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私、みみっちい仕返しをいたします  作者: 明。
番外・マカラ編
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復讐フィナーレの舞台裏

マカラ視点になります。

 気絶した男をどうするか。その場で話し合った結果、そのまま家に帰して普段通りにさせた方がショックが大きいだろうという話になった。私としてはさっさと投獄してやりたいのだが、アイラは囁いた。


「貴女がなくした大切なものを、取り戻せるかもしれなくてよ」


 彼女はとある情報を入手していた。あの男が隠し続けている大事なものを、目の前で奪ってやれ。その方が復讐になるだろうと話した。


「………そうね」


 もっとダメージを与えるためだと思えば、仕方ないだろう。男は酔っぱらって寝てしまったことにして屋敷に戻した。


「さて、報告をお願いしますわ。見たまま、聞いたままを子細漏らさず伝えてくださいませね」


「………君達は本当に恐ろしいな!まあ、我が国とソルレイクのための犠牲と思えば仕方ないだろう」


 目撃者役として呼んでいた、廃嫡されて暇をしている馬鹿王子はひきつっていた。そんな馬鹿王子に、性格が破綻した王太子殿下が優しい笑顔で話しかけた。


「ああ。君がきちんと責任を果たしたなら、義妹への無礼はチャラにしてあげるよ。悪い話ではないだろう?それに、あの男は代用がきく。庇う義理もあるまい。むしろ、下手に庇えば正式に抗議するから。君に役立たずのレッテルを貼りまくるからね?」


「い、言われずとも務めは果たす!!」


 馬鹿王子は未練がましくルージュをチラチラ見て帰っていった。ルージュはまったく反応せず、次の計画について打ち合わせをしていた。ざまぁ。




 私達はリヒャルトが作成した監視かめらなるもので男の様子を見ていた。ちなみに現在は自室に隠蔽結界を作動させて潜伏している。監視かめらは移動式ですてるす機能つきなんだそうだ。ストーカーが得たら大変なことになりそうだ。


「リヒャルトは私が浮気しないか監視したい?」


「えっ!?マカラちゃん浮気するの!?し、しないよね?」


「しないけど、監視したい?」


「え?なんで監視するの?」


 リヒャルトは監視するという思考がないらしい。善良な彼らしくて笑ってしまった。いい夫を選んだと、我ながら思う。





「朝………か?」


 男が起き上がった。机から、手紙が落ちたので拾い上げる。私が書いた手紙のようだ。それを確認すると、国王に呼び出されて出掛けていった。


「大変なことをしてくれたな」


 国王は怒っていた。しかし、男は昨日のことを覚えていないのか、悪い夢だとでも思っているのかキョトンとしている。


「他国の、しかも娘の結婚披露宴であの醜態…ただでさえ我が息子がやらかし過ぎているのに、我が国のイメージが最底辺になったらどうしてくれるのだ!!」


「え…?」


 ようやく男の顔色が悪くなった。心配しなくてもこの国のイメージは最底辺だから問題ないと思うわ。あの馬鹿王子の件だけでお釣りがでるレベルの醜態だったもの。あと、娘じゃなくて元娘よ。そこ大事だからね。


「…どうした」


 男は青くなりはしたが取り乱すことはなかった。


「……いえ、申し開きのしようもございません。私は現在の仕事を片付け次第、牢へ参ります。領主の仕事が疎かになれば、民が困りましょう。引き継ぎができるようにしておきます。今まで、お世話になりました」


 恐らくは従順なふりをして国外逃亡でもするつもりなのだろう。案外冷静だ。長く貴族として生きてきたのだし、当然かしらね。


「ふむ、ならばそなたの兄に引き継ぐがよい。そなたの兄は傑物であった。領主(おもて)の仕事は問題なかろう。もう一つは、娘の方に才がある。あれに終わらせてもらうとしよう。国はもう揺らがぬ。そなたもゆるりと休むがよい」


 しかし、流石にお前は用済みだと言われて苛立ったのだろう。顔を伏せているが、怒りを隠せていない。国王陛下は予定通りに男を煽り、信じたふりをして男の帰宅を許した。



 

 帰宅した男は、予想通り荷造りをしていた。そこにお父様が声をかけた。


「おかえり。何をしているんだい?昨日は大変だったね。大丈夫…」


 男は予想以上に短気だったらしく、最後まで父を喋らせなかった。持っていたナイフで心臓を一突き。我が家は毒と薬、医療に特化している。即死させるための一突きだった。男はさらに何度も何度もナイフでお父様人形を刺していた。


