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私、みみっちい仕返しをいたします  作者: 明。
番外・マカラ編
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復讐開幕の舞台裏

マカラパパことマシューさん視点になります。

 マカラは表面上弟と仲良くするふりを続けた。かなりストレスになってるらしく、よく私やリヒャルト君に愚痴りにきた。もう少しの辛抱だからとなだめ続けるしかできなかったが、ついに支度が整った。ルージュ様達からゴーサインが出たのだ。マカラが手紙で弟を呼び出す。上手くできるか不安もあるが、私の気持ちは変わらない。マカラの幸せのためにも、弟から奪われたものを取り戻さなくてはならないのだ。私はもう、選択した。


 それは盛大なパーティだった。ソルレイク城の大広間を借りて行われている。ソルレイクの第一王子殿下とマカラは仲がよいらしく、王子の好意によるものだ。楽しい見世物を期待しているよと言っていたので、かなりいい性格をしているらしい。マカラいわく、ギブ・アンド・テークの関係だとのこと。与えているものに予測がつくだけに、頭が痛い。

 かなり高位の貴族も招かれている。ルージュ様のコネクションによるものだ。流石は名家のガーネット家だな。


「おじ様!お久しぶりですわ」

「元気か…ですか?久しぶりだ…ですね」


 弟に声をかけたのはルージュ様。嘘が苦手そうなファンデ様はかなり緊張しているようだが、弟は不自然さに気がつかなかったようだ。後に最近マナーを習い始めたそうで、そのせいで気づかれなかったのだろうとルージュ様は話していた。ファンデ様も貴族の子女のはずなのだが、何かあったのだろうか。


「久しぶりだね」


「おじ様、こちらへいらして」

「こっちだ…ですわ」


 ルージュ様が弟を私のもとへ誘導する。私のいる位置は広間の中央付近。人の目に付きやすく、外に出にくい。そして、主役がよく見える位置だ。


「やあ、君もお祝いに来たのかい?」


「祝いに?」


 私が弟に話しかけると、タイミングよく音楽と共にマカラが純白のドレスとヴェールを纏って現れた。彼らの事だから、わざと狙ったのかもしれないね。リヒャルト君は白のタキシードを着ている。美男美女で、とても絵になる二人だね。幸せそうなマカラに、泣きたい気持ちになる。どうか、娘が幸せになりますようにと祈りたくなる。


「結婚おめでとう!」

「マカラ様、おめでとうございます!」

「マカラ様、おめでとう!」


 次々に、皆が祝福の言葉を口にした。マカラもリヒャルト君も、にこやかに手を振る。弟は魂が抜け落ちたかのように呆然としていた。


「きょうはマカラとリヒャルト君の結婚披露宴なんだよ。まさか、知らなかったの?」


 私は無邪気を装って弟に話しかけた。ようやく現実に戻ったかと思えば、何かに取り憑かれたかのようにブツブツと許さないと言い続けている。

 弟と目があった、と思った瞬間に攻撃魔術を行使された。リヒャルト君の車椅子なら回避できなくもないが、城が火事になるかもしれないし誰かか大火傷をするかもしれない。私は即座に覚悟を決めた。


「うわああああああ!!」


 炎に包まれたが、リヒャルト君が車椅子につけてくれたおーとでふぇんす?が発動したらしい。卵のような結界に阻まれ、暑くもなかった。私の結界はいらなかったなぁ。リヒャルト君、すごすぎる。

 私が攻撃されたからだろう。悲鳴をあげて紳士淑女が我先にと逃げ惑うのが見えた。まさかいきなり暴れだすとは思わなかったから申し訳ない。あ、第一王子殿下は笑ってる。すごい度胸だなぁ…。


 弟は、さらにリヒャルト君へと魔術を放つ。


「嫌だなぁ、こんなヘボい術式で僕を殺せるとでも?」


 弟の魔術を一瞬で消し去るリヒャルト君。詠唱もなしの行使…いや、彼は魔具師だから、何か身を守るものを持っているのだろう。車椅子にこんな仕掛けができるのだから、難しくないはずだ。

 魔術に自信があった弟は動揺している。弟はどちらかといえば秀才タイプだった。だが、影で努力して自分を天才に見せかけていた。どうして、こんなことになってしまったのだろうね。


「無駄ですよ」


 リヒャルト君の表情と言葉から、どんな魔法であろうと彼には届かないのだと感じさせられた。しかし弟はそれを認めず、強力な魔術を詠唱し始めた。全魔力が込められた魔法。大丈夫なんだとは思っていた。でも、二人に万が一があったらと思ったら…気がついたら私は、彼らの前に飛び出して魔法を受けていた。魔力が一気に持っていかれたが、大丈夫。受けきれると感じた。


