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序
安っぽいラブホテルの一室で。
…おいで。
彼女は一瞬、笑顔になったが直ぐに隠し、真顔で抱きついてきた。
彼女の両肩に手をおいて。
誓うように…彼女の額にキスをして…
彼女を抱き留めながら、赤子をあやすように。
ゆっくり、ゆっくりと、背中を、
母親の心臓のリズムで、優しく、撫でた。
彼女の耳元で彼女が望む言葉を呟くと、
彼女は綺麗に泣いた。
ゆっくり、ゆっくりと、後ろから抱きすくめて。
5分もすると、微かな寝息を立て始めた。
二人にとって、とても大切な時間だった。
僕の言葉で泣いて、安心して眠りにつく彼女が…
…大好きだった。
[HUG] ~ハグ~
覚めた子だと思っていた。
冷たい男だと思われていた。
お互いの第一印象は似通っていた。