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黄泉帰りのお貴族様  作者: 溶けた藤色
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ごちゃついてます

「いやあ〜申し訳ないわね〜!」

ポリポリと頭を掻きながらダニ一匹分の申し訳なさも伝わってこない謝罪を行っているのは、俺が次の人生へと旅立つために選んだ?女神である。

問題は神から謝られている内容についてである。


俺は次の人生へ旅立った瞬間にミスで死んでしまったのだ。

誰のせいかと言われるとお互いが悪いのだが…


ことの始まりは俺が死後に魂の状態だった時へと遡る。


俺は自分の人生を無駄に浪費し過労とストレスで一人寂しく死に幕を閉じた。

その後、凄まじい数の魂が並ぶあの世へとやってきたのだ。

人や獣やよくわからない形の魂が並ぶはるか先では何やら慌ただしく魂をの行き先を案内する様子がぼんやりと見えており、これは時間がかかるなあと散歩を始めたのが失敗だった。


列を離れ動き回ると、何処かへと繋がる無数の道が現れては消えていった。道は一つ一つの様子が違い先の見えない仄暗い道や花が咲き乱れる華やかな道など様々でその様子を眺めるのがとても楽しかったのだ。


無数の道を見つけ続け、その中で本当にただ何の変哲もない普通の砂利道を見つけた。装飾もなく輝いていたり影が落ちているわけでもない本当に普通の道。

素朴で普通なその道の先に何があるのかと興味を持ってしまったのだ。


恐らく普通は魂の列で自分の順番を待ち何かしらの案内を受けるのであろう。だが俺は一人で勝手に進んでしまったのだ。

じゃり、じゃり、じゃりと音を立てて歩く。歩き続ける。疲れを感じることもなく時間の感覚も曖昧な状態なのでどれほど歩いたのかもわからない。

だが俺はその道の先で、文字通り自分の運命を決める存在と出会った。


それは長く美しい髪を指でくるくると弄びながら、視線は何もない宙をぼんやりと眺めていて暇を持て余しているようだった。


その姿に神秘性を感じずには居られず見惚れてしまったのが運の尽きだった。

それはこちらの存在に気づくとぱあぁっと後光がさすように光り輝き、すぐさまに近づいてきて、こう言い放ったのだ。


「遂に私の所に魂が案内されたのね!」


恐らく顔が見えればおもちゃを与えられた子供のように輝く笑顔が見られるであろう勢いで食いつかれてしまった。

案内をされていないどころか勝手に抜け出して歩いていたのだ。勘違いを正すためにも事実を伝えねばと思った時にはすでに遅かった。


「我が力と権限を導としてこの魂に機会を与えましょう、次なる生に幸多からん事を。」

輝く光が強まり目がくらむ。光に包まれていくのにも関わらず暗闇へと飲み込まれたようだった。


何も見えず何も聞こえない。ふわふわと浮いているような感覚に包まれる。

もがけばもがくほどにどうにも動けずにもどかしい。そんな感覚に苛まれていると段々と光が戻ってきた。

「あれっ、おかしいわね」

気が抜けるほどに間抜けな調子で言い放たれた言葉の後にやっと俺は自分の意思を伝えることが出来た。


「その、案内?をされる前に抜け出して勝手に来てしまいました…」

「……マジ?」

そう一言だけ言い放つと段々後光がの眩さが萎んでいく。

青ざめた顔でわなわなと震える目の眩むほどに美しい女性だった。

「という事は…あぁっ失敗しちゃう!ストップ!ストップ!」

「あの、やっぱり戻った方がいいですよね、お邪魔してごめんなさ『今戻られると私も怒られるのよ!!』」

どういう事なのか分からずそのままキョトンとしてしまった。


そんな俺の様子を見てその人はぽつぽつと理由を説明してくれた。

なんでもあの行列は生前の世界で生きて積み重なった記憶や穢れや不純物などを取り除きどんな世界にでも生まれ変わることができるように適応させるための列らしい。

そして処理が終わった魂はそれぞれの神の道へと案内され、その後、先ほどのように生まれ変わりを行うのだとか。

