うちの嫁(予定)は可愛い
バングナルト視点になります。
最近、やたら距離が近い変な女がいる。忙しいので適当にしか返事をしていないのだが、今日は何やら怒っていた。
「バングナルト様…昨日は何故いらしてくださらなかったんですの?」
かわいこぶっているが、声に怒りが感じられる。昨日?昨日は…何をしていただろうか。
「仕事をしていた」
というか、ここの所仕事しかしてない。ルージュといちゃついたり、いろいろ案内とかしてやりたいのにできてない。こんな不甲斐ない婚約者でものすごく申し訳ない。
「そうでしたの…では仕方ありませんわね」
「ああ」
あ、なんかイラついた表情を一瞬だけしたな。しかし、愛しのルージュと外出ができないのに見知らぬ女と会う約束なんぞするわけがないだろう。
「では、いつでしたらよろしいんですの?」
「ああ?」
そもそも今も仕事をしているのだから、邪魔しないでほしいのだが。しかも正式な面会でもないくせに。
こんな時に限ってクレストはファンデ嬢と狩りで不在。ルージュはまだ学校だ。よく考えたら、こいつ同じ学校じゃなかったか?
「もう、聞いてますの!?」
「ああ?」
聞いてなかった。つうか、距離が近い。離れてくれないだろうか。腕に触らないでほしい。気持ち悪い。
しかしこういう女は無理にどかすと怪我をしただの乳を触っただの言ってくる、非常に面倒な生き物だ。
情けないが、俺は素直に助けを求めてベルを鳴らした。
「…お呼びでしょ…うか…」
ベルで呼ばれて来たのはルージュ専属の…名前は忘れた。まぁ、びっくりするわな。腕に婚約者以外の女が俺にしがみついているのだから。しかし一瞬で何事もなかったかのようにふるまった。侍女としてはなかなかだな。このクソ女、証拠になるとばかりにニヤニヤしやがった。
「ああ。すまんが、仕事の邪魔なんで追い出してくれ」
「なっ!?私はビネー公爵令嬢ですのよ!?約束を反故にしたばかりか、あまりにも無礼ではありませんこと!?」
「ああ?」
そもそも、その約束とやらもした覚えがない。多分忙しい時に言われて適当に『ああ』と返事したのだろう。
「ええと…バングナルト殿下、正直私には荷が重いですよ!」
「責任(不敬罪)は俺がどうにかする!」
「な、ならば…バルちゃん!」
侍女がルージュのアヒルに話しかけた。この侍女、いつの間にアヒル使いになったんだ?
「くわぁ」
アヒルは『心配するな』と言った。実は呪いのせいかアヒル語がわかる。超どうでもいい能力である。
「何をしてますの?」
婚約者は笑顔だが、殺気が凄かった。
しかし、俺には天の助けだ。ルージュ以外に触られたくない!
「ルージュ、助けてくれ!」
俺がかなり必死で助けを求めると、ルージュの殺気が消えた。あれ?もしや俺が浮気したと勘違いされたのか??勘弁してほしい。俺はルージュ以外に興味がないのに。
「イーリ嬢、離れてくださいませ。バングナルト様は私の婚約者です。婚約者のある男性に、失礼ですわ」
「そうですね。失礼いたしました。今は貴女の婚約者でしたわ」
ようやく怖い女が離れてくれてホッとした。しかし、聞き捨てならん台詞があったのでそこは修正しておいた。
「そうだな。今は婚約者だが、いずれルージュは俺の嫁になる女だ」
「バングナルト様…」
ルージュが嬉しそうだ。相手の言葉を利用しつつお前に興味がないと伝えたつもりだ。
「…また参りますわ」
「忙しいから来るな」
「来ないでくださいませ」
お互い本音が出てしまった。まあ、忙しいから来ないでほしい。
「まあ、酷いですわ…私はビネー公爵家として殿下と親交を深めたかっただけですのにぃぃ!」
面倒な女が泣き出した。いや、お前は下手に仲良くなると寝とるというか、夜這いぐらいしかねないから仲良くしたくない。
しかもギャラリーがいつの間にか来てやがる。面倒なことこの上ない。
「ごめんなさい、イーリ嬢…私は以前に婚約者を取られたことがありますの。だから、バングナルト様に他の女性が近寄るのは許せないのです。狭量な我が身を不甲斐ないと…思いますが…これが私の本心ですわ」
はらはらと涙を溢すルージュは美しく儚げだった。流石は俺の嫁(予定)!見事に状況を逆手にとった!
