弐話 神様ってシリアスブレイカー?
2話目の投稿です。
今回で、異世界に転生するかも?
「初めまして、私は神様を遣っている者です。こちら、名刺です。本日は何卒宜しくお願いします。」
俺の目の前に居るのは、腰まで届く長いサラサラの白髪を煌めかせた白装束のナイスバディーな美人お姉さんだ。
俺は、あの時意識が無くなり閻魔大王に面会する予定でいた。だが、実際に来てみれば見ただけで小便チビりそうな恐ろしい形相の鬼ではなく、まるで女神のような神々しさと美しさを秘めた天女のような人だ(ここまで表現するともはや人ではない)。
「あの?」
「え?ああ、名刺ね。これはどうもご丁寧に。私生きていた頃はしがない高校生をやっていました、沖田総司です。あ、新撰組の者ではなくただの子孫ですので。」
俺は沖田総司の子孫だ。だが、沖田総司は結婚せずに亡くなっているから、直系ではなくその姉みつの子孫の可能性の方が大きい。しかし、父も祖父も、曾祖父でさえ沖田総司の子孫だと言い張るからもしかしたら直系の疑惑もほんのり存在している。
「え?なにを言っているんですか、貴方は沖田総司の直系の子孫ですよ?」
………あれ?俺って声に出して喋ったっけ?
いや、そんなわけない。俺は、自分の事を神様だと名乗っている痛い子を目の前にしてそんな間抜けなミスは犯さないさ(律儀に受け答えしてたじゃん)。
それより、仮に彼女の話しを信じたとして俺が沖田総司の直系の子孫ってマジ?(そっちかよ)
いや、別に沖田総司の子孫だっていうのが嫌なわけではないさ。なにせ幕末最強の剣士の子孫なら、それはもう鼻が高いよ(子孫である君が言うことじゃないけど)。
「あの、そろそろ私の話しを聞いてくれませんか?」
………敢えて無視を決め込んでいたけど、さすがに無理があるか。しょうがない、少し涙目になっているし話しを聞いてやるか。
「はい、なんでしょうか。」
アルバイトで極めた、営業スマイル。相手に俺の心の中を読み取られない様にするための必須事項だ。彼女は自らを神と名乗る痛い子だ。俺は、死を受け入れ閻魔大王に裁かれる覚悟でいたのだ、決して痛い美人お姉さんに会いに来たわけではない。
でも、怖い閻魔大王よりは美人なお姉さんが良いです。
あれ?てか、俺って死んだはずだよね?なんで意識があるの?なんで死んだのに肉体があるの?ああ、疑問が疑問を呼んで際限なく浮かんでくる!
「あの、落ち着いて下さい。私は別に嘘はついていません。正真正銘の神なんです。」
…………マジで?
「はい、マジで。」
…………なんで、通じるの?
「神なんですから、人の心の声が聞こえないと救えないし、導けないじゃありませんか。」
ご最もです。
「じゃあ、今までの俺の考えは筒抜け?」
「はい!」
いい笑顔をしてるね~、この人。
「人じゃありません、神です。」
彼女は豊満な胸を張り前に突き出す。
彼女いない歴=年齢なチェリーボーイ沖田総司には堪える物がある。
「って、それより総司さん私の話しを聞いてくれませんか?」
「なにをですか?」
「貴方の今後の事です。」
彼女は少し垂れていた目尻を尖らせ些か威厳が生まれた。
総司はそんな、彼女を見て少し怯んだ。
「まずは、自己紹介から。先ほどお渡しした名刺にも書いてあるとり、霊魂管理部のトップのリリスです。今回はお亡くなりになった貴方の魂を回収に参りました。」
霊魂管理部
それは、神々が存在し高次元に位置する肉体に囚われた者では決して手の届かない神々の為に存在する異界。
神界『管理する者の世界』
ここに居る神々それぞれに与えられた役割りの中に存在する役職、それが霊魂管理部だ。
主な仕事は肉体世界で死んだ者の霊魂を一時的に天界で保管し異状が無ければ閻魔大王の所へ送られ審判される。霊魂は基本無害な物なので、異状は滅多に見つからない。
異状例は、本来無色透明な魂に黒い汚れの様なものが付いている場合。
これの他にも数十個の役職があるが、リリスはこの霊魂管理部の部長を預かっている。
「なるほど、リリスの立場はわかった。だが、それがどうして俺みたいな何の取り柄もない奴を呼びつけたんだ?」
そう、沖田総司は歴史に名を残す偉業を成し遂げた英雄のように生前何かをしたわけではない。
神であるリリスに呼び出される程の偉業は、文明の発達した現代では異常視される。沖田総司はそんなに重い物を背負えるほど野太くはない。
「はい、それこそが私が話したかった重大な要件です。」
リリスは先ほどの鋭い視線がなくなり、最初に見たホッコリとした暖かさが戻り満面の笑みでこう言った。
「総司さん、貴方は最高神の方々の会議により『異世界の死者を呼び出してここの世界で観察しよう!』の議題で第13号転生者に選ばれました!」
………………………は?
さっきまでのシリアスは?
今話で転生まで持ち込めなかった。
次回は必ず転生まで持ち込みます。