3: 本気の戦いは辛いですよ?
200PVありがとうございますm(*_ _)m
初心者ですがこれからも精進していくのでよろしくお願いします!!
異様に浮き上がった血管、黒い斑点が入った両腕、本人は気付かない赤い瞳
これらの意味するものが分かりそうで、浮かんできそうでまだあと少し届かない。
ゴブリンを地面に叩きつけたからだろうか、血を急いで全身を巡らせるために血管がミミズの様にうねってあまり見たくは無い光景だ。
「気持ち悪いな、 これ…」
その気持ち悪さは腕の斑点とも相まって余計に嫌悪感を覚える。しかしキョウはこの腕に感謝しなくてはならない。この腕にゴブリンを投げ飛ばせる程の力があるとは思ってもいなかった。
「いきなりこんなに強くなるとはね…なんでだ?」
ゴブリンを倒してからの1番の疑問点。この腕と突然強くなった原因は必ず関係しているはずだから周りの状況より気になってしまう。
―uuUauuuu…
ハッとキョウは音の方向に顔を向けた。完全に殺したと思ったはずのゴブリンが唸り声をあげゆっくりと起き上がってきた。
「まだやれるのかよ…」
ようやく状況整理が出来そうだったところに邪魔が入った。今度こそ終わりにする、そう決めるキョウ
―oooaaaoaaa!!!!!!!!
さっきと同じようにゴブリンはキョウに向かって突進してくる。
「ああぁあああぁあッ!!!!!!」
キョウも声をあげゴブリンを返り討ちにするために全力で走り出す。
その時だ。キョウは前を、ゴブリンを見て走っていたのにいつの間にか体は下に向かっている。
運悪くも走り出した直後にコケたのだ。
――こんな時にかよ!?
手で支えることも忘れ思い切り体を打ち付けたキョウに好機と言わんばかりにゴブリンが襲いかかる。
―バンッッ!!!!!!
背中に思い切りゴブリンの腕が叩きつけられた。
ギィィ、と骨が軋むような聞こえた気がした。衝撃で地面に這う形となってしまった。
「ウッ……」
キョウの苦しそうな声が聞こえゴブリンは慢心した。勝ち誇った顔でキョウを見下ろしていた。しかしそれが間違いだった。
キョウは地面に這いつくばりながらゴブリンが慢心している隙を突いて一瞬で立ち上がり殴りつけた。
―……!?
ゴブリンは何が何だか分からないという様子だ。それをチャンスと言わんばかりにキョウは再びゴブリンを地面に倒し殴り、殴り、殴りまくった
「おらぁ!! あああぁ!! ああぁあ!?」
さっきまでの痛みを全てお返しするかのように殴りまくった。ゴブリンは最初は声をあげていたがだんだんと声が弱まりそのうち何も言わなくなった。
「……」
キョウ1人になり周囲は静寂に包まれた。そして今度こそキョウは初の勝利の喜びを噛み締めた。
「やったんだ… はは…」
誰にも聞こえない様な声で喜ぶキョウ。その刹那、少女とも大人とも取れない声が聞こえてきた。
―これ、劣等召喚…あげる―
キョウは幻聴かと思った。しかし頭の中にまた同じ声が響いてきた。
―これと 身体能力上昇 大事に、使ってね…―
声はそれで終わった。キョウがもう一度聞きたいと思っても、もう聞こえなくなっていた。
「なんだ、今の」
当然の疑問。なんの前触れも無く何かを受け取った。しかしキョウには劣等召喚の言葉だけハッキリと聞こえた。何故そこだけハッキリと聞き取れたかは分からないが口に出してみる。
「劣等召喚」
目の前に小さな魔法陣が出てきた。光が眩しい。
「うわっ!?」
魔法陣の光が消えていき目の前が見えるようになった。魔法陣があった場所にいたのは、いなくなったはずのゴブリンがそこにいた。今さっき、たった今キョウが今全力を尽くし倒したはずのゴブリンが再びそこに立っていた。
「は…はあ?」
疲弊しきったキョウには訳が分からない。しかし目の前に現れたのはゴブリン。ぼろぼろの体で構えゴブリンの行動を一挙一動見逃さないようにした。しかしゴブリンには全く動く様子がない。立ったまま幼き子のように腕をぶらつかせて暇そうにしている。
「襲って…こないのか?」
全く意味が分からない。あれほど獰猛なゴブリンが敵を目の前にしてこんな事があるのだろうか?少なくともキョウの知識の範疇は超えていた。
劣等召喚、この言葉でゴブリンは現れた。そしてこの言葉が意味する事がキョウには分かった。
「能力だ。能力だよ、間違いない」
さっきの女の声はキョウを進化させた。キョウに能力を与えたのだ。
―劣等召喚― これがどんな能力でもキョウにはどうでもよかった。キョウは能力持ちになれたことに今までとは比にならない程の喜びを感じた。
「やった!! 能力だ!! しゃあ!!」
喜びが爆発し思わず声を大きくし騒ぎ始めた。
あれほど夢見た能力を手に入れたのだ。しかしキョウは違和感を覚えた。何故だろうか何か気づいていない事がある気がした。
キョウに語りかけた声、それはこう言っていた。
身体能力上昇 と 劣等召喚
「身体能力上昇…?」
身体能力上昇はどんな雑魚魔物でも持っている能力だ。それを大切にしろと言っていた。
「俺が? 身体能力上昇…?」
人間であるはずのキョウが身体能力上昇を使うというのはどういうことなのかキョウは思考した。
血が波打った。血管が気持ち悪く蠢いた。腕に赤黒が浮かび上がった。
「そういえば…腕」
このよく分からない場所に来てからずっと思っていた、気持ち悪い腕の変化。そして何故か受け取った身体能力上昇。
「俺、魔物になった…のか」
意味が分からないがそうとしか捉えられない事実。身体能力上昇は魔物のみ使える能力。
キョウは受け止めきれない。
目の前のゴブリンはまだじっとしたまま暇そうだ。キョウはコイツと俺は同じ種族なのかと考える。
キョウは与えられた能力に戸惑いを隠せない。
が、この見知らぬ土地でこうして止まっている訳にもいかない。
戸惑い、不安を抱えつつキョウは次に進もうと決意する。