「ちょっと、お義父さん!無理しないでくださいよ!いくら魔力障壁があるからって無茶すぎる!!」


 慌てた様子で私を叱るリヒャルト君。心配かけてごめんね。でも、君達の盾になれて嬉しいんだ。役立たずだった自分が、大事な君達の役に立てて嬉しいんだ。


「あはは。流石に今のはまずいかなぁと思ったら、勝手に動いちゃった。これ本当に便利だねぇ。いくらぐらいなの?」


 リヒャルト君が頭を抱えてしまった。君がマカラの伴侶でよかった。君がどれほどマカラを愛していたか知っている。君がどんなにいい子かも、よく知っているから。


 殺気を感じて正面を見ると、弟が幽霊を見たかのような表情をしていた。


「もう終わりにしようか、我が弟よ。お前が私に毒を盛っていたことは知っていた。致死量まで与えてないのか我が家系の体質的なものかは知らないが、私には効きが悪いようだな」


 私はゆっくりと立ち上がった。それだけで充分だろう。震えもせずに立てるようになった。長年の下半身麻痺により筋力こそ低下しているが、私はマカラによって解毒されている。弟にもそれがわかったのだろう。


 どこか虚ろな瞳をした弟が私に近づこうとしたが、マカラがそれを阻んだ。


「私のお父様にも、夫にも、手出しはさせませんわ!!」


 不甲斐ない父である私を守ろうとするマカラに、涙が出そうになった。。


「父は…夫は…私、だろう」


 弟は混乱しているようだ。いや、マカラとマスラを混同しているのかもしれない。ハッキリと否定してやることにした。


「…いや、マカラは私の娘だよ。すまないね。彼女は私との子供を身籠っていた。お前達に夫婦の契りがなかったのは調査済みだ。私は…もっと彼女を信じるべきだった」


「違う!そんなのは違う!!」


 必死で否定する弟。だが、当時仕えていた使用人達からもそういった行為すらなかったと証言を得ている。痕跡がなかったのだ。それに、古参のメイド長から気になる話も聞いている。


「どちらにせよ、私は正当な法的手続きのもと、貴方の娘ではなくお父様の娘になりました。勘違いしているのは貴方。ようやく他人になれてせいせいしますわ」


 マカラが冷たく微笑んだ。彼女はこの件に関して、すごく喜んでいた。私が父だと判明するとすぐに手続きをしたがったぐらいだ。


「そんなことは許さない!お前は私のものだ!別の男のものになるなど、絶対に許さんぞ!!」


 取り乱し、叫ぶ弟。遠巻きに貴族達に見られているが目に入っていないらしく、何かをブツブツと呟いている。明らかに混乱しているようだ。そっと周囲を確認する。貴族達をこの場に留めたのは、アイラ様達だった。この現場を目撃し、証言できる人間を確保するためだ。まだ年若い娘達だというのに、皆肝が座っている。


「あ、ああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 頭を掻きむしり、絶叫する弟。完全に正気を失っているようだ。その瞳に狂気を見た。マカラから絶縁宣言をされたのが、そんなにショックだったのだろうか。


「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!お前が、オマエガアアアアアア!!」


 狂った弟が懐に入っていたナイフらしきものを振り上げて、リヒャルト君を刺そうとした。


「させない!」

「させませんわ!」


 私の意思に、車椅子が応えた。一気に加速し、リヒャルト君と弟の前にでる。マカラの雷撃魔法と私の車椅子から生えたハエタタキが直撃した。弟は気絶したので危険はなくなった。


「……リヒャルト君、これ………」


 何故ハエタタキなのか。屋敷でたまに使っていたけども。リヒャルト君が無言で確認する。ハエタタキはぐにゃぐにゃと溶けて車椅子に戻ってしまった。


「この金属は魔力を与えることで使用者の意のままに形を変えます。たぶん身近にある武器だったんじゃないですか?」


「…………………うん」


 そうかもしれない。ということは、イメージさえできれば、かっこいい武器も出せる?よし、練習しよう!そうしよう!!


「お願いですから、あんまり無茶はしないでください。僕、今回魔具でガッチガチに装備整えてたんですよ?流石に肝が冷えましたよ。車椅子の感度を下げるべきかなぁ…」


「いやいや!いざって時に逃げられないと困るから、このままで!!」


 なんだかんだリヒャルト君は甘いので、車椅子はこのままになった。さて、計画は問題なく完了した。仕上げをしなくてはね。

 走れるようになってもマシューさんが車椅子を手放さない気がします。

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