女王様が降臨なさいました
バングナルト視点になります。
たまった仕事をどうにかするためにルージュと兄の執務室に向かった。確かにすごい量だな。見るなりげんなりしてしまう。
「頑張りましょうね、バングナルト様。私も精一杯サポートいたしますわ!」
うちの婚約者は天使か。超可愛いし健気なんだが。
「ああ、頼りにしているぞ、ルージュ」
「はい!」
「いいなぁ、俺も可愛い彼女欲しい…」
「そうなのか?」
「うん。あれ、羨ましい」
「確かにルージュは可愛いからな」
部屋の隅でクレストとファンデ嬢がそんな会話をしていた。クレストはそのうちあっさり可愛い彼女を連れてきそうな気がする。ファンデ嬢は何故か誇らしげだ。友人として鼻が高いということか?確かに俺のルージュは可愛い。
そんなアホな事を考えて辛い現実から意識を飛ばしていたら、いつの間にかルージュが書類を仕分けていた。
「こちらから順に優先度が高いものになります。期日が近いものや重要な案件はこちらです」
「そうか、ありがとう」
「いえ、バングナルト様のためですもの」
そして、ルージュはとても優秀だった。書類仕事が不得手らしいファンデ嬢がいるから、余計にその優秀さがわかる。
「ん…」
これは資料がないとダメだな。確か向こうに…
「こちら、資料になります」
「あ、ありがとう」
何故わかったんた?しかも欲しかった資料だ。疑問だったが質問する間も惜しいので仕事を続ける。
それ以降もルージュは資料が必要な書類には、それに合った資料を差し出してきた。本人は計算チェックの片手間にそれをしてくる。
「…ん」
飲みものが欲しいな。ちょっと喉乾いた。
「どうぞ。ミルクティになります」
「ありがとう」
仄かに甘いミルクティは疲れを緩和してくれた。うちのルージュ、マジで気が利くわ!
「そろそろ休憩にしましょうか。急ぎの案件は片付きましたし」
書類の山はルージュの活躍により、半分に減っていた。集中が切れてきていたので丁度いい。
「そうだな。クレスト、ファンデ嬢、休憩にしよう」
「りょーかい」
「ふあああ…ルージュの侍女としてはできた方がいいんだろうが…やはり私には書類仕事は向かん…」
特にファンデ嬢が疲弊しているな。彼女は護衛官が本業らしいから仕方あるまい。
まったりと昼食を食べていたら、兄とマカラ嬢と……???が来た。
「うわ、バングナルト頑張ったね。寝たらスッキリしたから、兄様もお仕事するよ。あ、私と彼女の昼食をこっちに持ってきて」
???に目を奪われていたらしい侍女が慌てて頷いた。
「ひゃい!?きゃしこまりましたぁぁ!!」
あ、侍女がコケた。大丈夫だろうか。昼食をひっくり返したりしないだろうか。まぁ、現在俺も盛大に動揺しているから、気持ちはわかる。
「バルちゃんは役にたちまして?」
「ええ、とても」
ルージュ、そこはどうでもいいだろう!マカラ嬢に抱っこされていたアヒルは、ルージュに抱きついて甘えていた。くっ、羨ましい!いや、そこもどうでもいい!いやいや、よくない!俺が混乱していると、勇者が確認をしてくれた。お前、本当に勇気があるな!
「…あの、マカラ様……それ……」
勇者がマカラ嬢の足元を指差した。
「ああ、私の下僕…いいえ、家畜ですわ。ブタ、ブタらしく鳴きなさい」
「ぶ、ぶひゅう…」
そう、マカラ嬢…いや女王様はブタと呼ばれた多分人間に乗っていた。ブタ?はよつん這いになって女王様を乗せていた。顔には口枷を嵌められ、手綱が耳下の枷から連結している。多分かなりの美形と思われるが、目が死んでいてよだれを垂らしており、色々台無しだ。
「バングナルト、気にしなくていいよ」
「いや、気になるわ!」
うちの兄の朗らかな笑顔が逆に怖いわ!なんで平気なんだよ!
結局、ブタと呼ばれた男は兄の夢に巣くった夢魔と呼ばれるものだったそうだ。兄はとてもひどい目にあわされていたらしく、あの姿を見ても『ざまぁ』な一言だった。何をやらかした、夢魔。
そして夢魔の扱いについては、女王様からお言葉があった。
「夢魔は悪魔の類いですから、このように上下関係をきちんと理解させる必要があるんです」
「まぁ、そうでしたのね」
素直に信じるルージュ。ファンデ嬢は明らかに怪訝な顔をしている。なんとなくだが、個人的な趣味嗜好が混ざっている気がする。
真偽のほどは定かでないが、夢魔がすっかり調教されてしまったのは確かだった。
「ふふふ、これから楽しくなりそうですね」
にんまりと笑う女王様になんとなく背筋がキュッとなったのは気のせいだと思いたい。
・マカラが女王様になった!
・夢魔が女王様の家畜になった!
・作者がどうしてこうなったと頭をかかえた!




