待ち人来ず
『私、先輩と同じ高校に入ります』
しかし、君は高校生にならなかった。
「こんにちは、お願いします」
「いらっしゃいませ」
本を1冊買い、僕は本屋から出る。
田舎の本屋、だけど読みたかった本があって良かった。安心した。
ほんのりと暖かい風が吹く。
気持ちいいな、と僕は思うけど、少し傷付く。
4月。
僕の待っていた後輩のあの子は、僕の高校には来なかった。
いや。
高校は、入らなかった。
『私、先輩と同じ高校に入ります』
僕が中3で、あの子が中2だった頃。
ふと、あの子は、僕に言ってきた。
『そうか。
よかった、なんか安心したよ』
微笑んで、僕は返した。
恋愛をしていた訳でない。
少し暗い後輩と、その子が心配な先輩。
普通の、少し仲が良いだけの関係だった。
でも、1年が経ち、いよいよ入っているかと待ち構えていたけど、再会はならなかった。
『ああ、あの子?
作家になったらしいよ、専業作家、確か、俺たちが卒業したらすぐに何かの賞を受賞してさ、で、高校は入らないで、そのまま作家だけの道をとったんだってさ。妹が言ってた』
なんか、嫉妬しそうになった。
僕が知らないで、何も関係ない奴が知っていたから。
けど、嫉妬しても仕方ないから、すぐに気持ちを抑えた。
その子の本は、田舎の本屋にも、あった。
大手の本だから、だろうか。
再会は、できなかった。
けど、君は生きている。
専業作家という道を選んだのだ。
寂しいけど、僕はカゲで応援しよう。
読んだ後、
「なんか、ヒロインの少年の名前や姿が僕に似ていたような、いやいや、そんな訳ない、ないから。恋愛ものだったけど、主人公の名前とかも、あの子に似ていたような、いやいや、訳ない、ないよ」
ありがとうございました。




