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さあ、対決だ。

 私とバングナルト様がパーティ会場に戻ると、王太子(へんたい)殿下が壇上で挨拶をするところでした。

 もう少しゆっくりしていてもよかったですわね。つまらない挨拶を聞きたくないですし。



「本日はこの場にお招きいただきまして、ありがとうございます。わが国もソルレイクと友好な関係を築いていきたいと考えております」


 一瞬、王太子(へんたい)殿下がこちらを見たような気がしました。


「さて、このような場で私も心苦しいのですが、わが国の罪人を告発しようと思います。我が婚約者でありながら不貞を働き、私に暴力をふるった。何か異論はあるか?ルージュ=ガーネット」


 いや、めちゃくちゃ異論はありますわよ。


「はい。異論がありすぎてどこから申し上げればよろしいのか、解りませんわ。そもそも不貞をしたのは殿下ですわよね?婚約者がいながらそちらのアイラ=レイン嬢と口づけをしていただの、胸を触っていただの、殿下の私室に招いて性行為までなさっていたとうかがっておりますが?証拠の提出をとおっしゃるなら、国王陛下から借りて参りますが、いかがいたします?」


「小賢しい女狐が!そんなのはでっちあげだ!お前こそ、そちらのバングナルト殿下を寮の部屋に住まわせていただろうが!」


 いやでっちあげも何も、事実ですわ。しかも、そこをついてきますの?


「え?嫌ですわ。男性を寮の部屋に住まわせるなんて無理ですわよ。冗談がお上手ですわね」


 あの頃はまだバングルとしてアヒルライフでしたからねぇ。男性とは暮らしてませんわ。アヒルと暮らしてましたのよ。


「そちらのバングナルト殿下をアヒルに変え、信頼を得て婚約する。見事な手腕だな」


「はい?」


 バングナルト様をアヒルにしたのはピアスで…ああ、そういうシナリオですのね。


「そこのピアス=ビネーを使ってソルレイクを支配しようとした。そうだな?」

「いえ、違います」





『………………………』





 あら?皆さん固まってしまいましたわ?あらら?だって違いますもの。


「…とにかく私はお前の裏切りを知り、傷ついたところをアイラに救われた。お前のため、一度は泥を被ったが…このソルレイクをお前のような女狐に支配させるわけにはいかない!!」


 最初から支配するつもりはありませんけど?


「…王太子はリストバルト殿下ですわよ?私が支配するのは無理ですわ。そもそも面倒だし、もう王妃とかになるつもりはありませんけど?」


「リストバルト殿下に呪いをかけ、暗殺を企てただろう!」


「解除しました」


「え」


「その呪いは全部解除しましたわ。それに私が本気で暗殺を企てたら、リストバルト殿下はとっくに亡くなってますわよ。毒と物理殺傷のスペシャリストを連れてきてますのよ?」


 毒と物理殺傷の天才達が頷きました。他にもまだセバスチャンが控えてますわよ。


「そんな物騒な連中を連れているなんて、やはりソルレイクを支配するつもりだったな!?騎士達よ、この罪人を捕らえよ!!」


 騎士達が一斉に襲いかかってきましたが、咄嗟に張った結界に阻まれて私に触れる事もできないようです。


「役立たずが!」


 確かに。


 騎士さん達、涙目ですわ。いやいや、相手も悪いですわよ…多分。障壁に干渉しようとする騎士さんもいますが、無駄ですわ。他人に破られるようなやわな結界なんて張りませんもの。ついでに周囲を観察しました。

 うーん、多少王太子(へんたい)殿下の話を信じた人もいるみたいですわね。自国での婚約破棄騒動をソルレイク貴族は知らないから仕方ありませんね。


「ならば、これならどうだ!?」


「お姉ちゃん、ルージュ様!!」


 捕らわれたピンクブロンドの美少女が壇上に現れました。彼女はアイシャちゃん。ファンデの妹さんですわ。


「アイシャ!?」


 ファンデが出ようとして、クレスト様が抑えました。


「この娘の命が惜しければ投降しろ!」


 アイシャちゃんが怪我をしたら嫌なので、結界を解除しました。私を取り押さえようとする騎士達に一喝しました。


「私に触れるな!!私はルージュ=ガーネット!!誇り高きガーネット公爵家の娘です!逃げも隠れもしないし、罪人の扱いをうけるいわれもない!!公正な裁きであるなら受けましょう!!」


 毅然と言い放てば、騎士達は明らかに動揺していました。

 あら、よく見たら同級生の騎士見習いもいますわ。馬鹿な上司を持つと大変ですわね。この茶番を理解しているらしく、明らかに苦悩してますわ。


「…誇り高き騎士達に問う。この所業は正しいか!?騎士なれば、主が間違えば正すべきではないのか!か弱き乙女を盾にする、お前達に正義はあるのか!?」


 固まる騎士達。さらにバングナルト様が私の前に出ました。


「ここはソルレイクだ。貴殿の好きにはさせん。言わなかったか?ジーク殿下。私の婚約者に関わるなと」


「う、うるさい。私のルージュを寝盗った間男が、私に指図するな!」


「ルージュは魅力的だ。そもそも寝盗られるような隙を与えたお前が間抜けなんだよ!俺だって他にかっさらわれないかヒヤヒヤするぐらいにいい女なんだぞ!?それを精神的にボロボロにしやがって!こいつがどんだけ泣いたと思ってんだ!不能になれ!浮気野郎!!」


 あらら?何やらバングナルト様と王太子(へんたい)殿下が醜い言い合いになってますわ。


「この…「さて、そろそろいいか?」


 バングナルト様はちらりと壇上を見ました。あら?あれは…


「ええ。囮になっていただきまして、感謝いたします」


 そこには、既に人質のアイシャちゃんを救出した男性がおりました。



 次、長くなりそうなんで切ります。次回は茶目っ気爆弾の気配がします。

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