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人間→魔物モブに転生したんですけど弱いですよ?  作者: 駄目猫
3章 宝石『イブンティア』
23/28

23:マイペースで自由ですよ?

Twitter復帰しました!! 大したこと言いませんがフォロー良かったらどうぞ

@Da-meneko

 新たな決意は固く

 2つの劣等が交差する


 商人との約束は次の16時に会い何かしらの証拠を持ってこいとの事だった。

 時計を見る。この時計を貰ってからずっとこれに頼っている気がする。やはり人というのはどうなっても時間が大切だ。もう8時を回ろうとしていた。残り時間は少ない。

 キョウは支度を終えて家の前に立っていた。家の壁に立てかけておいた槍も持ち準備は万端だ。

 遅いな、と思った時に扉は開いた。


「じゃあ、行ってきます」


 いつ聞いても綺麗な声だ。とても何かに悩んでいるとは思えない綺麗な声。キョウの頭に心地よく入ってくる。セレネと一緒にアリアとエミルが出てきた。


「セレネ、気をつけてね……」


 心配そうなアリアの声。娘がまた遠くに行く、しかも危険と分かってる。不安じゃないわけがない。


「気をつけるんだよセレネ……。キョウさん、どうかよろしくお願いします」


 娘を任せるエミル。その表情も固かったがセレネが微笑むとエミルも少しだけ笑った。


「キョウさん……これからよろしく!!」


 親達とは対照的に明るい声と顔のセレネ。不安が残るけれどもこの顔だけは曇らせたくない。


「じゃあ、行ってきますね」


「キョウさん、娘をよろしくお願いします」


「……。はい、分かってます」


 挨拶を済ませイブンティアの外に赴く。セレネが元気そうな声で「いってきまーす」と言うのが後ろから聞こえてきた。

 アリアとエミルはどんな気持ちで同行を許したのだろうか。どんな気持ちで見送ったのであろうか。セレネが知らない苦労が、心配が、不安がたくさんある中で何故自分に任せてくれたのだろうか。その答えは分からない。だが任せられたのなら期待に応えなくてはいけない。


「キョウさん、あれやりましょう!」


「なに?あれって」


「えいえいおー、ですよ!頑張るんだからやらないと!」


 こんな時にもマイペースなセレネ。これはこれで助かる時もある。


「よしっ、いいぜ。やろっか!!」


「エイエイオー!!」「えいえいおー!」


 自分のキャラに似合わない位大きな声ではしゃいでしまった。周りを見渡してみる。


 ――う……やば


 やはりこっちを変な目で見ている人が沢山いた。少し体格のいい男と美少女が一緒に大声ではしゃいでいる。兄弟とかならまだしもそんな風にはまず見えないから傍から見れば大変な状況だ。


「セレネ……早くいこっか?」


 キョウはその場を小走りでセレネを連れて外に向かった。


 ************


 ムク山はすぐ近い。イブンティアの外からでもうっすらと影が見える。この分なら余裕を持って帰って来れそうだ。


「……」


 ムク山に歩きだしつつ昨日の内容を思い出す。1箇所だけ掘り抜いてありそこに大きな空洞がある。そこが採掘場でその中に魔物が住み着いたというのは聞いた。


「どうしたの、キョウさん?難しい顔して」


「ん?あぁ、目的地がどんな場所か思い出してただけ。対策とかあればなぁ、って」


 ――対策っていうか……ホントに何も無くない?


 今更気づいたが()()が討伐に出かける格好なのだろうか?考えればキョウ自身はずっと同じ服でセレネもベージュのワンピースを着ていた。

 武器は持っていても防具が全く無い。大丈夫だろうか……と不安がまた増えたキョウ。


「ふぅん。そんな事より早く行こー!」


 ――ピクニックにでも来てんのかよ……


 相変わらずマイペースで自由なセレネ。心配はどうやら尽きなそうだ。

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