ついにざまぁ…?
卒業パーティは、ダンスパーティ形式ですわ。バングル改めバングナルト様にエスコートされて会場に参りました。
「そういえば、いつから俺だと気がついたんだ?」
「ああ、王太子殿下の応対をされていた時、チラッとお尻を見ましたの。その時に見おぼえがあるなと思っておりましたわ」
「……………やはり尻なのか」
「ぐふっ…ルージュ様、おもしれぇぇ…」
「それから、膝に乗せられて…しぐさや匂いがバングルそっくりで…確信したのはバングルがアヒルになれなくてものあたりですわ」
「…尻じゃないのか」
「お尻はあくまでも判断材料のひとつですわ」
えっへんと私は胸を張りました。
「ぐふふっ…あーやべ…ツボすぎる……」
パーティ会場を歩いていたら、私を見つけたファンデとマカラが駆け寄ってきました。
「大丈夫だったようだな、ルージュ」
「よかった、捕まらなかったのね…ルージュ」
ファンデとマカラが私の無事を喜んでくれました。
ファンデとマカラの話によると王太子殿下は私が留学してから急に勤勉になり、アイラ様と過ごさなくなったらしいですわ。なぜに??
「で、そちらは?」
「で、そちらの方は?」
「えと…ソルレイクのバングナルト殿下ですわ」
「ルージュ嬢と正式に婚約する予定だ。君達のことはよく知っているよ。これからもぜひ彼女と仲良くしてくれ」
「「合格」」
「え?」
「そうか、ありがたいな」
苦笑するバングナルト様。
「え?え??」
何やら認めあったらしい親友達と婚約者(予定?)はしっかりと握手した。
パーティ中盤で、王太子殿下が壇上に現れました。
「皆、楽しんでいるところ申し訳ないが、聞いてほしい!私とルージュ=ガーネット嬢についてだ!」
え?聞きたくないですわ。でも、隣にアイラ嬢も居ますわね。断罪されちゃいますの?私は何もしてませんけど??
「ルージュ嬢…いや、ルージュ様…私が間違っていたのだ」
壇上から王太子殿下が話しかけてくる。いや、もう嫌な予感しかしないのですが!?
「私は、アイラ嬢と縁を切る!」
「そんな!?酷いですわ、ジーク様!!」
泣きそうなアイラ嬢。しかし、王太子殿下は首を振った。
「すまない、アイラ嬢。君は私の新たな性癖に懸命に応えようとしてくれた。しかし、足りないのだ!」
いやもう、本気で嫌な予感しかしませんわ。気絶とかできない丈夫な自分が嫌ですわ。
「そう、私は2年前に知ってしまったのだ…冷たく蔑む瞳によりもたらされた快感を…私はあの瞬間に目覚めたのだ!ルージュ、君は私にこう言ったね『婚約者に最低限の礼も返さないなんて最っ低ですわ。もう貴方に関わりたくないのです。顔も見たくないですわ。どうしても仕事を手伝ってほしいのでしたら、衆目の中で私にひざまづいて許しを乞いなさい。そうしたら、考えてあげてもよくってよ』…と。君のあの蔑む瞳が忘れられない。そして衆目環視の中、君に許しを乞うなんて…ぞくぞくするよ!」
どうしよう、キモい。
しかも台詞が一言一句間違ってないのが怖い。まさかの王太子殿下はどMに覚醒してしまったらしい。
なんてこった。ある意味これもざまぁかしら(現実逃避)
「私はあれから仕事を真面目にこなし、君からの愛を感じた」
いや、そんなもん欠片も無いですわ。
「君はいつも私に気遣いをしてくれていた。私に、するべき仕事をきちんとしなさいと手紙をくれたね。君は私があんなに酷いことをしたのに、私が廃嫡されぬように両親に進言してくれたのだということも知った」
それは、さすがに可哀相だったし恨まれたくなかったし、何より自力で仕返ししたかったからですわ!どんだけ前向きですの!?