「あああああ、私の車椅子………」


「あのぐらいじゃ傷つきませんから、大丈夫ですよ」


 あらかじめ夢魔(ブタ)に錯覚魔法を使わせ、車椅子に座る人形をお父様だと錯覚させた。ちなみにお父様本人は後ろで車椅子を押している。男はお父様を滅多刺しにしているのよ?私が言うのもなんだけど、それを見て車椅子を心配するなんてお父様って変わっているわ。それと、あれだけナイフで刺されても傷つかない車椅子って、すごいわね。


「ふはははは!あはははははははははははは!!」


「ひっ!?」


 使用人に扮したレッタが怯えた様子で悲鳴をあげた。弾かれたように逃げ去ろうとしたが、一突きされて執務室に投げ込まれる。大丈夫かしらと思ってこっそり声をかけたら、マカラ様を泣かした馬鹿に一矢報いるためならば平気ですとこっそり返事をしてきた。気持ちは嬉しいけど、ちょっとレッタがたくましすぎる気がする。


 さて、私もいかなければ。男にとってのバッドエンドはすぐそこだ。


「なんの騒ぎですの?」


「ああ、なんでもないよ。家族水入らずで、どこか遠い場所へ行こう!」


 男につかまれた手を全力で振り払う。


「…お断りします。そもそもお前は私の家族などではないわ。私の家族を殺したお前は、仇でしかないわ」


「ち、違う!殺してない!私ではない!これは誰かの陰謀だ!」


「…違うわ。お前、母様も殺したでしょう」


「違う!彼女と私は愛し合っている!!そうだ、彼女を追い詰めたのはそこの間男だ!彼女は今でも私を待っているんだ!」


 男は複雑な手順で隠し部屋へ扉を開いた。そう、それを待っていた!構造上隠し部屋があるのはわかっていたけど、下手に開けようとすれば何が起きるかわからないから手が出せなかったのよ!


「…そこね!でかしたわ、夢魔(ブタ)!お父様、馬鹿を捕まえておいて!!」


 男を突き飛ばし、隠し部屋に滑り込む。すでに人形をどかして車椅子に座ったお父様が宙を舞い、男に襲いかかるのを見た。車椅子って飛ぶものだったかしら?疑問に思ったが、まあ、それはどうでもいい。


 隠し部屋の灯りをともす。室内の様子がわかったのだが……


「うわ………」


 室内はストーカー部屋としか言い様のない状態だった。壁一面に母の写真が貼られている。母のドレスや下着、部屋にあった見覚えのある品々は、すべてここにあった。


「母様?」


 硝子の棺に、母はいた。だが、声をかけても目を覚まさない。状態を調べてみる。何らかの呪いで仮死状態を保っているようだ。いくらか痩せ細っている母の両腕は点滴と繋がっていた。


「………これ、効くかしら」


 リヒャルトが私にくれた結婚指輪には『全異常無効』というとんでもない効果がついていた。とりあえず指にはめてみた。効けばラッキーと思っていたのだが、効いた。


「んん……………どちら様?」


「マカラですわ。詳しい話は後ほど。お父様…マシューに会いたいでしょ?」


「ええ!マシューに会えるなら、どこへだってついていくわ!」


 とは言うものの、長年寝たきりだった母はフラフラしていて私が支えるしかなかった。母を支えて部屋を出ると、男が嬉しそうに近寄ろうとした。母は明らかに嫌な顔をしている。


「マスラ!私は」

「何があったのですか!?」


 騎士達が部屋に飛び込んできた。状況が読めないのか、部屋に入ったはいいが固まってしまった。


「どうやら、国外逃亡するつもりだったようですよ?」


 監視かめらで騎士達に説明するリヒャルト。騎士達は画像を確認し、青ざめた。リヒャルトが説明すると、彼らは納得して男を連行しようとする。


「待て!待ってくれ!!妻と話をさせてくれ!!頼む!少しでいい!!」


「…私は話したくないんで、さっさと連れていきなさい」


 母は男を見なかった。忌々しいと言わんばかりに顔を歪めて吐き捨てるかのように…不快げだった。


「マスラ、マスラああああああああ!!」


 嫌だ!彼女と引き離されるなんて耐えられない!!


「マスラ、マスラ、マスラああああああああ!!」


 だが、どれだけ泣き叫ぼうとも騎士達は男を引きずっていく。泣き叫び、手を伸ばすが、その手が届くことはなかった。ざまぁみなさい!!私の高笑いがその場に響くのだった。

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