とある侍女の戦慄
レッタ視点になります。
学校に通うようになり、あっという間に一週間が過ぎました。
最近はよくビネー嬢を見かけます。毎度毎度頑張ってます。
ルージュ様達と中庭を歩いていたら、空から水の入ったバケツが降ってきました。
「あら」
「とりゃあああ!!」
「せい!」
ルージュ様は華麗に回避し、猛獣様が多分バケツを弾き、鬼畜魔女様が多分魔法で水ごとバケツを反射しました。犯人らしき人物にバケツが多分直撃しました。何故先程から多分を連発するかというと、早すぎてよくわからなかったからです。
「きゃああああああ!?」
あの声は、恐らくビネー嬢ですね。後で授業の時にルージュ様が魔法で髪を乾かしてあげて、怒られてました。
ルージュ様って結構ナチュラルにビネー嬢を逆撫でしてると思います。
珍しくルージュ様がお一人で歩いているなと思ったら、階段でビネー嬢がルージュ様を突き落とそうとしていた。
私がルージュ様に知らせようとした瞬間、ルージュ様は華麗に回避した。流石です。
「きゃああああああ!?」
そしてルージュ様が回避したせいか勢いを殺しきれず、階段から落ちるビネー嬢。
「ガァラちゃ…」
「任せて、ルージュ。家畜、行きなさい!!」
どこかに隠れていたのか、鬼畜魔女様が変態をけしかけました。
「ぶひぃぃぃ!!」
変態はビネー嬢を間一髪で抱き止めました。しかし、変態に抱きしめられているのが可哀想だ。私なら触られたくない。
しかも、今日の服は黒皮のパツパツギリギリ衣装で、尻とか食い込んでるし…見えてはならないモツがチラ見えしている。あんな服、どこで買うんだろう。変態に磨きがかかっている。
「ぶひ?」
固まったビネー嬢に首をかしげて、ビネー嬢を背にのせてルージュ様達の所へ運搬する変態。動くな!私の位置(現在階段下)だと色々見えるぅぅ!!
呆然としていたビネー嬢がお尻の下とルージュ様と鬼畜魔女様とお尻の下を見て固まっています。二度見するよね!絶対気になるよね!!解りすぎる!
「ええと、どこか痛みますか?」
ルージュ様が優しく声をかけました。ビネー嬢はカッと目を見開くと
「§∞〇〆×¥$§☆!?」
意味不明な言葉を発して走り去りました。
「……あら」
「ふふふふ、なかなか面白いわね」
鬼畜魔女様がとっても楽しそうに笑いました。完全にビネー嬢をロックオンしてしまったようです。あれは獲物をいたぶる猫の瞳でした。
後に鬼畜魔女様から、実はあの変態はビネー嬢が使役した夢魔だったのだと聞いた。そりゃビックリするわ。自分が使役してた夢魔がガッツリ調教されて変態になってたら、恐怖を感じるわ。
やはり鬼畜魔女様はけして敵にまわしてはいけません。
ビネー嬢…強く生きて!
猛獣様がルージュ様に『嫌がらせ対策特別編』なるものを教えていました。その結果、ルージュ様は多分転ばせようと出したビネー嬢の足を一瞬で払って持ち上げてしまいました。
「きゃああああああ!?」
ビネー嬢の下着が丸見えです。わーおです。へそまで見えてますよ。今日の下着は黒のレースですか。ガーター付きでセクシーですね。いや、そこはどうでもいい!ルージュ様も反射的に動いたせいかフリーズしています。
フリーズが解けてもオロオロしてビネー嬢の足を放さないルージュ様に、私は叫びました。
「ルージュ様!足!足を放してあげてください!大至急で!!」
私の声に、ようやくルージュ様がビネー嬢の足を手放しました。
「ご、ごめ…」
「うわああああああん!!おぼえてらっしゃぁぁい!!」
ビネー嬢はルージュ様から逃亡しました。泣いてたな。無理もない。
ルージュ様も涙目でした。
それから、ルージュ様は徹底的にビネー嬢から避けられるのでした。
今日も猛獣様がビネー嬢を追い回して『今日のパンツは何色だ?また黒のレースか?』と聞いています。悪気はないみたいですが、的確に傷をえぐっています。
なんでそんなことをするのかと本人に確認したら、
いい笑顔で『マカラに言われたから!』と言われました。
あ ん た の せ い か !!