「ルージュ、愛している!!結婚してくれ!!」
「おこ「すまないが、ルージュ嬢は私と婚約したのだ。そうだな、ルージュ」
全力でお断りしますわ!!と叫ぶはずが、ふわりとバングナルト様に抱っこされちゃいました。
「は、はわわわわ!?そ、そうですわ!わ、私はバングナルト様の為でしたら、アヒルになる覚悟もありましてよ!!」
「ぶひっ!?ぐひゅっ!」
「アヒル?」
「何故アヒル??」
私の一世一代の告白は、何故か首をかしげられてしまいました。しかしバングナルト様には通じていて、頬を赤らめていましたわ。
「私はバングナルト様がアヒルであったとしても愛しておりますわ!もう殿下への愛はありませんのよ!」
「そんな…」
王太子殿下が泣いた。ふらふらと近寄ってくる。
「私に愛がないなら…私を愛人に…いや、ペットとして飼ってくれ!!」
「おこ「いちいち気持ち悪いんだよ!ルージュは僕と結婚するんだ!」
「いや、姉様は僕と結婚するんだ!」
「あはは、俺も彼女と結婚したいかな」
何故皆様私がお断りしますわ!!と叫ぶとこで被せてきますの?いや、そこはかなりどうでもいいですわ。なんで愛人とかペットなんて発想が出てきますの!?おかしいですわ!
しかも私はバングナルト様と結婚するんですってば!何故別の人が求婚しますの!?
「…静粛に!!」
もはやカオスとなった会場で、国王陛下の声が響きました。
「ルージュ=ガーネット嬢との婚約は、ジークのわがままで解消されている。ジーク、お前に求婚の権利はない。自ら放棄したのだからな。愛人やペットなど、ありえぬ!馬鹿者が!!頭を冷やすがよい!!」
「ジーク、ルージュの素晴らしさに気がつくのが遅すぎたようですわね。連れていきなさい」
王妃様の言葉に、騎士達が王太子殿下を連行しようとしましたが、どMでも流石は王太子殿下。騎士達を振りきって国王夫妻にすがりました。
「そんな!?父上、母上!?話を聞いてください!!」
「お前のわがままで振り回すな。ただでさえ、ガーネット家が反乱を起こしても仕方ない状況なのだ。お前のせいでな。連れていけ」
国王陛下が魔法で王太子殿下を気絶させ、今度こそ王太子殿下はどこかへ連れていかれました。
「愚息が本当にすまないな…ガーネット公爵」
「いやいや、かまわんさ。彼がどう言おうとルージュの嫁ぎ先はルージュに決めさせるつもりだからね。いいだろう?」
「…そうだな。ルージュ=ガーネット嬢」
「…はい」
「そなたへのせめてもの詫びだ。そなたが嫁ぎたい男は、誰だ?」
「バングナルト殿下ですわ」
「あいわかった。バングナルト殿下」
「はい」
「ルージュ=ガーネットはわが娘同然だ。持参金がわりに、貴殿の友好条約を受け入れよう」
「ありがとうございます」
「…ルージュ、お父様はルージュの幸せを願っているよ。たまに…………しょっちゅう遊びに来ていいからね!」
「お父様、陛下…ありがとうございます」
「またわたくしともお茶をしてね?」
ウインクした王妃様に、笑顔で返事をしましたわ。
「はい!必ず!」
そしてバングナルト様と退出しようとしました。
「ちょっと待ったぁ!」
「姉様は渡さない!」
「そうそう。」
私は求婚してくれた3人に頭を下げました。
「ごめんなさい。お気持ちは嬉しいのですが、私はバングナルト殿下を愛しております。お気持ちに応えることはできません」
「………顔をあげて。おめでとう、ルージュ」
泣き笑いで祝福してくださったヴェース殿下。
「ぼ、僕は認めないからな!うわああああああん!!」
泣いて走り去ったうちの義弟、リップル。気長に説得しますわ。
「うーん、フラれたかぁ」
チャラ保健医は結局何がしたかったんですの?
こうして、カオスな卒業パーティはなんとか終了いたしました。
・ファンデ・マカラがバングナルトを婚約者として認めた!
ちなみに理由は彼女達の交流をバングナルトが認めたから。逆に王太子殿下はルージュと仲良し時代に独り占めしようとしたので不合格でした。
・アイラは王太子殿下に捨てられた!
アイラさん、頑張ってどM殿下にドン引きしつつも色々してあげましたが、蔑みが足りなかったらしいよ。
・どM殿下は自分を愛さず蔑む女性しか愛せなくなった!
ある意味大変不毛な結果に。すっきりざまぁではありませんが…これはこれで悲惨だと思います。なんでこうなったんだろうか…
今作は比較的予定通りにサクサク進んでますが、こやつは予想外でした。
・ヴェース、リップル、保健医がフラれた!
3人でこの後自棄酒して、リップルだけが二日酔いになりました。




