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家電量販店の店員さん

作者: 山野雪

とある家電量販店に行った。

プリンターのインクとiPadの画面カバーを買うのが主な目的だが、それ以外にも店内を見て回るのは面白いし、詳しくないながらも新しい機能を持った家電に出会うと興味がわく。

へえ、こんなこともできるのね、と感心する程度だがプラプラと見て回るのは嫌いじゃ無い。


その電気屋さんは家電館とPC館とに分かれていた。

主目的からいってPC館に先に入る。

売り場に足を踏み込んだ途端に女性の店員さんが笑顔で出迎えてくれた。

『今日は何をお探しですか?』

これこれが欲しい、と告げるとご案内いたします、と丁寧に売る場まで導く。

『プリンターのインクは容量が大きいお得サイズと通常のものと単品の販売もございます、どれにいたしますか?』

『あ、ああ、、、これを、いや、やっぱこっちをください。』


『次はiPadカバーですね、こちらへどうぞ』

キビキビと私のiPadの種類を確認すると画面カバーを並べて特性を説明。

『どれにいたしましょうか』


二つの商品を手にした店員さんは

『レジはこちらでございますのでどうぞ』という。

『あのう、店内を色々見たいのですが、、、』と勇気を出していうと

『はい、ご案内しますね、何をご覧になりますか』

いや、だからね、そうじゃなくて、という言葉は飲み込んで、『自由に見てきてもいいですか?』というと『もちろんでございます、どうぞ、ごゆっくり』とおっしゃり去って行った。


人に聞こえないように溜息をつき、店内を見始める。

すると今度は男性の店員さんが寄ってくる。

『何をお探しでしょうか』ただ自由に見たいのだと告げると何なりとお申し付けください、と私の三歩後ろで待機している。

息苦しいので少し移動して他のコーナーへ。

やはりすぐに別の店員さんが『お探しのものは何でしょうか』と言ってくる。


最近の電気屋さんってもうこんなにくっついてくる接客しないんじゃないの?

流行りじゃないからどこもここもやめてるよ?


店内を見渡すとPC関係の商品と一からPCが自分で作れるフリーのパーツがいろいろ置いてある。

私には到底縁のない世界だが好きな人にとってはゆっくり吟味してマイPCを作るおもちゃ箱の様な空間であろうに。

私は落ち着かなくなりレジに向かう。

『レジの方も以上二点ですね、お買い忘れはありませんか』とおっしゃっていたが、もういい。


店を出たところで延長コードが必要だったことを思い出した。

きっとPC館ではなく家電館の方だろう、どうしようか、面倒臭くなってしまった。

でもせっかく電気屋にいるのだからあと一つ買って帰ろう。


家電館に入るといらっしゃいませ、の声はするものの誰も来ない。

あれれ、結構拍子抜けだ。

プラプラ見ているお客さんの数も多い。


延長コードはどこかしら、と店内を見回し一通り歩く。洗濯機、掃除機、照明機器を横目で見ながら一周してしまった。少し楽しい。

延長コード無いの?店員さーん、と声をかけようにもいらっしゃらない。

仕方なくレジの人に聞きに行くと数名が会計を並んで待っている。

誰かぁ、延長コード知りませんかあ?・・・聞きたい。


レジが開くのを待って聞いて見たら『延長コードはお二階になります、あそこの階段からお上がりください』とのこと。

はい。


めでたく延長コードは買えたものの、何だか複雑よね。

居て欲しい時に居ず、居て欲しく無い時に居る。

しかし、店員さん側からすれば私の様なお客さんは少数派で大多数の方々からは喜ばれているのかもしれない。特にPC関係の物は要望があるのかもしれないし、と考えることにした。

私が店員さんの立場なら、必ずしもお客さんの要望には応えられないだろうと思う。たぶん。


居るべきか居ぬべきか、それが問題だ。

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