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剣術と魔術で世界一を目指す  作者: 龍王白夜
第零章 転生編
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伍話 転生、神の実験が始まった


「それでは、総司さん転生の承諾をお請けくださりありがとうございます。つきましては、転生後の特典についての話しに移らせてもらいます。」


 俺の目の前に辞書のように分厚い本が突然現れた。


「総司さん、こちらに貴方の残りの許容量で得ることができる特典が記載されています。」


 この中から俺の特典を選ぶのか。

 厚さは国語辞典と同じくらいか、1ページに2つ能力とその説明か。どれも転生後の肉体についての特典か。二次小説のように他作品のキャラの能力ではないのか。


「作品に出てくるキャラの能力は、そのキャラでしか扱うことが出来ません。」


 まあ、そんなにバンバン同じ能力が有るようじゃ世界のバランス云々言ってられないからな。

 それに、俺の残りの魂の容量も少ないから主要キャラの能力は多すぎるか。


 ………あれ?


「なあ、リリス。」

「はい?なんでしょうか。」

「俺って、このまま転生したら魂の容量が残りの少ないから、特典を貰うと余計に成長できなくなるんじゃないか?」


 俺の残りの魂の許容量は、全体数を100とすると、残りは大体30位だ。ん?何故わかるか?どうしてそんなに少ないの?と言う疑問が思い浮かんだろう。

 まず、前者の何故わかるかというと、特典を綴っているこの辞書には表紙に「残り許容量30で得られる特典集」、とある。

 後者の、どうしてそんなに少ないのかは、俺の輪廻転生の数が少なかったからだ。


 だが、既に死んで魂に余裕がない状態なのに、更に能力()を得てしまえば転生した後の成長が望めなくなるのではないか。


「それについては、ご安心を。

 総司さんは転生する際は、更に魂を一つ追加して、一つの肉体に二つの魂を持って転生してもらいますから。」

「それって、大丈夫か?」


 総司はリリスの話しを聞き、心配事が生まれた。

 本来、生物とは一つの肉体(身体)に一つの魂を納めるのが定石である。しかし、今回の転生の目的は異常を送り込まれた世界がの反応を見るための実験だ。


人の肉体(身体)に二つ分の魂が存在する。


 それは、世界にとっては無視できない異常だ。

 であるため、総司が魂の許容量を気にする必要がない。


「なら、容量ギリギリの特典を選んでも問題ないな。」

「はい。ですが、特典を入れるのは今の魂ですので、多少の余裕は残しておいてくれますと、調整が楽に済みますので出来たらそうしてください。」




 一旦全て目を通した。その中で五つ選出しこの中から選ぶつもりだ。


1.『神の啓示(ジャンヌ=ダルク)

 必要容量:25

 人生には数多くの選択がある。その中で人生を大きく変化させる選択で、正しいと言える選択を導いてくれる。

 ただし、人生を大きく変化させる選択以外では決して訊くことが出来ない。更には、その選択が人生を左右すると人間が知ってはならないので、神の声は記憶から消される。

 名称の由来は、神から受けた啓示により、フランスを勝利に導いた、聖女の名から頂いた。

2.『動物速度の進化ファーストエヴォリューション

 必要容量:15

 人間の成長は、他の動物に比べてとても遅い。

 それは、人間の子供の脳はとても多くのエネルギーを必要とするから体の他の部分からブドウ糖を奪い取ってるからです。

 しかし、この力を手にすれば他の人間より多くよエネルギーを生成することができ、脳や体の成長を促進させることができる。

 ただし、他の人間より多くのエネルギーを必要とするため、摂取すべきエネルギーも必然多くなる。量としての目安は、1日7,000㎏カロリー程。赤子の内は、脳への成長が優先されるので、その半分でいい。

3.『器用貧乏』

 必要容量:5

 この特典は、名のとおり多くのことは大抵こなすことが出来るが、何か一つを極めることが出来ない。

 仮に何か一つを極めることが出来ても、極めた頃には人としての寿命が過ぎた頃だ。

4.『鶴は千年、亀は万年エクスティラ・ロング・ライフ

 必要容量:15

 人間の寿命は永くても120年が理論上限界だ。

 しかし、この特典を手にすれば、85%の確率で千年、15%の確率で万年の長寿を得られる。

 特典を選び直ぐにその長寿を得られるのではなく、生まれて外的要因以外での自然死を迎えるまで、自らの寿命がわからない。

 だが、この特典を選べば、人間では考えられない刻を生きられる。

 だがしかし、人間の精神は数千年という永い刻を生きるためには脆弱すぎる。300年を越えてからは、自我を保てるかどうかの綱渡りを強いられる。

 もし、自我を喪えば、そこからは植物人間になって生きていくしかない。

5.『瞬間永続記憶(シャッター・メモリー)

