19:解決は遠いですよ?
呪いを解くカギは何処に
新たな目的と発見の時
――どうしてこうなったんだ……
目の前に並ぶはご馳走のはずのもの。しかしキョウにとっては別のものとなる。
見覚えがある肉が目の前にあった。その黒い塊の味をキョウは知っている。変に酸味がきいていてパサパサでとても美味しいとは言えないものだ。
「今日は豪華な料理にしました〜!お肉は!!なんと!!」
――なんと!?
なんとの先が早く聞きたい。ここで「屍人のお肉ですっ!」とか言われたらもうこの世界でやっていける気がしない。
「豚鬼のお肉ですっ!」
それを聞きエミルとセレネは「わぁ……」と感慨深そうに。キョウは「ぅ……」と安堵し、ため息をついた。
正直、屍人が主食とかならいつかは慣れなきゃ行けないと思ってた。流石に元が人型のものは抵抗があるが。それもしょうがないと思っていたがオークならまだ助かったと、キョウ。オークなら豚肉だと思えば。味を無視すればどうにかなりそうだ。
安堵を嫌悪と捉えたのかアリアがキョウに問いかけてきた。
「あら、もしかしてキョウさんはオークの肉がお嫌いですか?」
――いや、もう嫌いって言うかなんていうか……
料理を出してもらっている手前に失礼なことは……言えない。たとえそれが酸味が効きすぎてて口がもう受け付けないとしてもそんな事は口が裂けても言えない。
「い、いやあの。なんていうんですかね!!オーク肉を見ると気持ちが昂っちゃうっていうか……はは……」
************
「ごちそうさまでした!!」
セレネの声が響く。こんなに元気のいい声を聞いたのは初めてだ。まあ少ししか一緒に居なかったし新しい事はたくさんあるだろうと思うキョウ。
夕食の後に例の事話し合おうという約束をキョウとアリアで話していた。
「セレネ。ちょっと大事なお話がキョウさんとあるから自分の部屋に行っててちょうだい?その間にお父さんとエステルで何かあったかお話してあげて?」
アリアが満足そうなセレネに伝える。「はーい」とセレネが気の抜けた返事で返し、部屋に向かってたいった。
セレネが部屋を出て行ったのを見るとアリアが話し始めた。
「あの子の能力のことですよね?あれは私の前の夫のものだと言うのはお聞きになりましたか?」
「はい……そこら辺までは」
「そうですか。前の夫はフェリと言うんですが……。その、フェリの能力をあの子が受け継いだと分かった時は凄くびっくりしました」
――まあそりゃ驚くわ
生まれながらにして能力を持つ、というのは時々いるらしいが親から遺伝するというのは初めて聞いた。遺伝などキョウには関係の無い話だが。
「セレネが生まれたあと、夫はすぐに死んでしまったんです……重い病気だったので。それでセレネの能力について分かった時には夫はいなくて……どうしようも無かったんです」
「じゃあ、対処法とかも分からないんですか……?」
どうやら思っていた以上に深刻な事態になった。対処法も分からなければ力を貸したくてもどうしようもない。
「いえ、対処法なら分かっているんです。ですが私たちではどうする事も出来ないもので……」
「え?あ、あるんですか?」
意外にも対処法はあるらしいがどうしようも無いとはどういうことだろうと頭を捻る。
「セレネの能力の対処法は……この街全体に関わることなんです……」
――街全体?
街全体に関わるイブンティアの秘密とは?