「泣くな、ルージュ…俺がお前以外に目移りするはずがないだろう」
そっとルージュの涙を拭い、彼女の瞼に口づけた。そして、耳元で囁いた。
「…ルージュ、愛している。二度とお前以外の女と二人きりにならぬよう取り計らおう」
「ふえっ!?」
あ、素が出た。顔が赤いな。この表情、マジで可愛くてしかたない。それから後でぜひルージュの素晴らしい乳で腕を消毒してもらおう。
「ルージュ、俺はお前だけを愛している。不安ならお前以外に不能になる呪いをかねてくれてもかまわない」
そもそもルージュ以外の女は嫌いだから呪いがなくとも反応しないがな。
「えっ、あの…」
「ああ、ルージュ…すぐ結婚できないのが惜しいな。下らぬ嫉妬などする暇もないよう毎晩「みゃあああああ!?フェロモン!フェロモンを抑えてくださいまし!もう嫉妬などしてませんわ!ままままだ子作りは早いです!」
そこまで露骨には言ってないだろう。しかし、ニュアンスが通じたようで何よりだ。正直いっそ子供を作って結婚したい気持ちもあるが…そこはルージュの気持ちを尊重しよう。
「ならば仕方ない。これで我慢してやろう」
「!??んう…ふっ…んんん…………」
俺はルージュの唇と口内を堪能した。ルージュは腰が抜けたらしく、丁度いいので膝に乗せてさらに深く口づけた。彼女の匂いと感触に、正直かなり滾った。
「ぷはっ!はあっ……はっ…や、やり過ぎですわ!」
「すまない、ルージュが可愛くて…可愛すぎて、つい…」
ルージュが可愛いから仕方ないのだ。
「しかも、あた…あた……」
「すまん。まあ、男の生理という奴だ。ルージュが魅力的過ぎるから仕方ないだろう?」
さりげなく…いや、かなり堂々と乳を触った。涙目のルージュがエロいので仕方ない。
「不潔ですわぁぁぁ!!」
「「あ」」
あの喧しい女と侍女と野次馬の存在を完全に忘れていた。野次馬も真っ赤になりつつこちらの視線に気がついて素早く散開した。侍女も逃げ足が早かった。
「………とりあえず、鍵を閉めて続きを」
「しません!!まだまだお仕事があるのですよ!」
真っ赤になって涙目で否定するルージュ。煽っているとしか思えない。
「…だからこそだ。久しぶりにルージュに恋人として触れたい。それに…触られた腕が気持ち悪いのだ。ルージュ、消毒してくれ…頼む」
「う…………ちょっとだけ…ちょっとだけ、ですわよ?」
俺の婚約者は俺に甘く、可愛らしい。上目づかいは無意識だろうが、俺の理性は決壊している。
もちろんちょっとどころではなく、それはもうがっっつりと堪能したとだけ告げておく。
それから公言通りに他の女と二人きりにならないよう近衛や使用人に徹底させ、クレスト不在時にはルージュのアヒルを借りることにした。
アヒルに追い出される女を見て、最初からこうすれば良かったなぁと思った。ちなみに他にも来る女はいるが、執務が忙しいとお断りすれば引いてくれた。
さらにルージュが俺の執務室で過ごす時間が長くなった。本人は『受ける必要がない授業だから』と言うがクレスト不在時に来ているので、女対策だろう。本当に可愛い婚約者だ。
仕事も捗りルージュとの時間も増え、俺にとって良いことづくめだ。そこは少しだけ女に感謝している。
さて、今日もルージュを愛でるとしよう。
・ルージュとバングナルトの親密度が上がった!
・ルージュとイーリの親密度が大幅に下がった!
・バングナルトとイーリの親密度が下がった!
・バングナルトの(女性関係に対する)防御力が大幅に上がった!




