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ルビーアイ・カタストロフィ  作者: アゲハ
1章 始まり
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1話 出立

ある1月11日の事



「ママーー!! 早く早くーー!!」



もう1人の娘が()かす



私はトイレから息を切らして走った



無駄に遠いトイレ



無駄に広い搭乗口



そう、ここは空港だ



私は息絶え絶えに言った



「ハァハァ…… わかってるわよー! ハァハァ…… 咲子(さきこ)ぉ…… (いそ)がせないでよーー!!」



そう叫んだ時だ



フワリ……



体が軽くなる感じ



そして、それが重力の本来の方向だと言わんばかりの自然な……



実に自然な引き寄せられ方をした



そう……



一歩一歩が()()()()()でもしているかのような歩幅






解る






()()は、()()






あっという間だった



すぐに着いた、皆の元に……



龍斗(りゅうと)(おさむ)桜子(さくらこ)、咲子、4人が揃っている



私は咲子と呼んだもう1人の娘の耳元で小声で怒鳴(どな)った



(咲子! 人前で(ちから)使っちゃダメでしょ!!)


(だってーー…… 胡桃(くるみ)ママ、遅いんだもん……)


(…… だからって…… ハァ……)



私は呆れる



どんな表情をしているのかも検討がつく



()()()は人の理解を超える



理解出来ない超常現象は、人の(ねた)みを買う…… ひいてはココにもう、居られなくなる恐れもある



だから小さい頃から言い聞かせていたのに……



「まぁ何はともあれ、もうそろそろだよ!」



そう、咲子は口を笑顔で開いた



「まったく……」



修が続く



「まぁ、でもよ? こんな()()な時にトイレ行く? フツー?」



桜子が更に続ける



「ホントよー! 娘の大事な門出なのに! もっと早く行っといてよねー!」



くっ……



言い返せない……



このやり取りは、私の敗北に終わった……



「何はともあれ…… そろそろね♪」



私はそう言った



そう



もうそろそろ娘が来る



手続きを終えて、もうすぐココに……



私の大切な娘



私達の未来は【この子達】に掛かって居るのかも知れない



1人の女性がスーツケースを引き、向かってきた



キイキイ……



足元のキャスターが鳴る



「ようやく手続(てつづ)き終わったよ! パパ! ママ! 桜ママ! 修パパ! 咲子!」



満面の笑みで語り掛けてきたのは、(いずみ)



私の娘



私と龍斗の大切な娘



龍斗が泉の頭を撫でて言った



「忘れ物は無いね?」



「うん♪ 大丈夫! 何度も確認したから!」



「そうか♪ 随分と英語を勉強したのは誰よりも知ってる…… だから、それ自体には心配していない…… でも、気をつけてな!」



「うん! パパの為にも、ママの為にも、皆の為にも頑張ってくるよ!」



皆、うんうんと頷いた



そんな中、不意に桜子がバッグから取り出した小さな塊



デジタルカメラ



「皆で写真撮ろーよ!! 泉は私のもう1人の娘だからね! 淋しくなるわー……」



そう口にした所で、桜子は少し、泣いた



私達は皆で1つの家族



これ程、幸せな事は無い



泉、咲子を中心に皆が周りに立ち並ぶ



ちょうど近くに居た、名も知らぬ人から2枚ほどシャッターを押して貰った



デジタルカメラの写真を確認した私達は笑顔をそれぞれに向ける



そして、その写真のデータを後で泉の携帯電話へと転送する約束をした



安心した様子の泉



彼女は【ありがとう】と言葉を(つづ)り……



泉は搭乗口を越え、留学先に向かった



そう……



彼女はアメリカに向かった……


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