表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人間→魔物モブに転生したんですけど弱いですよ?  作者: 駄目猫
第1章 転生したらモブでした
2/28

2: 雑魚は雑魚でも

2回目の投稿です!!(当たり前)

初めての作品が思っていたより多くの方に読んでもらえてとても嬉しいです!!

まだまだ続くので是非この次も読んで貰いたいです


11/13 修正しました

 思考する。

 召喚術、魔法陣、生贄、命の代償

 空と大地、一面の紫黒紫黒紫黒紫黒………


 キョウは気付かない、黒い影が近づいている事に

 キョウは気付けない、暗い思考が頭から離れないから


 影はゆっくりと近づいてくる。キョウと影の距離はもうそこまで来ている。


 ―ザッザッサッザッサッ


 キョウの耳に音が聞こえた。抜き足でわざと音を出しているのかというような足取りでこちらに()()来ている。呆然と座り込んでいなければ、まだ本人は気づいていないピンチにもっと早く対処出来ただろう。


 ――なんか… 来る…


 そう思うと同時に顔を音の方向に向けた。視界は完全に戻り一面を紫と黒に染めている。そしてその中に大地と空の色とは違う()が見えた。


「影…」


 思考がまとまらない中出てきた単純な言葉だ。そしてその影に向かってキョウは叫んだ。


「魔法陣どうなった!? 周りは!? なあ!?」


 ―aaAaeaaaeAae……!!!!


 おぞましい声が目の前で響いた。

 目の前の()()()()()()()()の影が人ではないなんて。


「…は」


 気の抜けた声が出てきた。完全に思考は止まっていた。意味不明の事態が連続して起きるときっと人間誰しもが混乱しこんな風になってしまうのだろう。


「……あ」


 思考がまとまらない中再び気の抜けた声を出す。


 ―aAaeaaeeAaa……!!


 2度目のおぞましい声。人間界でなら知らないものがいない()()、ゴブリンの声。そこに何故か立っていた。ゴブリンは皆が〝モブ〟〝雑魚〟と呼ぶ。でもキョウは知っている。その呼び方は能力者達 ―力を持つ者()()が使う呼び方でありキョウの様な能力無しには普通使えない言葉であった。


 そんなゴブリンがすぐそこに来ている。絶望した。終わった。無理だ。キョウはそんな風に思った。

 もうちょっとでゴブリンは自分を襲ってくる。一目瞭然だ。ゴブリンは馬鹿で何処か間抜けだがとても獰猛だと習う。


「…なんだよ……」


 キョウは能力(アート)持ちの友達を見てきた。しかしその友達も魔界の侵攻を食い止める役目を果たせず消えていった。別に特段親しい仲の友達なんて1人もいなかった。でも友達がいなくなると悲しい気持ちになった。


「…なんなんだよ……お前」


 キョウは思い出した。


 かなり前にゴブリンリーダーに襲われた時だ。ゴブリンリーダーはゴブリンにない知性を持ち力、獰猛さが格段増している魔物だ。キョウはそんな魔物に運悪く襲われてしまい逃げ惑っていた。ゴブリンリーダーは知性を持っているため指揮能力がある。複数のゴブリンを引き連れキョウを襲ったのだ。


 ――見逃してくれ… 助けてくれよ!


 必死に逃げ惑うキョウは遂に体力の限界を迎えた。その時もやはり同じ事を思った。絶望、理不尽を感じた。しかしキョウは()()()()()。能力の友達が通りかかってくれたのだ。彼は能力でゴブリンリーダー、ゴブリンを蹴散らしキョウを救ってくれた。


 そんな事を走馬灯の様に思い出すキョウ。ゴブリンは目と鼻の先だ。


 ―gaAaaeaAa!!!!!!


 ゴブリンが腕を振り上げるところが見えた。キョウへの殺意を持っての行動に間違いない。


 キョウは今見た走馬灯を思い起こした。彼は能力無しのキョウを能力で救ってくれた。でも彼も能力無しだったら自分を救ってくれただろうか?見捨てたのではないだろうか? 否、見捨てたに違いない。何故なら人間と()()との間には明らかな戦闘能力の差があるからだ。


 ――能力無しは弱すぎる…


 キョウは思った。弱いながらに、能力無しながらに対抗する手段は無いかと。きっと無いわけはないだろう。しかしこの周りに何もない状況ではどうしようもない。


 ――なんだよ… ふざけんなよ…


 何も出来ずにゴブリンに殺される、弱いから殺される、そんなことに対して怒りが湧いてきた。


「うるせぇんだよおおぉおお!!!!!!!!!!」


 怒りは爆発しキョウを行動へと移した。キョウを殺す為の腕を払い除け自分の足で立ち上がった。


 ―!?


 ゴブリンは明らかに驚いている。しかしそれ以上に驚く自分がいた。ゴブリン相手に腕力で普通の人間が勝るなど有り得ないのだから。しかしキョウにはそんな事を考える時間など無い。ゴブリンはきっと次の行動に出るだろう。


 その前に。次の行動へと出たのはキョウだ。ゴブリンに向かって体当たりをする。体の大きさは普通よりは大きいキョウ。自分の胸くらいのゴブリンは()()()()()()()()


 ――力が… 力が湧いてくる…!!


 よく分からないが今なら、この力が出せる今なら()()くらい倒せそうだ。転がったゴブリンは起き上がり怒りの表情で睨んでいる。


 ―ooaaAaoaa!!!!!!!!!!!!


 怒りのままに雄叫びを上げながらこちらに突っ込んでくる。


 ――避けるか!? 迎え撃てそうだが…


 反対にだんだんと冷静になり考えるキョウ。


 しかし考える時間が長すぎたか避ける隙をキョウに与えずゴブリンの突進を食らってしまった。


 ――バァンッッ!!!!!!!!


 体と体の音が鳴った。


「…ッ!! 痛え!!」


 ゴブリンの全速力の突進をちゃんと構えず受けたのだから当然とも言える痛みだろう。


 そんな事をいいながらキョウはしっかりとゴブリンの衣服と思われる物を掴んでいた。

 ―掴んだ― そう思う間もなくキョウの体は勝手にゴブリンを地面に叩きつけていた。突進の後、無防備だったゴブリンはキョウによって思い切り全身を地面に打ち付けた。


 ――ドゴオオォ………


 体かぶつかった音と同じくらいの音が今度は響いた。





 ************





 ゴブリンは起き上がらない。


「ハア…ハア…ァ……」


 キョウは確信した。自分は強くなった。能力かは分からない。それでも()()相手に勝てたのだから強くなったに決まっている。その確信に静かに喜んだ。

 しかし気がかりというより大きな不安も出てきた。

 その強さはこの腕が、皮膚が関係するのだろうか?

 この浮き上がった血管、肌色ではなく黒い斑点混じりの気持ち悪い肌色は何なのだろうか?





 ************





 ―彼はもうすぐ気づく。転生した彼は人間ではなくなってしまっていると。そして彼は自分の発現した能力にもきっと気づく。それが如何(いか)にしてこの世界で通用するのかは、これから分かるのだろう。









気付く事実に新たな能力

ここからキョウの無双が出来れば……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