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前の席に座る女子が
前の席に座る女子が、髪に埃をつけている。
失礼、と一声かけて、ひょいと摘んでやるのが紳士的な行いなのだろうが、私には到底出来ないことである。
怖いのだ。
彼女は人望がある。頭もいいし、美人と言えば不細工ではないと返せる。
それに、気さくな人だ。
ところで、この世には様々な人がいる。
当然、髪を触られるのを快く思わない人だっている。
例えば、自分以外の人を不潔だと思う人や、そもそも人が嫌いな人。
いや、例えば、と言っても、私の勝手なイメージ、つまり偏見に過ぎないのだが。
しかし、じゃあ、その女子は当てはまらないんじゃないか、と言われても、友人に、そんな人じゃないと言われても、人望があり、頭もよく、気さくな人が髪を触られるのが不快である可能性をゼロにすることはない。
声を掛けずに、私はただ埃を見つめるだけ見つめ、時間は過ぎる。
少し強い風が窓から吹き込んでも、埃は飛んでいかない。
誰も気付かないのか、彼女の髪には埃がついたままだ。
私は考える。
いっそ、誇りにしてくれないかな、と。




