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悲しみを乗り越え、またひとつ強くなる。

身体が非常に怠い。

瞼を開けることすら億劫だ。


そうだ、もう一度寝よう。

次に意識が覚醒する頃にはきっと大丈夫。


そうと決めたら早速、二度寝だ。


-ガチャリ。


「まだ目を覚まさない、か。」


部屋に訪れた彼女が開口一番にそう呟く。

少し寂しげで、哀しそうに呟いた言葉は静かな部屋にスッと響き渡る。


「早く目を覚ましなさいよ、バカ。」


なんだか知らない間にシリアスな雰囲気を醸し出された状況に今更、実は起きてました〜、とは言えない。


(...気まずい。)


-ガチャリ。


気まずい雰囲気に覚醒してしまった脳は、もう二度寝を受け付けてはくれない。

そんな中、新たな来訪者に一縷の望みを賭けてシリアスブレイクを期待するハジメ。


(頼むぜ、誰かは知らないけど、このよく分からない状況をどうにかしてくれ!)


カツッ、カツッ、と徐々に近づいて来る足音に何故かドギマギしながら展開を見守るハジメに訪れるシリアスな展開。


「ははっ、念願の魔法を使えたってのに馬鹿だよな。早く目ぇ醒ませよ...っ」

「...カケル。」


(えぇ!?カケルじゃん!え、あのいっつも笑ってる様な奴がシリアスとかどーいう状況!?)


友人すらシリアスな展開を広げてくるのは予想外であり、いっそここでネタばらしを、と思い目を開けようとすれば動かない身体に驚愕する事に。


カケルと女性が一言二言交わした後、カケルが部屋から出ていく。


どうにか身体を動かそうと試行錯誤している間に、女性が何か聞き捨てならない事を言っていた様な気もするが、そんなことより現状の問題を解決せねば、と思い付く限りを試していく。


「ハジメ、身体綺麗にするね。」


(えっ!?)


パサリ、と剥ぎ取られた布団にまさかと思いつつ平常心を保てば、外されていくボタンに鼓動が早まる。


(いやいや、そんなまさかね。)


人生なんてまさかの連続である。


よいしょ、と掛け声と共にうつ伏せに体勢を変えられ、背中から丁寧に拭かれていく。

ずりずりと下げられていくズボンに、不安を感じていれば、どうにか下着までは剥がされずに済み安堵する。


背中側を丁寧に拭かれた後は、ころりと仰向けにされ正面を拭かれる事に。


やや不慣れな手付きがこそばゆく、時折触れる指先は細く女性らしい事にどこか背徳感を感じてしまう。


そう、感じてしまったのだ。


俺の出番か?と言わんばかりにむくり、と起き上がる愚息をどうにか抑えようと意識すれば、逆に意識してしまい更に悲惨な状況に。


(バレるな、気付くな、気にするな!)


そんな期待をあっさりと裏切るように上半身を拭き終えた女性が下半身を拭こうと向き直り...。


「きゃぁぁあああああ!!」


部屋が割れん程の悲鳴が響き渡る。


どうしたっ!?と、仲間の悲鳴を聞いた検証班の面々がテントを張った下半身を確かめに部屋へ続々と入室してくる。


今すぐに逃げ出したい心境に反して、頑なに身体は動いてくれない。


ケラケラと笑うカケルの声が憎たらしい。


(いっそ殺してくれぇぇぇえええええっ!!)


そんな物騒な事を考えながら、ただ時間が過ぎるのを待つハジメ。


最初の望み通りにシリアスな雰囲気は砕け散ったが、目を覚ました後に笑い者にされる事が決定したハジメの心境は複雑である。


羞恥の時間は過ぎ去った。

部屋からは誰も居なくなり、身体は倦怠感を思い出したかのように睡眠を欲した為、睡魔に身を委ね眠りにつく。


(どうか夢でありますように)


そんな叶わない願いを思いながら。



ニートのダンジョン攻略記、原因不明で動けないハジメに起きた悲劇は今後にどう影響していくのか!?

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