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とある侍女の納得

レッタ視点になります。

 空気になりたい弱小男爵令嬢のレッタです。ルージュ様、鬼畜魔女(マカラ)様、猛獣(ファンデ)様が学校に行くことになりました。当然ルージュ様の専属侍女である私もです。

 しかし、何故今さら学校に?と鬼畜魔女(マカラ)様にうかがったら、美しい魔女様は言いました。


「ルージュが学校に居るだけで、確実にビネー嬢への嫌がらせになるからよ」


「へ?」


 あの優しいルージュ様が居るだけで嫌がらせになる??どういうことか解らなくて聞いたのですが、鬼畜魔女(マカラ)様は見ていれば解るわよ、と楽しげに微笑むだけで教えてくださいませんでした。


「こういうことですか…」


 ルージュ様に果敢につっかかるビネー嬢。ジャブの嫌みもこの通り。


「おはようございます、ビネー嬢。侍らせてなどおりませんわ。友人達に挨拶をしておりましたの」


 ルージュ様はにこやかに対応した。この人に嫌みは通じないらしく、誤解ですわとやんわり否定している。こんなに悪意ある相手なのに、微塵も悪意が通じてない。なんてこった。


「私の婚約者を奪うだけでは足りないようね?このあばずれが!!」


 ちょっと!どストレート来ちゃいましたよ!?これなら流石のルージュ様も怒るのでは!?


「あら」


 しかし、ルージュ様は少し目を見開くと首をかしげて淡々と説明しました。


「ビネー嬢、私とバングナルト様の婚約は正式に貴女との婚約を破棄してからですわ。そもそもバングナルト様は貴女の『元』婚約者ではありましたが、元から貴女のモノではないのですから奪いようがありませんわよ?私はご本人から直接、とても不仲だったとうかがっておりますけれど?」


 正論がキター!!正論って自分でも理解してるだけに痛いんだよねー。しかもご本人から仲悪かったって直接聞いたよって、悪意がないから逆にエッグイよ!!


「あんたがバングナルト様を誘惑したから破棄されたのよ!あんたのせいよ!!」


「…私に出会う・出会わないに関わらず、バングナルト様は貴女との婚約を破棄なさったと思います。ご自分が、それは一番おわかりではなくて?まぁ、貴女のおかげでバングナルト様と出会えましたから、そこはお礼を申し上げますわ。ありがとうございます」


「…バカじゃないの!?死ねばいいのに!!」


 癇癪を起こしたビネー嬢にお礼を言って、さらに怒らせるという高等テク。天然って怖い。見事な撃退でございました。ちょっと泣いてたよ。私、ビネー嬢嫌いだったけど…ちょっと…だいぶ可哀想だったよ。





 そして、私は鬼畜魔女(マカラ)様の言葉の意味を知ることになるのでございます。






 ルージュ様は美しい。黙っていると職人が作ったのではと錯覚するほどに美しい。容姿端麗とはこの人のためにあるのでは、と思うほどです。

 ビネー嬢は美人だけど、なんというか気が強そうで…悪人顔だと思います。

 どっちも美人なんですが、ルージュ様の方がこう…完璧な美しさ。レベルが違います。本人いわく…『美しいアヒルになるために努力しましたのよ』とのこと。




 何故アヒル。




 ルージュ様は他者をアヒルにするだけでは飽きたらず、自分もアヒルになるつもりなんでしょうか。




 ルージュ様は頭がいい。ポヤポヤっとしているけど、記憶力も理解力もすごいし、発想力も素晴らしい。なんか新しい公式を考え出したとか、事業展開もしちゃってるらしい。

 ビネー嬢の成績は普通。確か数学がちょっと得意だったかな?


 ルージュ様にスゴいですねと言ったら、前世の記憶があるからだと言ってました。たまーに居るんですよ。『記憶持ち』という異界の記憶を持つ人って。でも記憶持ちだからって頭がいい訳じゃないですよね?と聞いたら、ルージュ様は照れたように笑った。『賢いアヒルになりたかったからですわ』と言って笑った。とても可愛かった。




 しかし、何故アヒル。




 ルージュ様とアヒルはセットなんだろうか。解せぬ。



 猛獣(ファンデ)様の親友だからか、ルージュ様も実は超強い。魔法とアヒルを駆使して戦うルージュ様を見たとき、気絶とかできない丈夫な自分を呪いました。猛獣(ファンデ)様と魔物を殲滅してましたからね!この人には護衛とか要らないですよ。騎士もドン引きしてましたよ。私もドン引きしましたよ。

 しかも、アヒル強いの。超強いの。むしろ私がバルちゃんなるアヒル様に最近護衛されてますの。話がずれましたが、ルージュ様は強いんです。

 対するビネー嬢は正直どんくさいです。

 令嬢に強さは要らないと思います。ルージュ様に何故ここまで鍛えたのか聞きました。ルージュ様は照れながら『強いアヒルになるためですわ』と言いました。



 だから、何故アヒル。




 ルージュ様は人望があります。ルージュ様は学校であっという間に人気者になりました。下位貴族を見下さず、上位貴族をきちんと立てる。

 無意識みたいですが、立ち回りがとても上手いのです。ルージュ様の側には常に笑顔があります。

 ビネー嬢は親の権力により取り巻きはいますが、嫌われてます。性格悪いですからねぇ。

 ちなみにビネー嬢が嫌がらせしようとしても、周囲が察知して処理してしまいます。専属侍女としては楽だしありがたいです。


 なんというか、本当に存在しているだけで嫌がらせですよ。家格だけは同格ですが、他は全てにおいてルージュ様が勝っている。圧勝ですよ。劣等感を刺激しまくりですよ。


 追伸・家格が同じ『公爵』だったのですが、かたや先祖代々公爵を勤めたガーネット家。かたや成り上がりのビネー家。厳密には家格もルージュ様が上でした。


 なんか、ルージュ様が格上過ぎてビネー嬢が可哀想になってきたのは、きっと気のせいじゃありません。


 それからルージュ様がアヒルになったなら、それはもう…強く賢く美しい…素晴らしいアヒルになっただろうなと意味不明なことを考えてしまいました。ルージュ様のせいに違いないです。ルージュ様はやはり、アヒル的な意味で危険なのです。

・ピアス嬢のルージュへの好感度がガンガン下がりまくった!

※元からマイナスですが、さらに下がっております。


・ピアス嬢の劣等感がガッツンガッツン刺激された!


・レッタがルージュはアヒル的な意味で危険だと再認識した!

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