ツッコミ不在の会話
クレスト視点になります。
昼食中もマカラちゃん…女王様はブタ…じゃなかった、夢魔に乗っていた。夢魔はすっかりブタになりきったのか、なんかブヒブヒ言ってたまに蹴られている。
「あの、夢魔さんはご飯を食べないんですの?」
「ええ、契約者の魔力が現在は糧ですね。具現化までしていますし、急速に消耗していると思われます。本来は巣くった人間の夢と魂です」
しれっと言うが、恐ろしい。つまり、リストバルト様は夢魔にも命を狙われていたわけだ。
そして昨日から散々呪詛返しされまくり、すでに犯人は虫の息なんじゃないかなぁ…
「夢魔さんの契約者は誰ですの?」
「ルージュ、夢魔さんではなく家畜さんです。正しく呼称からも理解させておかないといけないのです。もう夢魔じゃなくて私に消費される家畜だってことをね」
何この子。超怖い。
「まあ、失礼いたしましたわ、ブタさん」
ルージュ様、おかしいよ!そこ謝罪するとこ違うよ!
「ぶひ、ぶひっ」
「あら?ブタさんは何か話したいみたいですわ」
「まさか、契約で名前を言えないようにしていないのですか?」
「ぶひ!」
女王様が言うには、万が一を考えて悪魔と契約した場合、自分の名前を言えないようにするのはもはや常識なんだそうだ。悪魔は気まぐれだから、契約者より気に入れば簡単に裏切ったりする。上級になるほど扱いは難しい。ちなみに女王様の家畜は中級なんだそうだ。
魔法=暖房特化なソルレイクでは、その常識もそうなんだ?としか言いようがない。そもそもこの国、北には険しい山々、南に大森林地帯とあまり他国との交流がないので色々疎いのだ。
「ブタ、発言を許可します」
夢魔は口枷をはずすと淀みなく発言した。
「マカラ様から許可をいただきましたので発言いたします。我が契約者はピアス=ビネーという小娘にございます」
綺麗なキリッとしたイケメンがよつんばいで美少女を乗せている様は、違和感がすごすぎた。
「なるほど。ところで私は口枷を外していいとは言ってませんよ?」
「あ」
夢魔が真っ青になり…陶然とした表情になった。そして地面に額を擦り付けた。いや、外さなきゃ喋れないでしょ!?
「無能なブタめにお仕置きをお願いいたします!」
「無能なブタなんか不要です」
「お願いいたします!お仕置きをしてください!」
ナニコレ。
あ、バングナルト様がルージュ様に目隠ししてた。俺も見なかったことにしよう。黙々と昼食を食べるのだった。
ちなみにファンデちゃんはずっと首をかしげてた。君も色んな意味で天然なんだね。
「これだけ証拠が揃ってますし、ピアス=ビネー嬢を足がかりにしてビネー公爵を潰せないんですか?」
サラッと爆弾発言だね!あ、バングナルト様が紅茶でむせてる。俺はファンデちゃんが物足りなさそうだから俺のぶんを分けてやりつつ追加をたのんでたので無事でした。ファンデちゃん、めちゃくちゃ食うんだな。
「それが難しいんだよねぇ」
「そもそも、ビネー家は我が国の生命線とも言える魔石加工を担っているからな」
リストバルト様、バングナルト様がそれぞれ答えた。それがあるから潰すわけにもいかない。魔石加工は門外不出の技術なのだ。呪いに魔力を使う変わり者のビネー家は、この技術により魔石への魔力伝導効率をアップさせ、この国になくてはならない大貴族となってしまった。
「魔石ですか…見せていただけます?」
まだ魔力が入ってない魔石が女王様に渡された。
「ルージュ、解析できますか?」
「はい…わりと拙い呪ですわね。今はこれより良いものが広まってますわ。材料さえあれば、私もマカラも作れますわよ」
「つまり、大量の材料(魔石)があれば、ビネー家は潰せるんだな?」
ファンデちゃんは戦る気だ。仕方ない、サポートするかな。書類仕事飽きたし。
「あら?おかしいですわ」
「何が?」
「ほら、ここ。巧妙に別の紋が……」
「………………これは…!バングナルト様!魔力が入った魔石も持ってきてください!今すぐに!」
そして、数個の魔石が壊れているのが発見された。女王様は丹念に壊れていない魔石を1つずつ調べている。
「…ふぅん。なるほどね?」
「これは…」
女王様とルージュ様は紋様から何かを読み取っているらしい。
「ファンデ、出番ですわ。魔石を沢山狩ってきてくださいませ!」
ルージュちゃんは既存の魔石は全て破壊して、新しい魔石に変えることにしたらしい。
「よっしゃあ、任された!」
「私のバルちゃんとガァラちゃんも連れていってくださいませ。必ずや役に立ちますわ」
こうして、俺は魔石狩りに行くことになった。書類仕事から逃げたんだろうって?いやいや、信頼できる案内役は大事ですよ~。
・ブタが完璧に被虐の悦びに目覚めた!
・マカラのやる気が上がった!
次回もクレスト視点になります。




