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無彩限の終わり  作者: しがない鳥
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2年 舞空 透

特に無し!

君と初めてまともに話したのは、そう、あの日の偶然かな



舞空 透 高校2年生、部活は入っておらず、代わりに図書委員になっている。俺は周りからは俗に言う陰キャという部類にいる、クラスカーストの低い身分。話す人も話しかけてくる人もいない。話すとすれば落ちたものを拾って渡す、雑務位だ、これを会話と言っていいのかはわからない。





俺が図書委員になったのは単純に本が好きという理由もあるが、放課後の図書室の静かな空間というのも好きだからだ。俺のことはこれくらいで良しとして話を進めようか。




あれはそう、11月の放課後当番の日だ、当番は2クラスの図書委員で行うんだ。同じクラスのもう1人の図書委員は熱で休んでいた。HRが早く終わり、すぐ来てしまったので、先に貸し出していた本を元の場所に戻していた。別のクラスの図書委員は戻し終わった頃にやっと来た。


「ごめんなさい、HRが終わったあと担任に呼び出されて」



「ああ、うん、いいよ」



普通の人ならここで終わる。だけど君は違うんだね。


「ちょっと、もう少し怒ってもいいんだよ?私が本当は忘れてて思い出して来たかもしれないんだよ?嘘ついてるかもしれないんだよ?」



「そうか、それならそれでいいんじゃない?実際君はここに来た、それに、君はそういうタイプじゃないだろ?優等生の渡良瀬 春香さん」



「え?私のこと知ってるの?」



「そりゃ、知ってるさ、成績優秀、才色兼備、容姿端麗。学校の人気者だよ、誰でも知ってるさ。特に2年ならね」


自分への皮肉だろう



「そ、そっかぁ」


「ま、やることも終わったし、来たところ悪いけど帰っても大丈夫だよ、冬は図書室を利用する人は少ないんだ」



「そういう訳にもいかないよ!私もここにいますぅ」



「そうかい」



ここから始まった、ここから君に変えられてしまった、何も無かった日常に色を付けてきた。

















3月、卒業式が終わっても在校生にはまだ学校がある。

その日は珍しく湿気の多いジメジメとした雨だった。

教材を図書委員で教室に移していた時の事だった。



「渡良瀬さん大丈夫?持とうか?」


「これぐらい大丈夫!先に行って置いてくるよ!」


階段を登った時だ、段の湿り気により足を滑らせてしまった。咄嗟のことだったが、本を捨て、彼女を抱きかかえるが、両手は塞がっているため、受身は取れなかった。痛い。彼女は無事のようだ、良かったそこで俺の意識は途絶えた。


「───くん!───で!──てよ」













目が開く、知っている天井だ、身体を起こそうとしたら、痛みが広がった。1度では起き上がれず、2度目で起き上がれた。すると、体育教師の松田先生と保健室昴先生が気づきどうなったか教えてくれた。どうやら、俺は気を失ってしまったらしい。そして、渡良瀬さんが先生達を呼びに行ってくれたんだ。と、肝心の渡良瀬さんは泣き疲れたのか左手を離さず寝ている。


「どうも、すいません」


「頭を打ってそうでなくて良かったぞ、心配させやがって、教材は他の奴らが運んでくれたから後で礼を行っておけ」


「はい」


「昴先生もありがとうございます」


「これからは気をつける事ね」


「親御さんには連絡しておいたから、迎えに来てくれるってよ」


「分かりました、これ起こして、荷物取ってきます」


「その必要は無いぞ、既に持ってこさせた」


「何から何までありがとうございます」


「まぁいいさ、気をつけて帰るんだよ」



母親が迎えに来たところで、渡良瀬さんを起こし、どうするか聞いたら、うちの母親が送ってくと言い、後部座席に座ると渡良瀬さんはまたくっついてきた。母親はずっとニヤニヤしているのが若干癪に障った。

渡良瀬さんを送った後



「あんたが他人のために行動するの久しぶりね」


「そうだね、でもあれは咄嗟だったから...」


「咄嗟だったから、でもなんでも、あんたが助けたいって思ったんでしょ、母さん嬉しいのよ、透をちゃんと見てくれる子、透が大切にしたいって思える人が出来たこと、、、、、グスッ、」


「あの時はこんなに近くにいたのになんにも出来なかったから、グスッ」


「泣くなよ、あれは俺が悪かったんだ、1人の中学生のガキが背負うもんじゃなかったんだ」




俺の中の黒い何かがザワついた


特に無し!!

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