15:短いようで長いですよ?
ユニーク800ありがとうございます!!
身体に纏わり付く呪い
狂気を穿つ勇気と機会
「んじゃ、行ってくるぜ」
「ありがとうございました」
目の前にある金と銀をまじまじと見つめ少し嬉しそうに、寂しそうにもしていた。
「うん、2人とも色々頑張ってね……元気でいて……ね?」
言葉を短く済ませる。もう旅立とうとしている2人をいつまでも留める訳にはいかない。
「おう。プリンも元気でな」
「はい、プリンさんも!!」
キョウとセレネが目指す先はイブンティア。キョウは転生してから2度目の街、旅の目的地として。セレネは故郷として、戻るべき場所として。
「それじゃセレネ、行こう」
キョウを見つめるセレネ。その黒い瞳の奥には昨日とは違う決意のような何かがあった。
「はい……キョウさん、これからよろしくお願いします」
「よろしくな、セレネ」
プリンの家から遠ざかる2人。その背中は小さな少女と体躯の良くなった少年のもの。だがそれらがプリンにはとても大きく見えた。
―いってらっしゃい
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「ふぅ……気合い入れていこうか?」
正直さっきまで一番気にしていた不安が1つ消えたのは大きい。セレネを追いかけていた魔人達と合わなくて本当に助かった。街の中でめんどくさい事にもなりたくなかったしセレネがどこかへ行こうとするのを黙って見ている様な連中ではないだろう。早くエステルを出れたのはラッキーだった。
「イブンティア……ですよね?」
「そうだな。イブンティア、近いんだろ?すぐ着くといいな」
プリンとセレネの話だとここから1時間位の所にあるらしい。
「近い事は近いですけど……」
セレネは顔を曇らせる。
「どうしたんだ?」
「いえ、道中がちょっと心配で……」
――確かにな
要はエステルに来るまでの道にもあった事だが魔物との遭遇。これをセレネは心配しているのだろう。
キョウが多少強くなったとはいえ自分1人ならまだしも今は少女が一緒にいる。敵が複数で来た時に守りきれるか心配だ。
「こんな事聞くの、ちょっとあれだけどさ……セレネって死霊術無しでどれくらい戦える、っていうかどうやって戦うっていうか……」
「私はですね……えと、身体能力上昇を使えばゴブリン程度ならなんとか……」
最初にキョウが苦戦したゴブリン。少女はその位なら1人で対処出来るという。やはり魔人として産まれているため元も強いのか、と感心する。
「あ、そうなんだ。了解。出来るだけ頑張るけどもしかしたらセレネにも戦って貰うかも……なんて」
「はい!!出来るだけキョウさんの足を引っ張らないように頑張ります!!」
「しゃ、じゃあ行こうか!」
「はい!!」
気合いは入れたからイブンティアへ向けて歩き出そう。でもって、道中でもっと色々話せたらいいな、と思うキョウ。
セレネもキョウと一緒に微笑んで前へ進み出す。




