転生者の最後通牒
取り巻きを無くしたイーリ嬢は、また新たな取り巻きを作っていました。そして、ヴェース殿下やリップルも警戒されてしまいました。これでは呪縛が解けません。悪役令嬢に攻略された対象達を使うという手段もありましたが、いたちごっこになる可能性が高いと判断して放置することにいたしました。
攻略対象達に比べれば、新たな取り巻き達は劣っていましたしね。
来月のダンスパーティで、恐らくピアスの断罪イベントを起こすつもりなのでしょう。
私は、彼女にしか解らないであろう言語で屋上に彼女を呼び出しました。屋上の鍵は本来生徒が使用してはいけないのですが…そこはうちの優秀なアヒルさんがチョイチョイっと拝借いたしました。屋上には結界も張り彼女以外は入れないようにして、遮音魔法も施してあります。現在生徒が入れない屋上にいるのは私だけ。
彼女はきちんと時間通りに来てくれました。屋上に来た彼女はどこか喜んでいるように見えて、私は違和感を感じました。
「ルージュ=ガーネット!貴女も転生者だったのね!?変だと思ったわ!『2』では出てこないはずだもの!」
彼女は…イーリ嬢はやはり嬉しそうにしている気がします。同郷だから?でも、私は邪魔者なのではないの?私はその態度にやはり違和感を感じました。
そしてバングナルト様達は攻略対象だったのですね。納得です。
「…ええ、でも私はこの世界がゲームに似た世界だということぐらいしか、わかりませんわ。後は自分が日本人だったことぐらいでしょうか」
それから、日本語も解ります。彼女を呼び出した手紙は日本語で書きました。
「…そう。貴女は何故私を呼び出したの?」
泣き笑いのような表情だった彼女に、私は笑えていたでしょうか。私は、彼女を鏡のように感じました。
「…貴女に最後通牒をするためですわ。貴女はこのままだと、間違いなく破滅します」
だから、もうやめてほしい。今なら引き返せるかもしれない。もしかしたら、ここをゲームか夢だと思っているのかもしれない。同郷のよしみ…なのでしょうか。私は彼女を止めたい…と思ったのです。
許せない部分はありますが、止まってくれるならばと彼女を呼び出しました。我ながら甘いとは思っています。
「………そう、残念だわ」
そして、彼女が私に見せたモノに、私は言葉を失いました。私の考えは、完全に間違っていたようです。
期限はあと1ヶ月。それまでに、私は…まだまだしなければならないことがあるようですわ。
「さようなら」
私はイーリと別れた後、ピアスに会いに行きました。
「どうしたの?ルージュ」
「あの子は、イーリは…」
「イーリ?」
「イーリがビネー家に引き取られる以前はどこに居たんですの!?」
「え?確か…………」
急速にはまっていくパズルのピース。
彼の望んだ報酬の意味。
父とセバスチャンがこちらに来た理由。
マカラとファンデがついてきた原因。
ヴェース殿下とリップルまでもが何故こちらに来る許可を貰えたのか。
私が『終わった』と思い込んでいたもの。
ああ、私のストーリーはまだ終わっていなかったのですわ。私はまだ、このゲームの悪役令嬢でしたのね。恐らくは、この予測が正しいのでしょう。皆、教えてくれないなんて意地悪ですわ。
「ルージュ?」
「相手に不足はないようですわ、ピアス。ここからが本当の勝負です。忙しくなりますわよ」
先ずは味方から情報をいただかなくてはなりませんわ。その上で、私は最良を選ばなければなりません。私、負けず嫌いなんですの。
自然と私の唇は微笑んでおりました。私は、絶対負けてなんかあげませんわ!
・ルージュは真相に気がついた!
・ルージュのやる気が上がった!