必死で止めようとルージュ様が追うのですが、流石のルージュ様も猛獣様に身体能力では敵わないらしく、体力が切れてぐったりしていました。
ちなみに、あの『嫌がらせ対策特別編』も鬼畜魔女様考案らしいです。
あ ん た の せ い か !!
ターゲットをとことんいたぶる鬼畜魔女様に恐怖を感じました。
ビネー嬢、逃げて!超逃げて!!
ちなみに猛獣様は私にも『嫌がらせ対策特別編』を施そうとしましたが、アヒル様という護衛がいますし体力使いきって仕事にならないと困るので免除していただきました。
アヒル様…ありがとう!
ちなみにアヒル様は生肉を好むのですが、アヒルって肉食だったっけ?たまに牙がチラリするんですが…
食事はワイルドですが、アヒル様は可愛らしいです。
そんなある日、私はビネー嬢の様子がおかしいのに 気がつきました。とりまきが居ない。しかも、何かを探しているようです。
「何かお困りですか?」
「あんた…ノートが無いのよ」
声をかけると意外なほど素直にビネー嬢は話してくれました。なるほど。アヒル様を見ると、頷いてくれたので、探すのを手伝うことにしました。
「お手伝いします」
アヒル様が見つけてくれたのですが…ノートと訓練着はズタズタに切り裂かれ、裏庭の人気のないゴミ箱に捨てられていました。
「…まぁ、まだ読めるからいいわ。訓練着は駄目ね」
特に気にした様子もなく、ビネー嬢はノートを回収しました。
「ああ…一応お礼を言っとくわ。私だけだともっとかかったでしょうから」
弱った様子のビネー嬢が本気で心配になり、調べてみたら…
『ビネー家からピアス=ビネーは見放された』
『ビネー家は没落する』
『ピアス=ビネーは第二王子を害した罪で処刑される』
等々の酷い噂が出回り、彼女は孤立して今まで好き放題していたからか嫌がらせをされていることがわかった。あのノートと訓練着ビリビリ事件なんぞ序の口だったらしい。ビネー嬢は高位貴族だから、表面的にはわからない、陰湿な嫌がらせをされているようだ。
一応、それをルージュ様に報告した。ルージュ様なら助けてくれるのでは、と期待したから。ルージュ様は話を聞くと走り去った。
「いい仕事をしたわね、レッタ」
「…はい?」
「ふふ、だからルージュは怖いのよ」
「………は、はいぃ??」
鬼畜魔女様が楽しそうだ。え!?ビネー嬢に死亡フラグ!?
慌ててルージュ様を追おうとしたら、鬼畜魔女様に捕獲され、私は何もできませんでした。
ビネー嬢、強く生きて!!
その、翌日。
「おはよう、ルージュ」
「おはようございます、ピアス」
「…え?」
あの、ピアス=ビネー嬢とルージュ様が仲良くお話ししている…だと??
「ふふ、やっぱりルージュは怖いわね」
「のいやああああああ!??どういうことですか!?」
「あら、私がなんでも知っていると思ったら大間違いよ。さっぱり解らないわ」
「わからないんですかぁぁぁい!!」
爽やかな朝、私の雄叫びが学校に響くのでした。それにしても、鬼畜魔女様は真面目な侍女をおちょくらないでほしいです。
しかし、ルージュ様は、本当に何をどうやったのでしょうか。穏やかにティータイムをするお二人に違和感がありすぎて戸惑います。
以降もお二人は仲良く過ごしてました。なんでじゃああああ!?
追伸・嫌がらせしていた性悪貴族はアヒル様につつかれておりました。やはりルージュ様はアヒル的な意味で危険です。
最近アヒル様が可愛い気がするのは気のせいです。アヒル様は大男をも蹴り倒す猛者…猛獣なのです。見た目としぐさの愛らしさに騙されてはいけません。
・レッタのアヒル様への好感度が上がった!
・ビネー嬢とルージュが友達になった??
・マカラのレッタへの好感度が上がった!
何故か、レッタから好感度ではなくいたぶりたいとかそういう奴ですよね!?いりません!という声がします(笑)




