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熟れた狼  作者: ツナ川雨雪
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熟れた狼1

           熟れた狼


 僕たちは完全に道を外れた。僕たちと言っても、人間が複数いるわけではない。僕と先が読めて、話せる狼だ。「ジロウ、私たちはこのままいけば滝つぼに落ちるがいいか?」「よくない。それを避けるためにはどうすればいい。」「ワイヤーとコーヒーがいる」「それが用意で来たらどうなる」「曾おばあちゃんに会える」「それは、やめておこう。他に何か作戦を」「この車を動かしてみたら、どうだい」「僕は免許がない」「それがないと動かせないのか、なら、それを手に入れよう」「そんなにすぐは無理だよ」「どれくらいかかる」「八年くらいだね」「私はそんなに長生きできるかな」「そこは見えないんだ」「なあ、ジロウ見えるとして好き好んで見る奴いるか」「よくわからないけど。君は狼だから感覚が違うのかなあと思って」「感覚は違うだろうけど、本質的には変わらないよ」「本質ってなんだろうね」「ところで、このまま、ここにいるとどうなるんだっけ」「滝つぼに落ちる」「小学校には着かないよね」「着くよ」「本当かい」「本当かい。あの小学校かい。みんなに会いたいな」「それは無理」「どうして」「小学校が、あの、ではないからだよ」「しらないところ」「そうなるね」「でも小学校なら人がいるよね」「いないよ。毛むくじゃらのオランウータンがいるだけさ」「オランウータン。こわいよ」「何か方法はないの」「ヘリコプターでもあれば」「電話すれば来るよ」「いたずらだと思われるよ」ジロウは携帯を取り出した。「もしもしどうしました」「遭難しました」「場所はどこですか」「山です」「何山かわかるかな」「サンタクロースのいる山です」「イベントの帰り道かな」「違います。サンタクロースがいたんだよ。もういないけど」「僕もう一度聞くけど何山かな」「名前はわかりません」「僕お名前は」「笹ジロウ」「ジロウ君」「家はどのへんかな」「歩いて十分ぐらいのところ。お母さんとお父さんはいません」「つまり、さみしい」「さみしいです」「お山の名前はなんていうのかな」「わかりません」「じゃあ、お姉さんがつけてあげる。元気になるように。幸福山だね」「そんな名前じゃなかったと思うけど」「いいの。任せておいて。つらいことがあったら。またかけてね。でもいたずらは駄目よ。今日はなんとなく許してあげるから」「・・・・・・」電話は終わった。「切れた」「切られたんだよ」「忙しそうだったな」「好きか。じろう」「何が」「電話」「苦手。だってみんな怒る」「だろうな」「でもさっきのお姉さんは好きだな。親切だった」「ばかだなあ。ヘリコプター来るのか」「来ない」「まあ、帰るとするか」「そうだね。歩いて十分だし」「家でお留守番できなかった」「君と二人だといつもそうだ」「今度は道を外れないようにしよう」「うん」「この戦車かたいな、足が痛いよ」僕らは今日も、二人で・・・。         



         

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