父と執事
愛あるお仕置をされた翌日。私は父の元を訪れました。
「可愛いルージュ、どうしたんだい?」
父はご機嫌なご様子ですわ。丁度セバスチャンも居ますわね。
「父様に、お願いがございますの」
「なんでも言ってごらん」
「セバスチャンを貸していただきたいのです」
セバスチャンは執事のみならず、諜報のスペシャリスト。正直、情報が足りなすぎるから優秀な人材が欲しいのです。
「おやおや、姫様におねだりされるとは。このじい、姫様のためなら諜報・破壊工作・暗殺…なんでもいたしますぞ!」
「セバスチャン、やる気があるのはいいけど、殺る気はいらないですわ!でも、頼りにしていますわ」
私はセバスチャンに微笑みました。本当に頼りになるのですもの。セバスチャンは得意気にウインクしてくださいましたわ。きっと若い頃はそれはもうモテたのでしょうね。
父は私とセバスチャンを穏やかに見守っていました。父は私に言いましたわ。
「いいよ、ただし条件がある」
「…なんでしょうか」
「父様も連れてって」
「………はい?」
「だーかーらー、父様も連れてって!お仕事はちゃあんと息子に丸投げするから!父様、諜報得意だから、お役立ちだよ!」
「えええええ!?」
「それは楽しそうですな!姫様はご存じありませんが、旦那様が若い頃にじいと旦那様は悪辣な貴族共を山ほどこらしめたのです。いやあ、楽しみですな、旦那様!血沸き肉踊るとは、正にこの事!」
「うんうん。この国じゃ顔が知れてて遊べないけど、向こうなら私の顔は知られてないからね!ルージュ、父様は執事として行くから。うっかりパパって呼んだらダメだよ☆」
「あ、あわわわわわわわ…」
ウインクする父はチャーミングですわ。昔はとてつもなくモテたに違いありません。今でもモテているくらいですもの………いやいや、ちょっと待ってくださいませ!セバスチャンだけ借りるはずが、何故父様まで!?
「セバスチャン、何を持っていこうか。出立は3日後だったよね」
「そうですなぁ…まず、縄と紐と暗器は必須ですな」
「後は拷問具もコンパクトなやつを…」
「一体何をするつもりですの!?ストップ・スプラッタ!!そもそも私は承諾しておりませんわよ!」
「なら、セバスチャンは貸さないよ?」
「ぐっ………」
父はにやりと笑ってみせた。にやり顔もカッコいいなんて、イケメンってずるい!
「姫様、世の中には諦めが肝心との言葉もございます。じいも旦那様も、姫様が傷つけられたのに手も出せず、歯痒い思いをいたしました。じいからもお願いいたします。どうか旦那様と共に姫様のお手伝いをさせてください」
「ううう……」
そして、どうなったかといいますと………
「バングナルト殿下、今回のソルレイク行きに同行させていただきます、セバスチャンと申します。ご挨拶に伺わせていただきました」
「同じく、グースです」
「よろしく~」
クレスト様は友好的で握手していますが、バングナルト様は何か考えていらっしゃるご様子ですわ。
「グロスタ=ガーネット公爵?」
「え?」
「いくら俺でも義理の父ぐらいは顔を覚えるぞ?これは悪戯か?」
「え?」
クレスト様が大変動揺していらっしゃいますわ。そう、父は我が家の執事服を着用し、モノクルをつけて変装していましたのよ。
「すいません、どうしてもついて行くとおっしゃるので…」
「…ガーネット公爵は我が国の情勢について調べておいででしたね。非公式での訪問、ということですか?」
「いや、ソルレイクに行くのはあくまで『グース』という使用人だよ。私は役に立つよ~。はい、資料☆」
「…これは……わかりました。これからよろしく頼むぞ、グース」
バングナルト様は超あっさり父に理解を示した。いいの!?本当にいいんですの!?
「えええええ!?」
「いやいや、なかなかに物分りのいい青年じゃないか!ルージュはいい婿殿を見つけてきたね!こちらこそよろしくお願いいたします、バングナルト殿下」
バングナルト様と父は握手を交わしました。
「「えええええ」」
「はっはっは」
ついていけないのは私とクレスト様だけでしたわ。セバスチャンは朗らかに笑っていました。
どうやら父同伴でソルレイクに行くことになったようです。
・父とセバスチャンが仲間になった!
「暗器と拷問具は必須ですな」
byセバスチャン
「後は…爆薬も持っていくかな?」
by父
「「ちょっと!?何しに行く気ですか!?」」
byルージュ&クレスト
「……暗器までにしておいてくれ。破壊行為は最低限で頼む」
byバングナルト
バングナルトのおかげで暗器までは持ち込み可になりました。




