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神の与えた試練とは上り坂のことですか?

滴る汗を乱暴に拭い、照りつける太陽を憎らしげに睨みつける。

家を出てすぐの頃の様に、力強くペダルを回す体力はもはや残っていない。


「ぜぇぜぇ、えぇぇええええ!?」


目的の店舗が視認出来る距離まで来た。

それはもうっ、息も絶え絶えになりながらどうにか辿り着いた先に待っていたのは絶望。


自身の肉体スペックでは予定した時間を大幅に超えてしか到着出来なかったのだ。

だが、この展開は予想出来ていない。


店舗を囲む暴徒達、割られたガラスは既に暴力的な手段を取られたことが窺い知れ、衝撃的な光景にフリーズした脳は次の行動の指示を出ししてくれない。


「いったい何があったんだよっ!?売り切れは覚悟していたが、店舗が襲撃されるなんて予想してないんですけどっ!?」


チャリでの移動で余裕が無かったはじめは知らないのだが、家を出立したタイミングで近隣のダンジョンから小規模のスタンピードが発生した為に一部の民衆が暴走。

ここら一帯のスーパー、飲食店、大型ショッピングモールで暴動が発生しているのだ。


そんな事実を知らないはじめには、目の前に広がる絶望的な光景の原因が理解出来ていない。


(え、こんなデンジャラスで世紀末な展開は想定外なんですけど!?)


外の世界のアグレッシブな者達の行動に目を剥くどころか、目ん玉が飛び出る程の衝撃を受けたはじめは自失呆然。


その場で立ち尽くしていると、ポケットから伝わる振動にようやく動き出す。

着信主は父の様で、せっかく頼られたのに応えられなかった事に凹みながら電話を受ける。


「はじめっ、大丈夫かっ!?今どこにいる?無事なら直ぐに家に戻ってこい!」


普段とはかけ離れた焦る父の様相と矢継ぎ早に告げられた言葉に驚く。


「ちょっ、父さん落ち着いてくれよ。いったいどうしたの?」

「はじめの言っていた魔物の氾濫ってやつが会社近くのダンジョンで起きたんだ、何がどうだか分からんが帰宅命令が出たから私も家に帰る事になった。」


(スタンピードが起きたのか!?父さんの会社といえば隣町じゃないか!!)


「すぐ家に戻るよ、話したい事もあるし父さん気を付けて帰って来てね。」

「あぁ、はじめも気をつけるんだぞ。」


(海外で大規模なスタンピードが起きたとニュースでもあったというのに、どこの馬鹿が...くそっ、暴動の原因はそれか!!)


規模の小さい店舗でこれだ、今さら大型店舗を訪ねたところで望みは薄い事は分かりきっている。

せめて少しでも入手出来ればと思い、店舗へと近づいて行けば殺気立った暴徒達の気迫に圧倒され逃げ出す。


父からの言葉もあり、帰宅する事を決めたはじめを待つのは地獄の様な上り坂だった。

行きはヨイヨイ帰りはなんとやらとはまさにこの事で、ただでさえ疲れ切った身体に鞭打ち弱々しくペダルを踏み込む。


神の試練-ダンジョン-に挑む前に既に息絶えそうな主人公(笑)は、スタンピードにどう対処するのか。

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