ちなみに死んで間もない魂はぼんやりしているため俺のように勝手に歩き回る事はほぼ無いそうだ。


「あぁ〜、確認もせず浄化の済んで無い魂を送り込もうとしたのがバレたらまた怒られるし馬鹿にされてしまうわ…」

その場にうずくまって絶望に打ちひしがれる女神はその美貌に似合わずあまりにも哀れでポンコツ臭かった。


「ちなみに俺が送り込まれるはずだったのがこのまま失敗だとどうなるんですか?」

「私が管理してる世界だから時は止めたけれど魂が入ってない空の器になるから、今のところ死産してるわね。下手をする時そこら辺の悪霊が入り込んで乗っ取るかも。」

「大変じゃないですか。やっぱり戻らないと」

「浄化に?産まれ先に?私は怒られたくないから無理矢理にでも産まれ先にねじ込むわよ。」


とんでもねえなこの女神、敬って話してたけど改めた方がいいんじゃないだろうか。

「共犯になってもらう特典として次の人生に備わる才能とか決めちゃっていいから浄化されに戻るのだけはお願いだからやめて…記憶とか経験を色々見られるからバレちゃうのよぅ…」

よよよ、という表現が見えるほどに萎みきった威厳のない情けなさで頼み込まれてしまった。これは様々な神の中でも駄目な女神であろうと確信した。


「あなたの魂の浄化をバレずにできる範囲でやれるように色々準備するからその間に決めちゃいなさい」

「決めちゃいなさいってそんなどうやって…『あー、えっとちょい待ち…』」

えい、とこちらに指を振られると生前に見慣れたブラウザのようなウィンドウが目の前に現れた。

「多分その形があなたには一番見やすいでしょ、私の力を分け与えて勝手に弄れるように権限を作ってあげたからさっさと決めちゃって!」

ぞんざいにそう言い渡され内容へと目を移すと次に生まれる種族や才能について決められるようだった。

しかしその内容がまたひどい。種族はいいとして力:すごい!体:よわい!

といったように適当なのである。

レイアウトを弄れるとは言われたが内容まで弄れるだろうか、と試してみると弄ることができた。見やすいように手直しせねば、まずは能力の数値化から手をつけるか…どうして死んだ後もこんな仕事のような作業をせねばならないのか。


と思っていたが作業は案外サクサクと終わった。念じるだけでバグも生まれずに変更できるので一瞬の出来事だった。


とりあえずは生前嗜んでいたテキストライクなアプリゲームに倣って能力値や才能などを決められるように手直しした。

ようはゲームのキャラメイク画面のようにしたのだ。ランダム決定機能付きで時間がない人間にも優しい。俺以外に誰が使うかは知らないが。

内容は次のとおりである。


多種多様な種族、数値化された能力、スキルセット、性別、生まれといった内容である。


種族は定番の人間、エルフ、ドワーフなどに加えてなんと魔物や無機物まで存在するのだ。種族名をロングタップすると説明文が表示されるのでわかりやすい。


俺はあの女神によって生まれが決定されているようなので種族、性別、生まれは変更出来ないがまあ良いだろう。男性で人間の貴族に産まれるらしい。当たりではないか?


スキルはセットするのにポイントを消費するように設定、組み合わせによって別のスキルがポイント消費なしで出現する。

たとえば【精神耐性】と【痛覚耐性】を選ぶと【気絶無効】といった具合だ。こういうゲームが欲しいと思ってたんだ。念じるだけで実装できるのはとても嬉しい。


能力の数値化はようはステータス割り振りだ。

STR(筋力)VIT(生命力)DEX(器用さ)AGI(素早さ)MAG(魔力)RES(抵抗力)APP(容姿)LUK(幸運)


かなり細かいし多くなったが能力は最大値が〈18〉で最低値は〈3〉の設定にした。あまりにも才能がないと詰む可能性があるからな。

最初は全て〈9〉に割り振られている。そこから12ポイント振ることができる。

ここで振り分けたポイントでスキルポイントの消費が変わってくるようにもした。


例えば先ほどの耐性スキルはRESが〈3〉の状態だとセットに4ポイント消費するのだが、RESが〈8〉だと3ポイント、〈13〉だと2ポイント、〈18〉だと1ポイントになる。

