5:魔界は厳しいところですよ?
500PVありがとうございますm(*_ _)m
ようやくプロローグ(?)終わりそうです…
ここからが物語の始まり!! どうかよろしくお願いします!!
方角も分からないが歩く、歩く、歩く
果たしてハズレ能力だけで魔界は生きていけるのか
劣等召喚を使い休憩してからどれ位歩いたのだろうか。キョウはもう何時間も歩いていた。
すると何やら霧に隠れて大きな影が見えてきた。
「……あ」
影は微動だにしない。キョウは大きい影だったから建物でもあるのかと思い早歩きになる。歩いて近づいて行くとかなり影は大きくなった。
――家……なのか?
目の前で見るとその家は窓が無いがドアはあった。しかしドアからも中は見えない。人間界の家と形はとても似ているが窓が無いというのは異様だった。
しかし魔界に来て一番最初に見つけた建物。住人が中にいるかもしれない。何故魔界に建物があるのか、など考えもせずに行動にキョウは出た。
恐る恐るドアをノックした。
「すみませーん」
―……
返事は無い。中にいないのか、反応していないのか。
しかしキョウはよく考えるとある事に気づいた。
――魔界の家ってことは住人は…魔物
やばい、また襲われると思いキョウは建物から離れようとした時、ミシッという音が聞こえた。キョウが出した音では無く建物の中から聞こえたものだ。
思わずキョウは焦りを感じ小声で「やべ」と言った。
しかしその焦りとは余所に中からしわがれた声で
「&¥%……」
と聞こえてきた。
――は?
訳が分からない、全く聞き取れない言葉にキョウは体が反応して体が、足が止まってしまった。その間にミシッと言う音と共に足音らしきものがどんどんとドアに近づいてきた。
――どうしよう……
少しの間、キョウは思考する
――一か八か……行こう
キョウは中の住人と会う決心をした。
ギィィ、とゆっくりドアが開く音がする。隙間から見えた中は暗く部屋があるのかも見えなかった。
「¥$〒しょう☆#……」
中から出てきたのはキョウより少し小さいゴブリンだ。最初に出会ったゴブリンとの違うところと言えば杖を左手にもっている事と明らかに歳をとっている、そして何よりもキョウに敵意が無いということだ。
「あの……すみません……」
「はい€%*しょうか……?」
だんだんと耳が慣れてきたのか分からないが少しずつ言葉が分かるようになってきたキョウ。恐らく今のは「はいなんでしょうか?」だろう。
「なんでここに建物が立ってる……んですか?」
直球な質問。素直に疑問をぶつけてみる。老ゴブリンは顔を変え
「なんでと言われ*も……」
――やっぱり質問が悪かったか……
「ここは街はずれで静かな所だからなぁ……」
「ま、街はずれ!?」
老ゴブリンとの会話で驚きの単語が出てきた。街はずれ、という事は街にはたくさんの魔物がそこに密集しているということだ。
――マジかよ……
魔物の街という言葉に安心して休息できるかもという思いと魔物にまた襲われたらという不安に駆られたキョウ。
話を聞き具体的な方角も聞いたので別れを告げその場を去ろうとするキョウ。
「お兄さん、冒険者かい?」
そこに老ゴブリンはキョウに聞いてきた。キョウは本当のことは言っていいか分からないから困りつつ
「えぇ、まあ。さっきゴブリンに襲われたんですけどね」
と苦笑しながら答えた。すると老ゴブリンは
「そこら辺のゴブリンは私たちの様な普通の魔物では無いですからね……気をつけてくださいよぉ」
とのんびりとした口調で答えた。
――魔物に種類があるのか……?
普通の魔物と言うことはそこら辺のゴブリンは異常な魔物なのだろうと思考するキョウ。思い切って次の疑問をぶつけてみる。
「あ、あの!ゴブリンには種類があるんですか!?」
老ゴブリンは不思議そうに首をかしげ
「何言ってるんですか、そうに決まってるでしょう?」
キョウは街に向かって歩いている。キョウは老ゴブリンの話を思い返した。
************
話によると魔物は2種類いて1つは先祖から魔界で暮らし、人間のように家系がある魔物たち。もう1つは7年前から突然王になり魔界全体に圧政を敷いている魔王アルスが出したものらしい。
魔王アルスは複数個の能力を持ちその中に『 眷属よ来たれ 』という召喚系のものがあり、それにより様々な種族の魔物を出しているらしい。
しかしそんな魔物達には弱点があるとも老ゴブリンは言っていた。
「そいつらは知性を持たない…… 故にわしらの様に普通の魔物でも襲われる事がある。まあ眷属同士では襲う事など無いだろうがねぇ」
街に住んでいる魔物達は全員知性を持っているらしい。どうやら知性を持っていないものはほぼ魔王の眷属と言っていいようだ。
それを聞いて安心したキョウは一刻も早く街へ行きたいと思って老ゴブリンの家を飛び出したのだ。
************
キョウは鼻歌混じりに小走りで最初の街まで急いでいる。魔界の初めての街の名前は『エステル』と言うらしくある程度賑わっていて住人も多いらしい。
「初めてはどんなとこかな〜」
まるで子供が初めて外に出かけるかのように気分が高まっているキョウ。老ゴブリンの家から今まで何事も無く来ている。
道に落ちていた小石を蹴ってみる。すると小石が飛んでった先に影が見えた。
「もしかして……街か?」
老ゴブリン宅よりも余程大きな影が見える。霧に隠れていてよく形が分かりにくいが影の縦の大きさがとても大きく横の大きさは端が見えない位まで続いている。
早く街を見たいと思いキョウは走り始める。どんどん影は大きくなり街は姿を現し始めた。とても大きな城壁に城門が見えた。
「エステルだぁ!」
遂に街の全貌が見えたキョウは思わず歓喜の声を出す。城門のそばに脇門が見えた。急いで脇門に行くキョウ。そこには防具を装備し槍を持ったゴブリンが2人いた。そのゴブリンの1人がキョウが近づいてくると
「よう、兄ちゃん なんだ?旅してんのか?」
と問いかけてきた。老ゴブリンの時と同様に転生とかそんな事は言えないので
「そうなんです。 旅しようと思ってこの街を最初に寄ろうと思ったんで」
と嘘をついた。するとゴブリンは「そうか、兄ちゃんはえらいなぁ」と褒め言葉を言って通してくれた。
案外普通に入れたのでキョウは「あの通行料とかは」と聞いたがゴブリンたちはキョウを通すとすぐに別の場所に行ってしまったのでありがたく中に入ることにした。
――エステル…… どんな所だろ
期待、興奮、不安を胸に抱え街の中に入ると見えてきたのは大地や空の色とは違う派手な紫、エロを連想させるようなピンクや青など街が妖艶に輝いていた。
次からエステル編スタート!!