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1話 遺書

自殺の描写があります。

自殺を肯定する意図はありません。

苦手な方や倫理観の高い方が読むのは、おすすめしません。

 あ、人間やめたいなぁ


 誰しも一度はこう思ったことがあるんじゃないだろうか。

 私、小太刀 好(こだち このみ)は今働きながら思ってる。人間やめたいなぁって思ってる。思うのは、タダだから思ってる。


 別にこのアルバイトが嫌だとか、人間関係でつまずいているわけでもない。至って、平凡に人間として日常を過ごしている。のんびりとフリーターとして、日々の流れに身を任せて生きている。

 だから、どうしてそんなことを考えるのか、何がきっかけなのかとか言われても、私自身も分からないし、他人が理由を探ったところで何も出てこない。


 人間、やめたら次は何になれるだろうか。


 あ、小さい頃大事にしてたあの可愛いクマのぬいぐるみになりたいな。それで、皆に無償で愛されるなら楽だな。

 愛されるなら、動物園にいる熊もそっか。でも、私は自由でいたいから、自然界がいいかも。いくら、自然界が厳しいって言われていても、動物園でひたすら見世物で居続けるのは、私自身耐えられる気がしない。


 よし、決めた!熊になろう!

 人間やめて、熊になろう!

 決めたら即行動に移すのが、私の長所だからこれまでそれを活かして、人間としてここまで過ごしてきたわけですよ。

 この長所、もっと活かせるところがあるんじゃない?なんて友達に言われたけど、この長所を活かすも殺すも結局私次第。だから、今回はここで発揮することにした。

 そうと決まれば、バイトが終わったらすぐに人間やめる準備しよっと。


 まず、どうやって人間やめようかな。

 まぁ、首吊ればいっか。その前に、遺書残しておこ。


 遺書、何書こうかな。

 

 …

 ……

 ………



 よし、決めた。


『 遺 書


  私、小太刀 好(こだち このみ)は今日人間をやめることにしました。

 理由を考えたんですけど、特にありません。ただ人間をやめようと思ったからやめます。強いて言うなら、人間で居続ける意味がないから、でしょうか。

 人間関係で悩んでいるわけでも、精神的に辛い日々を過ごしていたわけでもありません。

 なんとなく、です。だから、変な意味付けや理由を探ったところで何も出てきません。

 人によっては、親不孝者だと思われる方もいるでしょう。他人に迷惑をかけるな、人間をやめることが倫理観のない行為だと思わないのかなど様々なご意見が出てくると思いますが、それはご最もなご意見だと思います。

 けれど、私は最後まで人間として、自由な選択をしたいと思います。

 

 ですので、静かにここで、私の人間としての生を終えたいと思います。


  小太刀 好』




 …

 ……

 ………


 これで、よし。

 遺書を目につきやすい場所に置いておいて、あとはもう何も考えずに、人間をやめるだけ。

 後悔がないわけではないけど、希望や期待に満ち溢れているわけでもない。

 今の私は、完全に『無』だ。

 ただ、覚悟を決めて、1歩を踏み出してみる。

 正しい、正しくないはもうこの際、知らない。



 次は、熊として新しい生活を、人生を送れますように。



 そう思いながら、私は人間としての人生をやめた。



自殺がよくないことは重々承知しております。

決して、決して自身の命をこのような理由で落とされないことを願っております。

このお話が、ファンタジーであることを必ずお忘れなく。


好は無事熊になれたのでしょうか、お楽しみに。

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