無駄に作り込んである。現実であればこのシステム実装だけで俺ならエタってしまうだろう。

俺はとりあえずAPPとLUKを最大の〈18〉になるようにした。

あとは適当に弄って……


STR〈6〉VIT〈8〉DEX〈10+3〉AGI〈8〉MAG〈8+5〉RES〈13〉APP〈18〉LUK〈13+5〉

人間の貴族生まれという事でDEXとLUKにボーナスでも設定されていたのか数値の後ろに+ボーナスがあった。おかげで実質的に幸運最高値である。少々STRが貧弱な気がするが贅沢な話しだろう。器用で平均的に能力があればなんとかなるのだ。重要なのは見た目と運。これが世の真理だ。


さて、残す所はスキルセットか。人間には種族特徴として最初から【創意工夫】があった。これがDEXボーナスの原因であろう。貴族には【幸運】と【青き血】があった。生まれに恵まれているから幸運ボーナスという事か。

青き血はなんだ…?貴族の血は青いとは言うやつだろうか、MAGボーナスもどこから生えてきているのか分からない。


スキルポイントは50ポイントも使える。色々な組み合わせが予想できるので慎重に選ぶことにする。

………

……


耐性関係

【火耐性】【水耐性】【風耐性】【土耐性】【精神耐性】【痛覚耐性】【頑丈】【★気絶無効】【★(あい)耐性】【★呪い無効】

戦闘系

【体捌き】【足捌き】【格闘術】【盾術】

魔法関係

【火魔法】【水魔法】【風魔法】【土魔法】【付与魔法(エンチャント)】【魔力制御】【聖魔法】

生活関係

【調合】【調教】【交配】【危険感知】【希少物発見】

特殊発生

【◆創意工夫】【◆幸運】【◆青き血】【★魅了】【★精神汚染】【★霊視】【★神聖強化】【★穢悪(あいあく)強化】【★上位種生出(ランクアップ)


欲しいスキルをセットしていくと魔法系タンクキャラのようになってしまった。まあこれはこれで良いだろう。

スキル名の横にある◆は種族スキルで★マークは組み合わせや能力によって発生したボーナススキルだ。


そして聖に関しては必要ポイントが高くついた。恐らくレアな属性と言うことだろう。

INT〈8+5〉でも消費が5ポイントなのでINT〈18〉でも4ポイントは持っていかれる数値だ。

お高いスキルだがその分組み合わせが多い。4個もスキルが増えた。

というか【穢悪(あいあく)強化】ってなんだよ。神聖の対になっている属性だとは思うが難しい単語が出てくるものだ。

APPが最高値なお陰で【魅了】と【精神汚染】が生えてしまった。能力を下げるべきだろうか…


うんうんと唸っていると、ふわふわとした光の玉が集まっている女神から声がかけられた。

「随分と面白いシステムね~、やっぱりこういうのは私が弄るんじゃなくて部下とか他人に任せるに限るわぁ」

この駄女神、自分で改良するのが面倒だから俺に押し付けやがったな…

「じゃあバレないうちにさっさと生まれ変わってもらうわね、魂の適応化はその子達がやってくれるから!えい!」

うわ、最初に言ってたセリフってただ格好つけてただけかよ!と心の中でつっこんでいると光の玉が俺の周囲に集まりながら目の前がまた光に包まれていき意識が遠のいていった。


「は~、なんとかなったわね。特典もあったし次はしっかり生きてくれるでしょ。」

ひとりごちている女神へ光の玉の一つから横槍が入った。

「あの、さきほどあの魂に渡していた神力を使った権限は…」

「あっ、回収し忘れた!終わったぁ…」


そうした知らぬやり取りの後に、俺の死産から始まった二度目の生まれ直しが始まったのであった。

スキルや能力値などは後々まとめたりしないと思います。

まとめて表示されても長々しくて見にくいのと話数が増えて邪魔だからです。

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