12:秘密は誰でも持っていますよ?
ついに1000PV!!
ホントにありがとうございますm(*_ _)m
これからも頑張っていきます!!
魔女、元人間、魔人の団欒
少女の身に宿る呪い
――マジかよ……これ
キョウの前にはご馳走がある。魔界ではの豪華な料理らしい。飾り付けというより見た目に凝っているから昼間よりは食べられそうだが色に覚えがあった。少し黒い肉だ。
「こ、これってさ……」
「どうしたの……?キョウの為のご馳走だよ……?」
「ん……なんでもない」
プリンが聞いてくる。何の肉なのか、と聞いてみようとしたがそんなものを聞いたらホントに食べられなくなりそうだ。
キョウは考えた。は人間界の肉というのは家畜と分かっている。しかしここ、魔界はどうなのか?「オークの肉は金になる」とか言っていた。オークの肉位なら食べれるかもしれないがキョウと種族の同じ屍人の肉、とか言われてたら食べられる気がしない。
「こっからの食事、どうしよっかな……」
その言葉にプリンとセレネは首を傾げた。
「え?普通にご飯食べられないの?」
――違う、そうじゃない
「キョウさんは偏食なんです?」
――ん……
この2人なら打ち明けてもいいかもしれない。自分の秘密を。ここに来てから少し自分の考えが変わりつつあった。魔物は一緒くたに悪いものと決めつけていた。だが魔物と魔人の違いなどがあった。そしてこんなにも優しい魔女と弱々しい魔人が、女の子がいた。
「ちょっと話したいことがあるんだけど……」
2人は再び首を傾げた。キョウの感覚での明日には出発しなきゃいけない。だが今日の夜は、明けない夜は、眠れない夜はとても長くなりそうだ。
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「……そうなんだ」
「……」
感慨深そうにため息をつくプリン。セレネは何も言わずにこちらの顔を見つめている。
「いや、変な話してごめん」
雰囲気が悪くなったと思い謝った。
「いやいな、なんていうかさ…… 大変だね」
プリンが慰めてくれた。ホントに優しい魔女だ。
「なんかしらみんな秘密を抱えてるもんだねえ……
面白い子だなぁとは思ってたよ?男の子で私の元に来る人なんて初めてだし……確かにいきなりヒトから屍人の見た目になったらね……」
セレネも同情してくれた。
「キョウさん、凄く大変な思いをしたんですね……なのにキョウさんは頑張ってて……」
魔物に人間である、人間であった事を明かす。敵対しているのだから殺されてもおかしくないとは思った。
辛かった。いきなり何もなしに戦わされるし、その癖能力は弱いし。転生したのに劣等とは何事なのか。
でも打ち明けた事で何か少しだけ肩の荷が降りたような感覚になった。
「実は私も……話したいことがあるんです。いいでしょうか?」
セレネが切り出す。キョウにも秘密があったがどうやらセレネも何か抱えているらしい。
「私、名前をセレネ=ハロウっていって種族は屍人です。この前まで“イブンティア”にいたんですけどキョウさんに言った通り、連れてこられて……」
セレネは詰まりながらも続けていく。
「それでですね、実は私にも秘密があるんです。それは私の能力、死霊術なんですけど……」
――おお、凄いの持ってんな……
銀髪で顔も整っていて人間界でも美しいと言われそうな女の子に死霊など全くもって似合わない話だ、そう思うキョウ。
「その死霊術がですね、父から受け継いだものなんですが私の能力は強すぎて周りに迷惑をかけてしまうんです。私、能力の制御の仕方も分かんなくって……」
「だったらお父さんに聞いてみたら?同じ様に昔はなってたかもしれないよ?」
とプリン。キョウもそう思った。
「お母さんは……ダメなんです。死んじゃいました。」
――え?
話と違う。最初に聞いた時は父親の手伝いをしていたと言っていたではないか。
「セレネ、最初に会った時はお父さんの手伝いをしてたらここに……って言ってたじゃないか?」
「その父親は……母が連れてきたんです。」
あまり深く立ち入れない家族の話、そこまでは踏み入れない話。
「それで……私、勝手に死霊術を使ってしまう時があるんです。いや、勝手に発動する時があって……死霊術は使おうと思えば使えるんですが、出した死霊に指示が全く出来なくて……」
――やっぱりこの子も……
やはりこの子と俺は似ている、そう思うキョウ。
ここに来た境遇も似ているどころか能力も似ているなんて。劣等召喚より余程セレネの方が使えることは分かっている。だが彼女は使いこなせないどころか使えない。
キョウと同じ、劣等だ。
死霊術は死霊を実体として出せる能力。召喚と違うのは死んだものを出すのかどうか、という点だ。召喚は生きている生物を出すため弱点や強さは生きている生物そのものになる。それに比べ死霊は最初から死んでいる。死霊の弱点は炎や光だと人間界にいる頃に本で読んだことがある。
つまり、死霊術で出せるものは例外なく炎、火に弱いということ。
「しかも私のは特別らしくて……それが周りに危害を加えるんです……」
「それ以外にもなんか能力があるのか?」
「いえ、能力はそれだけなんですが…… 死霊以外に霊も出せるらしいんです……」
――劣等なんかじゃ無かったわ
死霊と霊の違い、それは実体があるか無いかの違い。
しかしそれも乗り越えてセレネは両方とも出せるのだという。
「勝手に死霊術が発動したかと思うと周りには死霊がいて周りの人達は霊に取り憑かれてた……なんて事もあって…… そんなのガ嫌でイヤでイヤでイヤデイヤデイヤデ……」
「おい、セレネどうしたんだ?」
キョウは違和感以上の恐怖を覚えセレネを見る。セレネは顔をこちらに向けた。その目は黒目だった。元から黒だったのだが何か生気を感じられないとても深い闇だった。
「ワタシ、タスケテホシいなぁ キョウサん?」