 必要容量:10

 人の記憶は、脳が視覚情報、聴覚情報などの感覚神経から送られてくる情報を処理し必要とされる情報を記憶として定着させ長期記憶として残し、残りは処分、或いは短期記憶として一時的に定着をさせるものである。

 しかし、この特典を手にすれば、脳は情報の処理を行わず全ての記憶を定着をさせる。


 100以上の特典からこの五つを選んだが、最多で3つ、最小で一つか。

 1の、好きな英雄の名がある神の啓示(ジャンヌ=ダルク)は捨てがたいが、なんか未来を見ているみたいで気が引けるな。1は却下だな。

 2は必要だな。どうせなら強くなりたいし、成長するなら早い方がいい。採用。

 3は~、微妙だな。手数は多いに越したことはないけど、戦闘武器が相手と被れば負けるかも知れない。でも、その場その場で臨機応変に対応していけば何とかなんとかなるかもしれないし。一旦保留。

 4は、長寿を得られるが些かリスクが高いな。300歳を超えたら自我の崩壊一歩手前とか、そこまで危険(リスキー)な人生を送りたくはないし、却下するかな。・・・でも、やっぱり捨てがたい。

 5は必要だな。前世で一番困ったのは、記憶力だからな。こんな形で驚異的な記憶力が得られるのは、嬉しい誤算だ。


 今決めた特典では、2と5で必要容量は25か。少し余りがあるな。

 リリスは余裕を残してほしいらしいが、別にいいだろ。


「リリス、決めたぞ。」

「お決まりになりましたか?」

「ああ、この3つを頼む。」


 俺は、3つの特典を提示してリリスがそれを見た。

 特典の内容を見たリリスは思ったとおり、顔を歪めた。やはり、容量ギリギリを攻めたのは少し無理があっただろうか。


「この、3つですか?」

「ああ、変えるつもりはない。」


 リリスは腕を前に組、大きめの胸が強調される。

 俺は、ついつい目が釘付けになる。いや、これは仕方のないことだ。一生お目にかかることのないと思えるような美女の胸が強調されれば、誰だってそこに目が行くだろ。俺は死んでるけど。


「わかりました。それでは、これより転生の儀を行います。」

「転生の儀?パパっと終わるものじゃないのか?」

「はい、何事にも順序がありますから。結果だけを作り出すことは、アラヤ様かガイア様にしかできませんから。例外も存在しましたが。」

「?まあ、いいか。じゃあ、早速頼むよ。」

「はい。それでは、こちらにある陣の中心に立ってください。」


 ここに来てから気にはなっていたが、これは転生に必要な物だったのか。


「それでは、始めます。」


 リリスが目を閉じ、言霊を放つ。


「жврнём*″ΨθπυχοЙЗА」


 それは、人の耳では理解することも知覚するのも難しい言葉だ。現在人ではない俺ですら、知覚するのがやっとだった。


「ιδωАσψЩТЯЭдёж・・・・」


 言霊が止んだ。その数瞬後に陣が光を放つ。


「転生の儀はこれにて終了しました。」

「これで転生ができるのか。」

「はい。総司さん、貴方の新たな生に幸あらんことを。」


 リリスが、両の手を胸の前で繋ぎ膝を付き祈りの姿勢を取る。


 そうして、俺の意識は白い靄が掛り意識を失う。



◇◆◇◆◇



 総司が転生しリリスが一人になると、背後の空間に亀裂が入り、穴が開く。

 そこから出てきたのは純白の白装飾に身を包み、それとは対照的な漆黒の艶やかな髪を靡かせた、正しく神の言葉の似合う男が出てきた。


「彼の者は、世界に旅だったか?」


 リリスに問いを投げ掛ける。


「はい、彼は間違いなく旅だたれました。」


 リリスは姿勢を変えず、目を閉じたまま返事をする。


「我々の残した罪の清算として、何の縁もない人間に償わせるのは忍びないな。」


 男は、興味深い言を放つ。


「彼の者が再び死する時が来ようならば、また新たな生を授けるとしよう。」

「・・・はい。」


 リリスの目尻には、一粒の涙が頬を通る。


神々(我ら)が英雄に幸あらんことを」


 男は、右手を左胸に当て静かに祈る。





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