4:やっぱり転生は甘くないですよ?
400PVありがとうございます!!
まだまだ続けて行きたいのでよろしくお願いしますm(*_ _)m
次は500PVまでいきたい……
進むことを決意したキョウ
そこに留まっているだけのゴブリン
魔物になったキョウ
魔物だったゴブリン
キョウは紫と黒で構成された見知らぬ土地を進む。見知らぬとは言っても恐らくここが何処なのかは分かっている。
――自分が魔物として人間から転生したのならばここは魔物が生まれてくる魔界なのだろう。
肌色、ミミズの様な血管、この特徴はキョウの知っている中で1つしか思い浮かばない。屍人だ。屍人になってしまったのだろなとキョウは浮かない表情で考える。
そんな事を考えつつキョウは先に進む。劣等召喚で生み出したゴブリンが後ろをトボトボと着いてくる。どうやら本当に敵意は無くキョウからの指示を待っているかの様に、幼い子供の如く後を一緒に歩いてくるだけだ。
「こう見ると案外可愛い……かも」
幼い子供を連想して後ろのゴブリンを見ると魔物のイカつい顔が見える。背丈は自分より小さいのにどうしても顔と肌の色のせいで純粋に可愛いとは思えない。
しかし召喚ではなく劣等召喚とは何か違いでもあるのかとキョウは考える。
「劣等か……」
よく意味が分からないがとりあえず口に出してみる。
―aaa……
キョウの言葉に反応してかゴブリンも声を出す。
――やっぱり可愛い……かも
こんな事をキョウは思いながら周りにほぼ何も無い所を進んでいく。周りを見渡すと紫の地面、枯れてやせ細った木々、立ち込める霧、それ以外には見えない。
不思議な事に魔界なのに魔物の姿は見えなかった。
「魔物ってこんなにいないものなのか……」
************
数十分は歩いた。方向も分からぬまま、それでも足は止めずに歩き続けた。
「つ、つかれた……」
流石に歩き疲れ一旦休憩する。ゴブリンとの戦闘の後、受け取った能力を使いゴブリンを召喚しそのまま適当な方向に歩き続けたから体力をかなり消費したようだ。
――あれ?
立ち止まって休憩した事である事に気づいた。
「ゴブリンがいなくなってる?」
さっきまでキョウの後ろをあれほど着いてきていたのにいつの間にかいなくなっていた。
どうしたのか、と疑問に思うキョウ。
「劣等召喚使えばもう1回出てくるかな〜」
広大な土地を1人で歩くのは寂しいのでキョウは最初にゴブリンを出した時と同じように能力を使う。
「劣等召喚!!」
再び魔法陣と光が現れその中からゴブリンが出てきた。
「これでよし、っと」
ゴブリンを召喚し休憩もある程度終わったところで再びキョウは歩き出す。
「これ、どこ行けば良いんだろ… なあ、ゴブリン?」
歩いてる途中に暇なので召喚したゴブリンに話しかけてみる。
―……
反応がない。ただのしかばねのようだ。キョウは見知らぬ土地を歩くのが怖いのもあるし単に話相手が欲しいからめげずに話しかけてみる。
「ゴブリンくん〜?返事してよ…」
―……
やっぱり無視される。声に反応したというのは想像だったのか、と少しガッカリするキョウ。
――どうしたもんかな……
キョウはゴブリンも話し相手になってくれないので本当に暇になってしまった。
だがその少し後、事件は起きた。
ゴブリンを召喚してから2、3分経った頃だろうか。キョウに聞こえるか聞こえないか位の声が聞こえてきた。
―aa……
ゴブリンの声だ。一番近くのゴブリン、隣にいるゴブリンの声かとキョウはなんとなく視線を向ける。
「えっ…… ゴブリン、くん?」
ゴブリンの足は砂状になっている。いや、足が砂になってきている
「お、おい! どうしたんだよ!?」
慌てるキョウ。ゴブリンに声をかけるも足が砂になる変化は止まらない。
「ゴブリン!? なあ、どうしたんだって!!」
必死にゴブリンに声をかけ続けるが砂への変化は止まらず遂に足だけでなく体と腕も砂となり少しづつ地面に落ち、頭だけがかろうじて砂の体の上に乗っている状態だ。
「なんでなんだよ…」
最初に出したゴブリンも次のゴブリンも消えてしまった、がキョウはある事に気づいた。
それを確認するためにもう1回だけゴブリンを呼び寄せてみる。
「来いゴブリン……劣等召喚!!」
三度ゴブリンが現れた。どのゴブリンもやはりキョウに敵意は無く暇そうに、指示を待っているようだ。
「間違ってなければ…… ちょっとだけ休憩だな、休憩してる最中に劣等召喚の謎が分かるはずだ」
立っているゴブリンに近づき、よいしょと腰を下ろした。ゴブリンは、なんだコイツは?と言わんばかりの顔をしてキョウを見つめた。
キョウの考えは当たった。
2、3分した後にさっきのゴブリンと同じように足から砂になり始めた。
―aa……
唸り声とも取れないような声を出しながらゴブリンはだんだんと砂になっていく。その目は少し悲しそうだとキョウは思った。
「やっぱり…… そうなのか……」
劣等召喚の劣等の意味が分かってしまい少しガッカリするキョウ。
「劣等ってのは…… 普通の魔物召喚に比べて劣ってるって事…… 俺の劣等召喚は時間制限付きなのか」
つまり劣等召喚は単純に召喚の劣化版。一度召喚すればその魔物、生物が死ぬまで術者の指示を聞くのに対してキョウの劣等召喚はキョウの指示は聞くが2、3分経つと勝手に消えてしまう能力らしい。
「はあ……ちゃんとした能力じゃなくてハズレかよ……」
召喚は自分が強くなればその分だけ強い魔物が召喚出来る強力な能力。だがキョウの劣等召喚はどんなに強くなってもたったの2、3分で終わり魔物は消えてしまう。
「本当に使えんのかな…… これ……」
苦虫を噛み潰したような表情で悩むキョウ。
しかしこんな所で立ち止っているわけにはいかない。魔界という事はほぼ確定だが魔界がどんな所かは分からない。
「とりあえず…先いくか」
キョウはしょうがない、といった感じで歩きを再開する。
劣等召喚の真実、しかしまだ劣等召喚には秘密がありそうだ…。劣等召喚を与えた女とは一体…?