オカリナ
吹き込む風が音になる
壁に当たって音になる
体が震える
音が震える
がらんどうの体のうちで
素焼きの茶色い躰のうちで
吹き込む風が音になる
出口を指が塞いでいる
見えない世界に出口はない
出口を求めて音が迷う
迷った音が耳に届いて
つややかか
耳障りか
耳を選んで届け始める
共振した音同士が
狂信した風を集めて
壁に沿って
指に沿って
ようと
やっとで
出口を見つけて
心地いい?なんて
囁き声
耳元まで
やさしい音だけ
今日は届けてよ
オカリナさん
ゆっくり眠れそう?
それはよかった。
ありがとうございました。




