタとダンスがしたかったのかもしれませんわね。


「レッタ、バルちゃんは実は………ですのよ」


 近づき、そっと耳打ちしました。


「は!?え!?はああああ!?」


「…レッタと話したかった」


「ぐっ!?イケメンのくせに可愛いとか、反則です!」


「……いけめんとはなんだ?」


「イケてる…つまりかっこよくて素敵な殿方ですわ」


 私が説明いたしました。バルちゃんは嬉しそうにレッタに頬擦りしています。


「そうか!ありがとう、レッタ!誉めていたのだな!」


「違う…いや、違わない!?いや、そもそもスリスリしないで!顔が近い!ぬああああ!」


 混乱するレッタに苦笑する私。しかし、私は本当なら笑っている場合ではなかったのです。事件は…事件は壇上で起きていたのです。

・セバスチャンが若返った!

・アイシャは魅了された!

・ファンデの殺る気が大幅に上がったが、クレストの説得により半殺しで納得した。

・マカラが調教した!騎士は被虐の悦びに目覚めた!

・夢魔が調教した!騎士は男色に目覚めた!

・バルちゃんが人型になった!

・レッタは混乱している!




・本当にカオスだなぁと作者が思った!


 調教が…(笑)

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